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ゾット帝国外伝 丘の民の伝説編  作者: 剣竜
最終章 syamu_game
188/191

第百八十四話 決戦!北アルガスタ四天王!

ゾッ帝本編再開しろ!

 


 ゾット帝国制圧に乗り出したシャムとハイウッド。

 絶海の孤島であるゾット島で行われる決戦。

 しかし、シャムの圧倒的実力の前に次々と倒されていく戦士たち。

 十数人がすでに挑んでいるが、シャムは全く衰えを見せない。

 次なる対戦者は…


「問おう、ふむふむ」


「このサイトウが相手してやる!」


 かつて紅の一派を率いていた南アルガスタの男、サイトウ。

 彼が闘技場に上がった。

 以前の討伐祭でも勝ち残る程の実力者。

 他手はしないまでも、喰らいつくことはできるだろう。

 そう考えていた。

 しかし…


「氷炎業ォォォォォォォォォッ!」


「勝てる気がしない…勝てる気がしないよ~…」


 瞬殺されてしまった。

 そのまま堀に叩き落されるサイトウ。

 彼もリタイアだ。


「圧倒的な力…」


「どうした?ヤマカワ」


「いや、何も…」


 戦いを見ていたヤマカワがそう呟いた。

 メノウの問いに対し言葉も無い。

 圧倒的すぎるシャムの力。

 もはやなんと形容してよいかもわからぬ。

 禍々しいほどの強さだ。

 しかし…


「正攻法で勝つのは厳しいな…」


「そうじゃな」


 大物のシャム。

 その強さは間違いなく本物。

 しかし全く対抗策が無い、という訳では無い。

 確かに彼は強い。

 しかし、王都を占拠しているのは彼の『部下』だ。

 そちらを潰せば、王都を奪還できる。

 メノウたちの狙いはそれだった。

 しかし…


「あいつら王都を狙ってますよ、シャムさん」


「やっぱり?」


 その行動はハイウッドに見抜かれていた。

 シャムもうすうすは感じていたようだが。


「それは君の甘えじゃないかということや」


「ちッ…勘のいい…」


 ショーナが苦虫を噛んだような顔でそう言った。

 ここでシャムに離脱され、ハイウッドと共に王都に向かわれるとまずい。

 メノウたちの狙いは王都を奪還し、シャム側の士気と戦力を下げることにある。

 彼らに王都で暴れられると重大な被害が出るのは確実。

 だが…


「王都に行こうと思う方は是非とも行ってください」


「え?」


 シャムから帰ってきた言葉。

 それは意外な物だった。

 王都奪還の目的、それを聞いても全く動じていない。

 確かにシャム陣営は多くの私兵がいる。

 しかしメノウ陣営には南アルガスタ軍の兵士や流れの傭兵部隊が所属している。

 兵の質はともかく、単純な人員ではメノウ陣営の方が多い。

 どれだけ兵の質に自信があれど、シャムとしては油断はできないはずだ。

 それを何故、ここまで自信満々に言えるのだろうか…


「絶対後悔すると思います。人をゴミッ…」



 -------------------



 一方その頃、王都ガランにて。

 王都を制圧したシャム軍。

 それに抵抗する東西南のアルガスタ軍。

 兵員だけならばアルガスタ側が有利。

 しかし、兵士一人あたりの質はシャム側が高い。


「シャムさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんんんんん!」


「シャムは『億』!生ける逸材!」


「シャム!シャム!シャム!シャム!」


 狂信的なシャム兵。

 どれだけ攻撃を喰らおうとも立ち上がるその姿勢には驚きを隠せない。

 抵抗するアルガスタ軍も疲弊の色を隠せない。


「なんやこれ一体」


「頭おかしなっとるで」


「機械じゃろこれ…」


 まるで機械のような兵。

 いくら数が少なくとも、その勢いが強すぎる。

 それを止めるにはどうすればいいか。

 指揮官を叩くことだ。


「ヤバいことになってるな、ミィ」


「あいつら『好き』と『狂信』間違えとるやろ~カッちゃん…」


 その様子を時計台から眺めるカツミとミーナ。

 このゾット帝国でも有数の実力者でもある二人。

 しかし、彼女たちはゾット島には行ってはいなかった。

 制圧された王都に侵入し、現地の指導者を叩く。

 それが目的だ。


「私も来てよかったの?」


「ああ、頼りにしてるよレオナ」


 カツミとミーナだけでは無い。

 レオナも同行していた。

 彼女も実力は高い。

 こういうことにはもってこいの人材。

 そして…


「急ぎましょう、みなさん」


「そうだな。急ごう、ツッツ!」


 カツミ、ミーナ、レオナ、ツッツ。

 この四人で指揮官を討つ。

 指揮官がいる場所は事前に調査済み。

 王城前の塔。

 東と西の広場。

 この三か所だ。

 特に王城前は防御が固い。

 ここを攻略するには…


「王城前にはアタシとミィで行く!レオナとツッツは西と東を!」


「わかったわ!私は西を!」


「では、僕は東を…ッ!」


 三手に別れ、それぞれの場所を目指す。

 カツミとミーナは真っ先に王城前を目指す。

 しかしそこに待っていたのは…


「ここをとれば…」


「悪いがそう上手くはいかないってのが世の常だ」


「…」


「何だお前ら!?」


 そう言って現れたのは、朱色がかった濃い桃色の髪をした男。

 彼の隣にいるのは、鎧を身に纏った騎士。

 どうやら彼らが王城前の塔にいる指揮官のようだ。


「北アルガスタ四天王の一人、『ロゼ』だ。そしてこいつも…」


 ロゼが指差した騎士が黙って頷く。

 どうやらこの騎士も北アルガスタ四天王の一人のようだ。

 ロゼと謎の騎士、その二人と対峙するカツミとミーナ。


「何が北アルガスタ四天王だ!こっちには南アルガスタ四重臣のミィがいるんだぜ!」


「あはは、まぁね…」


 自信満々に言うカツミ。

 軽く笑うミーナ。

 しかし…


「四重臣と四天王ではレベルが違うということを教えてやろう…」


 王城前の塔。

 その前でついに戦いが始まる。

 ロゼと騎士。

 そしてそれと対峙するカツミとミーナ。



 一方、東へ向かうツッツ。

 技量を除く純粋な実力だけならば、彼女は四人の中で最も高い。

 ハーザットによる身体改造。

 ヤマカワによる特訓の成果。

 ファントムによる精神増強。

 そして魔王教団による紋様による強化。

 方法はどうあれ、それだけの強化を積めば強いのも当然といえる。


「敵が攻めてきたぞー」


「邪魔だッ!」


「うおぉぉぉッ!?」


 群がる敵兵を薙ぎ倒しながら進むツッツ。

 立ちはだかったのは…


「ようこそ、グラウ・メートヒェンさん」


「…僕のことを知っているみたいだね」


「以前の討伐際に出場されていたでしょう?」


「まあね」


 グラウ・メートヒェン。

 それは以前のツッツが使っていた偽名だ。

 メノウたちに招待を悟られることの無いように。


「私は『アヘオ・ホスシ』、北アルガスタ四天王の一人です」


「ホスシ、変わった名前だね」


「極東の出身ですので」


 ツッツの前に立ちはだかる男、アヘオ・ホスシ。

 黒い髭を蓄えた、白い道義を身に纏った小太りの男だ。

 しかしそれは脂肪などでは無く、全て筋肉。

 全身を筋肉の鎧で包んだ強者…


「さあ、勝負だ!グラウ・メートヒェン!」


「今の僕はグラウ・メートヒェンじゃないよ」


 グラウ・メートヒェンの名は偽名。

 ファントムの魂と共に行動していた時の物。

 しかし今は違う。

 もうファントムの魂はいない。

 今この場にいるのは一人の戦士…


「もうその名は使わない!僕はツッツ!ツッツツ・ツッツだ!」



 ツッツとホスシの戦いが始まった。



 そして西へ向かうレオナ。

 大量の兵士が配置されていたツッツ側とは異なり、こちらはほとんど人が居ない。

 再開発が進む開発地区だから、というのもあるだろう。

 しかしそれにしても少なすぎる。

 と、そこに…


「ここを通すわけには行きません」


 そう言って現れたのは、かつての南アルガスタ四重臣の一人。

 ヤクモだった。

 彼は本来はシャムの直属の部下だったのだ。

 南アルガスタにいたのは、モール・エレクションの監視のために過ぎなかった。

 しかしレオナはそんなことは当然知らない。


「貴方がここの指揮官ね!?」


「いえいえ、違いますよ」


「じゃあ一体…」


「今すぐ合わせてあげましょうッ!」


 ヤクモはあくまで参謀。

 北アルガスタ四天王では無い。

 ここでレオナが戦うべき相手、それは…


「うわッ!」


「アズラ王国にすむという世界最大の類人猿『アズラゴリラ』!それを強化した改造アズゴリだ!」


「ヒェッ…」


 務まれていたコンテナを破壊し、中から現れた化け物。

 レオナの前に現れたのは全高五メートルはあろう巨大なゴリラだった。

 このゾット帝国から遠く離れた国、『アズラ王国』。

 そこに住む世界最大の類人猿アズラゴリラをシャムが捕獲。

 大量の投薬と無数の改造手術を施し、生物兵器にしたのがこの改造アズゴリだ!


「では僕はこれで。貴女はそのアズゴリの相手をしていてください…」


 そう言い残し、その場から去るヤクモ。

 王城前の塔。

 東と西の広場。

 カツミ、ミーナ、ツッツ、レオナ。

 それぞれの戦いが始まった…


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