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ゾット帝国外伝 丘の民の伝説編  作者: 剣竜
第1章 邪剣『夜』と孤独の黒騎士
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第七話 この世のために! 死ぬのは貴様だ

~前回のあらすじ~

メノウを懐柔しようとしたマイホム。

しかしそれは失敗に終わった。

薬を盛られ、囚われの身となったメノウを救うためショーナたちが動き出した。

マイホムの館へと乗り込んだショーナと猫夜叉のミーナ。

基地ではないため、衛兵もほとんどいない。

数人が襲い掛かってきたが、全てミーナが返り討ちにした。


「こいつら、アタシだとわかってて攻撃してきやがった…」


「やっぱり基地内は全部あんたの敵ってわけか」


襲ってきた衛兵の持ち物を物色しながらショーナが言った。

以前から手に入れたオートマチック銃だけではこの先不安だ。

衛兵の持っていたSMGを一つ回収しておいた。

倒れた衛兵の付けていたレザーグローブもついでに回収する。


「ついでにこのグローブももらっていくぜ」


「おい、早くいくぞ!」


「あ、ちょ待てよ!」


そう言いながら先に進む二人。

広い屋敷ではあるが、この程度の広さなら少し時間をかければしらみつぶしに探せるだろう。

また、屋敷の外に置かれていた馬車や車はあらかじめ破壊しておいた。

これでマイホムがメノウを連れて逃げることもないだろう。


「アイツの車は置いてあったからな、必ずこの館にいるはずだ」


辺りのドアを片っ端から開けていく二人。

鍵のかかっているドアは破壊していった。

その途中、ショーナは前からずっと気になっていたことをミーナに尋ねた。


「なぁ、まず俺さぁ質問あるんだけど…」


「ん?なんだい?」


「なんでアンタは南アルガスタ四重臣なんてやってたんだ?」


ミーナは今まで出会ったゾット側の人間とはどこか違う感じのする人間だ。

少なくとも、権力を振りかざし弱者を虐げるようなタイプではない。

どちらかと言えば、力を磨く武人に近いだろう。


「アタシか?『軍閥長』直々にスカウトされたんだよ」


『軍閥長』…

この南アルガスタを治める、アルガスタ本国直属の者だ。

だが、ショーナはまだこの南アルガスタに来て日が浅い。

南アルガスタの軍閥長がどのような存在で、誰なのかはあまり知らなかった。


「まぁ、次の機会にまた話すよ。今は捜索が先だ!」


やがて、二人は食堂と思われる部屋にやってきた。

食堂には趣味の悪い料理が所狭しと並べられている。


「あ、物体X」


グチャグチャの妙な料理?を指さすショーナ。

それを無視し、ミーナは辺りを見回す。


「ついさっきまで食事してたみたいだな…」


そんな中、ミーナは置かれていた椅子に注目した。

置かれている椅子は二つ、大きなテーブルに二つということは食事をしていたのは二人。

一人はマイホム。

そしてもう一人は…?


「(この椅子、少し小さいな…)」


片方の椅子は少し小さめの子供用の椅子だった。

ミーナが考えている一方、ショーナは…


「一つくらい食べてもバレないか…」


そう言いながら、テーブルの上に載っていたいなり寿司を一つ手に取る。


「まて、食うな!」


ミーナが近くにあったデザート、『ドラゴンに乗るワイバーン』をショーナの持ついなり寿司に投げつけた。

バラバラに砕け散る『ドラゴンに乗るワイバーン』といなり寿司。

その場に『ドラゴンに乗るワイバーン』といなり寿司の残骸が飛び散った。


「あぁッ!いなり!…とあとなんかよくわからないの!」


「たぶんここで食事をしてたのはマイホムとメノウだ…」


小さい椅子の方にメノウは座っていた。

そして、ここでマイホムに薬か何かを盛られた。

ミーナはそう言った。


「アタシのガバガバ推測だけどな」


「いや、案外当たってるかもしれないぜ…」


「とにかく、メノウはここにいたんだと思う。捜索を続けよう」


「ああ」


そう言って食堂を出ようとする二人。

だが、その時ミーナは食堂の扉の外から僅かな殺気を感じた。

だが、そのことにショーナは気付いていないようだ。

小声でミーナが話しかけた。


「ショーナ…」


「なんだよ?」


「少し離れてろ!」


そう叫ぶと、ミーナは多節混でドアをぶち破った。

その勢いのままに食堂の外にいた人物に棒形態の多節混で攻撃を仕掛ける。

だが攻撃を受けた人物はそれを間一髪で避けた。

ミーナにはその人物に見覚えがあった。

それはサヨアやマイホムと同じく、元は彼女の部下だった男。


「隊長のロビノか…」


「手負いのお前なら俺でも勝てると思ってな、それに上からの命令だ」


そこにいたのは、C基地の隊長『ロビノ』。

軽量の鎧を装着し、右手にサーベルを持ったロビノ。

ミーナが左腕を負傷していると知ると、即座に左側に回り込んだ。

一瞬反応が遅れるミーナ。


「爆発のダメージが結構大きかったみたいだな、ミーナ元司令官!」


「このくらいハンデにもならないよ…っと!」


そう言うと、ミーナは片手で棒形態の多節混を持ち、ロビノに向け一直線に突っ込む。

ここから多節混を展開し、一気に勝負をつける。

それが彼女の必勝パターンだ。

だが、そのことはロビノも知っていた。

彼は以前、演習試合の際にミーナは同じ戦術を何回か使用しているのを見たことがある。


「(いくら強くともしょせんガキ…戦術など無いに等しい…か)」


多節混の弱点は『超至近距離には攻撃不可能』という点にある。

広い範囲を攻撃できる多節混だが、懐まで踏み込まれると僅かに隙が生まれる。

ギリギリの接近戦には対応ができないのだ。

もっとも、普通はそこまでの接近を許すことは無い。

だが、今のミーナは手負いだ。


「この勝負、もらった!」


サーベルを構え、ミーナへ突進するロビノ。

ミーナはいつもの戦術で攻撃を仕掛けてくる、ロビノはそう読んだ。

だが、その一瞬の判断が命取りとなった。

多節混をミーナは展開せず、棒形態のままロビノに攻撃を仕掛けた。

リーチではサーベルよりも棒形態の多節混の方が圧倒的に上。

頭から多節混の打撃を喰らい、その場に倒れた。


「あッ…ぐ…」


「自分の戦術の弱点くらい理解してるよバーカ」


「ガキだと思って甘く…見た…か…」


起き上がろうとしても体に力が入らない。

頭部のプロテクターにより、ある程度の攻撃は防げるがこのミーナの一撃は重かった。

プロテクターが完全に砕かれてしまいそのまま頭部に攻撃を喰らったロビノ。


「おっと、まだ倒れるな。いろいろ聞きたいことがあるからな」


「あ、ああ…なんだ…?」


「メノウのことやその他いろいろだ」


そういうと、倒れているロビノの胸元を掴み問い詰めるミーナ。

まずメノウはどこにいるかということだ。

ロビノが言うには、先ほどまでは地下室にいたが今はどこにいるかわからないという。


「マイホム副司令官は戦いは苦手だからな…」


「まぁね、知ってるよ」


「女の子の方は知らんが…マイホム副司令官なら自室に…」


「アイツの部屋?」


「そ、そうだ」


それを聞き、ロビノの胸元を放す。

だが、ここまで聞いたところで一つミーナには気になることがあった。

何故ここまで彼は詳しく話したのか。

少なくとも今の話には嘘が含まれているとも思えない。


「一応、戦士としてのアンタは…尊敬してるからさ…」


「そうかよ」


それだけ聞くと、ミーナはショーナを連れ館の外へと飛び出した。


「アイツの言うこと信じるのかよ?」


「ああ、嘘を言ってるかどうかくらい、アタシにはわかるよ」


「まあいい、副司令官の部屋ってのはどこだ!」


「二階だよ!」


そう言いながら二階への階段を駆け上がり、勢いよくマイホムの部屋の扉を破壊する二人。

それと同時に部屋の中に飛び込む。

だが、その部屋にマイホムの姿は無かった。

部屋には本棚や机などが置かれているだけで隠れられる場所もない。

隠し部屋などもなさそうだ。

ロビノに騙されたか、それとも既に逃げた後だったのか…?

しかし、よく見てみると部屋の窓が開けっ放しになっている。

窓の外はバルコニーになっているようだ。


「外かな…?」


「覗いてみるぜ」


バルコニーにも誰もいなかった。

ここにも隠れられる場所は無い。

しかし、その代わりにとても怪しいものを見つけた。

それは屋上へ続く梯子だ。

屋上と言っても、夏に肌を焼くなどの行為ができるほど上等なものでもない。

基地との通信用の無線のアンテナや機器などが置くための場所だ。

スペースも狭いが、十分隠れることができる場所だろう。


「上見てくるよ」


音を立てないように慎重に上って行くショーナ。

そして、屋上をゆっくりと覗く。

すると…


「…おっ!」


「…うわぁ!」


そこにいたのは、意識を失ったメノウを抱えたマイホムだった。

偶然目が合ってしまったマイホムとショーナが同時に叫んだ。


「どうした!?」


「いた、いたぜ!」


「それは本当か!?」


ミーナがショーナを飛び越え、屋上まで跳び上がる。

その場でマイホムをにらみつけるミーナ。

多節混を構えた彼女が言った。


「よお、アタシが死んでなくて残念だったな」


「ミ、ミーナ…さま…」


「幻術師サヨアや隊長のロビノを差し向けたりいろいろ卑怯な手を使ってくれるねぇ。どうせメノウにも薬か何か盛ったんだろ?」


「くぅ…やはりあの二人は使えんか…」


「さぁ、メノウを返してもらおうか!」


ミーナか叫ぶ。

マイホムの顔に焦りが見える。

だが…


「く、来るなぁ!」


懐から取り出した銃を抱えているメノウに突きつけるマイホム。

メノウを人質にとり、この場をやり過ごそうということだろう。

悪あがきだが、確かに効果的でもある。


「チッ…」


「さっき基地の方に応援を頼みました。しばらくすれば援軍が来ますよぉ!」


マイホムの狙いは援軍の到着までメノウを人質に時間を稼ごうということらしい。

C基地からここまではそれほど時間もかからない。

兵力だけなら上のランクであるA、B両基地より上のC基地。

メノウが戦闘不能な今、二人だけで凌げるかどうか…


「最初はこのまま殺すか迷いましたが、ここで人質として役に立つとは…」


「(まずいな…さすがのアタシでもメノウが人質の状態じゃあな)」


さすがのミーナでもC基地の全員を相手にするのはキツイ。

メノウがいればかなり有利に戦いを進められるが、今の状態ではそれもできない。

いっその事メノウとショーナを見捨て、マイホムを抹殺。

そのまま逃げるか…?

一瞬その考えが頭をよぎる。

元々この二人とミーナは何も関係が無い。

それにマイホムもまさかミーナがこの状況で攻撃を仕掛けてくるとは思っていないはず…


「こんなメスガキでもこんな風に役に立つもんですねぇ」


「(やるか…?)」


気付かれないよう、多節混に力を込めるミーナ。

だがその時…


「うげェッ!」


叫び声をあげながら、マイホムが仰向けに倒れた。

掴む手が離れ、放り出されるメノウ。

何が起こったか理解できず、ミーナはその場に立ち尽くしていた。


「やっと見つけた…俺の旅の本当の目的を…」


そう言ったのは、先ほど衛兵から奪ったSMGを構えたショーナだった。

今までとは違う、静かな口調で語りだす。


「今まではただ漠然とした目的しかなかった。けど…」


最初は安住の地を見つけるため、金稼ぎのためと漠然とした目的しかなかったショーナの旅の目的。

適当に放浪しつつけるだけでしかない旅だった。

メノウと出会ってからもそれは変わらなかった。

指名手配されてからは追手から逃げ続けるということもあったが、これは目的とは言えない。

だが、そんな中で今はっきりとショーナは旅の目的を見つけた。


「以前会った農夫のオッサン達や今のメノウ…助けなきゃいけないやつはたくさんいる」


「まさか、この南アルガスタそのものに反逆するとでも!」


「どうせ指名手配されてるんだ、せめてお前みたいなやつらを始末してから捕まってやるさ」


「そうなれば、『軍閥長』をも動かすことになるぞ!」


「知るか!」


「ひ、ひぃぃ!」


そう言いながら後ずさりするマイホム。

だが、それは途中である者に遮られた。


「よ、よう言ったショーナ…それでこそ男…じゃ…」


それは、まだ薬も完全に抜け切っていないメノウだった。

身体が震え、目の焦点もはっきりとしていない。

無理矢理立ち上がっているような状態だ。


「それなら…この南アルガスタのトップを潰す…されがいいじゃ…ろ…」


そう言いながら、メノウがよろよろとした足踏みでマイホムに近づく。


「じゃが、その前に…」


「ひいぃ…」


「こやつを叩きのめす!」


そう言うと、まだ本調子ではないその体でマイホムに全力の拳を上から叩きつけるメノウ。

それを喰らい、屋上と屋敷の二階の床をぶち破り、一階へと叩きつけられるマイホム。


「はぁ…はぁ…」


「だ、大丈夫かよ二人とも!?」


すっかり蚊帳の外となっていたミーナが二人に言った。

マイホムは倒したが、援軍はあと少しでやってくる。

まだ本調子で無いメノウをミーナが館の外まで運びアゲートの後ろに乗せる。

そして、三人は館を後にした。

名前:シヴァ 性別:男 

恰好:自慢の筋肉を見せつけるため常に半裸

武器:力

キャラ紹介:南アルガスタ四重臣の一人。

力が自慢だが、メノウとの勝負で敗北。

その後、ヤクモに始末された。

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