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ゾット帝国外伝 丘の民の伝説編  作者: 剣竜
第2章 西の支配者と東の皇
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第三十六話 西の支配者と東の皇

ここが変だよゾット帝国!第一回目


ゾット帝国(どこだよ)親衛隊ジン(え?)がゆく(捕まってたじゃん)!~苦悩の剣(ジンの武器って煉獄っていう銃じゃないの?)の運命(運命ってなんだよ(哲学))と真実の扉(扉ないじゃん、デスクリムゾンかよ)~


エタらないで続き書いてください、裕P先生。


時は数日前、メノウ達が港町キリカを旅立った日まで遡る…

あの日港町キリカで起きた惨劇、それを引き起こしたのは西のアルガスタの支配者『ジョー』だ。

なぜ彼はあの惨劇を引き起こしたのか?

それはあの日、彼にはどうしても会わなければならない、ある『人物』がいたからだった。

その男に会うためならば人の命など安いもの、ジョーはそのような非情な判断のできる性格だ。


「ズール砂漠、相変わらず何も無いところよ…」


彼は付き人の少女、シェリアと共にズール砂漠へとやってきていた。

デザート仕様に特殊改造されたジープから降りる二人。

ジョーは肩にかかるエメラルドグリーンヘアで、顔が白く塗ってあり、目許が黒く塗ってある。

口許を覆う様に不気味な金色の歯型マスクを装着し、鼻まで銀色のマスクが覆っている。

マスクの両端から銀色のホースが伸び、背中の機械に繋がっている。

緑のシャツを着て、黒いネクタイを締め、紫のコートを羽織り、両手に黒い革手袋を嵌めている。

紫のストライプのスーツズボンを穿き、黒いブーツを履いている。


「『ヤツ』はまだ来ないのか?このオレを待たせるとはいい度胸だ」


「約束の時間よりも少し早く来てしまったようですね…」


ジョーの隣にいたシェリアが言った。

彼女は燃えるような紅く長い髪と目許を覆う黒いバイザーを装着し、戦闘スーツを身に包んでいる。

オレンジ色の瞳が黒いバイザー越しに鋭く光る。


「まぁいい、ほんの少しくらい待とうではないか」


「…でも砂漠でこの格好は暑いです」


シェリアは通気性の悪い、戦闘スーツを身に纏っている。

気密性も高く、彼女の体感温度はかなりの物だろう。

全身から汗がでて少々気分が悪い。


「我慢しろ、『ヤツ』との取引はこの場所でなくてはならない」


港町キリカの東に位置するこの砂漠は、西アルガスタでも最も広い面積を誇る地区。

メノウ達が旅してきた、交易都市イオンシティやセンナータウンなどがこの砂漠の中にはある。

しかし、ジョーにとってはそのような物は砂漠の中の一本の針に等しい。

町に住む人々の命などあって無いような物なのだ。

そのジョーが一目を置く人物、それは…


「あれは…?」


「来たか…!」


二人が同時に、地平線の彼方へと目をやる。

地と空の狭間から、二機の砂色の飛行機が二人の元へと向かってくるのが確認できる。

しかも、ただの飛行機では無い。

この荒廃した時代では珍しい、最新型の支援戦闘機だ。


「あんな物でこの地にやってくるのはヤツしかいない」


その二機の戦闘機はジョーとシェリアの真上で止まり垂直着陸した。

垂直着陸のため、砂漠の中でも比較的岩場の多いこの地を取引の場に選んでいるのだ。

それぞれの戦闘機は複座式になっており、二機の後座からそれぞれ一人づつ降りてきた。

一人はボディガードと思われる白い髪の男、そしてもう一人は…


「遅れてしまい申し訳無い、ちょっと道が混んでいてね…」


そう言って戦闘機から降りてきたのは、ビジネスマン風の東洋人だった。

180cmという中々の身体に程よい肉付き、黄色い肌に鋭い眼。

そしてこの砂漠という地に全く合わないビジネススーツ。

何もかもが噛み合っていない。


「空に渋滞などあるのかな?」


ジョーが皮肉を込めてその男に言う。

しかし、彼はそれを軽く流すと逆にジョーにこう言い放った。


「大事なビジネスの場に子供を連れてくる、『子煩悩なパパ』に言われたくはないがね…」


彼はシェリアを指してこのことを言ったのだろう。

それを聞いたシェリアはナイフを構え、男に切りかかる。

その動作は僅か一秒にも満たない、しかし…


「何をするッ!」


シェリアのその攻撃は、ボディガードの白髪の男に止められてしまった。

ボディーガードの男の右手のパワーグローブがナイフの刀身を掴む。

そして彼の攻撃にはじかれナイフが宙を舞う。


「助かったよ『ビャオウ』、下がっていい」


「本当に大丈夫か?あのガキ…」


不満を言いながらも、シェリアへの警戒を解かないボディーガードの男『ビャオウ』。

本来ならば彼のように、皆がシェリアの無礼な行動に腹を立ててもおかしくは無い。

しかし…


「いい部下をお持ちで…」


「お前もな、大羽亜(オーバー)


「まぁな」


ジョーも大羽亜(オーバー)と呼ばれたその男も、シェリアの行動に対し全く腹を立てる様子も無い。

それどころか大羽亜(オーバー)はシェリアに一枚の紙を渡した。

それはビジネスマン必須のアイテム、名刺。

彼の出身国である東洋の文字と共に、このゾット帝国の公用語で彼の名前と地位が記載されていた。


大羽(おおば)亜倉巣(あくらす)

『東アルガスタ軍閥長』兼『大羽貿易 代表取締役』


と…


「初対面の方には必ず渡すようにしているんだ、先ほどは失礼した」


大羽はそう言って名刺を渡したシェリアの頭を軽く撫でる。

ちなみに、『大羽亜(オーバー)』とは彼のニックネームのような物。

大羽(おおば)』で区切るとゾット帝国の公用語では発音が面倒になるため、『大羽亜(オーバー)』と呼ばれている。

公の場でもその名で通しているため、現在では皆がそう呼んでいる。


「ごちゃごちゃ言っていても仕方ないから、本題に移ろう」


「そうだな、大羽亜。新型のミサイルについてだが…」


ジョーが大羽亜と取引をする理由、それは彼に自身の制作した武器を販売するため。

大羽亜は東のアルガスタの軍閥長という高い地位についている。

さらに、貿易会社ほか多数の会社を持つ男。

いわゆる『軍産複合体』と呼ばれるものだ。

大羽亜はジョーから武器を買い、それを他の国へと自身の貿易会社を通し販売する。

それが彼のやり方だ。


「成程、大体理解した。今までの製品よりもコストパフォーマンスに優れたいいミサイルだ」


「どれほどの数をお望みかな?」


「今までと同じく、私の持つ一番大きな船に積めるだけ買わせてもらおうか」


そう言って懐からペンを取り出し、ジョーの持つ契約書その他諸々にサインをしていく。

最後に自身の名の書かれた判を押し、取引は終了した。

金はいつも通り流せばよい。


「それにしても大羽亜、お前はしたたかな男だ」


「いきなり何を?」


「表向きは平和主義者、しかし裏の顔は死の商人。このオレでもそこまではせん!」


大羽亜の武器販売は東アルガスタでもトップシークレットの事項。

彼は表向きは平和と平等を歌う、ゾット帝国で最も『善』と呼ばれる男。

最も『悪』と呼ばれるジョーとは対極に位置する存在だ。


「とんでもない、私は平和は大好きだ。この言葉に嘘は無い」


「ふふ…」


「『私の見える範囲の平和』以外に興味は無い、がな…」


そう言って大羽亜はビャオウに命じ、彼にある物を持ってこさせた。

数枚の書類の入った鋼鉄製のケースだ。

カードキーを使い、ケースを開けるとその中の書類を大羽亜が直々にジョーに手渡す。


「実は取引に遅れたのはこの書類を作成していたからでね…」


戦闘機での移動中に作り上げたというこの書類には、ジョーの求める情報が書かれていた。

それは『異能者』についての情報だ。

大羽亜の従える『東アルガスタ四聖獣士』の一人、ザクラが異能者の少女を捕まえたこと、その他情報など…

この少女とは当然、ツッツのことだ。


「ほう、異能者の小娘を捕まえたか。それもスペックも中々だ…」


「後日そちらに送りますよ」


「それはちょうどいい、すぐにでも頼みたいくらいだ!」


ジョーはこの日、捕えていた異能者の素質のある少年と少女を部下のミスで逃がしてしまっている。

追跡部隊を送ってはいるが、確実に再捕獲できるとも限らない。

試験体は多い方がいい、そう考えているのだ。


「もちろん料金は…」


「足元を見るな!当然払う!」 


「契約成立、ではこの書類に…」


先ほどとは逆に、ジョーが大羽亜の差し出した書類にサインと判を押していく。

それらをすべて終え、今日の取引は終了した。


「そう言えば大羽亜、お前が以前言っていた『ハンター』とか言う遺物はどうなった?」


「まぁぼちぼちですよ。実用化までは遠いですね…」


軽い雑談を交わす二人。

しかし数分の会話を終えると…


「それでは、私は帰りますよ」


「オレはこれから別の客の相手があるのでね、この場に残ることにしよう」


「では、また…」


そう言うと大羽亜とビャオウは戦闘機に乗り込むと、垂直離陸をして先ほど来た方向へと帰って行った。

あの方角はちょうど東アルガスタの方角だ。

それを眺めるジョーとシェリア。

取引開始から終了まで、僅か十分の出来事だった。


「なぜあのような男と取引を…?」


ジョーほどの男が何故、あのような男と取引をしているのか。

それがわからなかった。

普通の客とは違い、大羽亜には地位という魅力的な物もある。

それは金では決して変えない代物だ。


「ヤツを殺してその地位や利益、その全てを奪ってしまえばいい、そう考えているな?シェリアよ」


シェリアは黙って頷いた。

しかし、ジョーはそれを否定するように言い返す。


「大羽亜、ヤツは利用価値がある。利用するだけしてその後に殺す!」


「成程…」


「もっとも、ヤツも中々したたかな男だ。しばらくは優秀なビジネスパートナーとしての関係を続けることとなるだろうがな…」


この取引の最中、大羽亜は表情を変えず常にビジネススマイルを保っていた。

そして一滴の汗もかかず、取引相手であるジョーにその手の内を一切晒さなかった。

東アルガスタの皇と呼ばれる男『大羽(おおば)亜倉巣(あくらす)』。

彼の持つ秘中の秘、それはジョーさえも知らない物だった…




名前:ジョー 性別:男 歳:不明 一人称:オレ

キャラ紹介:西のアルガスタの支配者

裕P先生の作品である『ゾット帝国親衛隊ジンがゆく!~苦悩の剣の運命と真実の扉~』からのゲストキャラクター。

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