第百八十話 ショーナの父親(前編)
オフ0記念日ですが全然盛り上がりがありませんね。
シャムさん本人の復活も無し。
やっぱりオワコンなんかなぁ…(ゲロボ)
魔王教団との戦いもいったん休止。
結果は数年後の決戦へと持ち越された。
一時の平和を南アルガスタですごして暮らすメノウとショーナ。
そんな二人の前にレオナが家を訪れた。
もてなす二人。
レオナがなぜ南アルガスタに来たのかを聞き忘れていたことに気が付いた。
メノウはそのことを尋ねることにした。
「それにしてもレオナ、なぜお前さんは南アルガスタに?」
「実は学校の研究でね…」
学校で行う研究のため、南アルガスタに下宿をしに来たと言う。
この近くに宿を借り、しばらくはそこに住むと言う。
この南アルガスタにのみ生息すると言う『カイヅカヒキコモリツチノジゴミムシ』の研究をするらしい。
その後もレオナの説明は続いた。
とはいえ専門用語が多く、メノウとショーナにはあまり理解できなかったのだが…
「カイヅカヒキコモリツチノジゴミムシはとても体が柔らかい虫でね…」
「おう」
「うん」
「そのメカニズムを解明すれば、『代理人の法則』を使ってやがて医療方面にも…」
「う、う~ん…」
「俺もよく分からん…」
頭を抱える二人。
レオナは頭がかなりいい方だが、熱中しすぎて周りが見えなくなると言う癖がある。
悪いことではないのだが、周囲の人間からすれば少々迷惑かもしれない。
それに気づいたのか、レオナは話を簡潔にまとめた。
「と、とにかく有意義な研究をしにきたの」
「なるほどなぁ」
「あ、それとショーナくん。これ…」
そう言ってレオナは懐からある物を取り出した。
それは中に紙が入った一通の封筒だった。
郵送をしない辺り、単なる手紙ではなさそうだ。
一体これは…?
「…分かったのか?」
「みたいね。私は届けるように言われただけだけど…」
「…ありがとう!」
「じゃあ、私はそろそろ行くね。じゃあね」
「おう、またのー」
「また会おうぜー」
「うん!ばいばい!」
そうとだけ言い、レオナは去っていった。
彼女はあくまで用事のついででよっただけ。
この先まだ用事があるのだろう。
次に来るときはもっといいもてなしをしよう。
そう考えて。
「ショーナ、それはなんじゃ?」
「ああメノウ。これは…」
そう言いかけるショーナ。
だがふと時計に目を移し、慌てた顔を見せた。
あと数分で休憩が終わる、そんな時間だったのだ。
「わ、悪いメノウ!仕事また話そう!」
「お、おう。もうそんな時間か!」
そう言うとメノウは預かった赤ん坊を軽く撫でつつ笑みを浮かべる。
もう少しでこの赤ん坊の母親も引き取りに来る。
それが終わったらまた食事の支度をしておかないと、な。
…と。
…そして数時間後。
仕事が終わったショーナが帰ってきた。
用意していた食事をだし彼を出迎える。
ひよこ豆と肉のスープ、ペザン粉のパン、川魚のフリッター。
それと野菜のサラダ。
この辺りで取れる食材を使用したメニューだ。
「おぉー!」
「ふふ、結構いいじゃろう。魚はワシが取ったぞ」
二人が住む家の近くには魚の豊富な川がある。
そこで取ったのだ。
実はかつての南アルガスタでの旅の途中、そこで魚を取ったこともあった。
それを思い出しつつ、このメニューにしたという。
「おう!」
机の席に座り、食事を口に運ぶ二人。
やはりメノウの造る料理は飽きが来ない。
上手いだけでは無く、とても親しみ深い味だ。
そう感じつつ、ショーナは自身の口へスープを運ぶ。
「ショーナ、昼間のレオナから受け取った紙は何じゃ?」
「ああ、これか。ほら」
ショーナはそう言ってメノウに先ほどレオナから受け取った封筒。
その中に収められていた紙を渡すショーナ。
そみに書かれていたのは、何らかの施設の住所だった。
番地的はこの南アルガスタのどこかの家、という感じだが…
「住所か、これは…」
「ああ。俺の『父親』が住んでいる屋敷の…な…」
「ち、ちちおや!?お主のか?」
ショーナの言葉を聞き驚くメノウ。
彼は親に捨てられ孤児として育ったと聞いた。
当然親などいない。
そんな彼から親、という単語を聞いたからだ。
一旦食事の手を止めつつ、彼の話をゆっくりと聞くことに。
「無理矢理調べたんだ。知りたかったからさ…」
「無理矢理と言っても…どうやって…?」
ショーナは村の入り口の道の端に捨てられていた。
まだ赤ん坊だった彼は、かごに入れられタオルに包まれていたという。
かごとタオル、ショーナはそこに目を付けた。
それを拾ったショーナの育った村の者にまず話を聞いた。
そして一連の理由を話した。
そして当時のタオルとかごを受け取ったのだ。
「タオルは市販の物だったが、かごは市販の物ではなかった」
そのかごとタオルを調べたショーナ。
タオルは湯治この南アルガスタでよく流通していた市販品。
現在でも発売している。
しかしかごは違った。
「誰かのオーダーメイドということか?」
「恐らくそうだ。あるいは専用に発注していたか、だな」
そのかごを作った業者は現在も残っていた。
そこに話しを聞きに行き、昔の顧客について特別に調べてもらった。
当然、普通ならばこんなことはできない。
ショーナが南アルガスタ内でそれ相応の地位に立てたからこそ、といえる。
権力を振りかざすようで、あまりいい気分では無かったが…
「そしてかごの制作を依頼した客の情報を掴んだ」
「それがお主の親じゃったのか?」
「いや、この時点ではまだ確定じゃないよ」
「なんじゃ」
昔の情報だったため、大まかな物しか残されてはいなかった。
住所などの詳しい情報が残っていないものもいた。
しかしこの時点で既に、南アルガスタのとある地区のとある街。
そこにすむ二十人。
これにまで絞り込めた。
「おぉ~」
「あとはそこを総当たりで調べた」
「二十分の一の確率か…」
「それを二十回繰り返せば百パーセントだ!」
以前からショーナは休日に抜け出しどこかへと言っていた。
メノウはどこへ行っているのか気になっていたが、彼に話は聞かなかった。
しかしまさか、そんなことをしているとは思いもしなかった。
「それでレオナにも少し協力してもらったんだ」
「一体なんじゃ?」
「王都にある住所に関する資料との照会もしてもらった」
ショーナの二十分の一の確率ローラー作戦とレオナの照会。
これにより、ついにショーナの親が誰かが判明した。
現在はその町で静かに暮らしているという。
「俺としては何の思いれも無い親だけど…」
そう言ってメノウの方に視線を移す。
彼女と結ばれて既に一か月以上が立っている。
ショーナは、自身に身内というものが存在しないとずっと思っていた。
しかし、今回の調査でそれが偽りであると言うことが分かった。
せめて自身が結婚した、ということを親に知らせたい。
そう考えたのだろう。
「メノウ、お前のことを伝えたくてな」
「ワシのことか」
「ああ。結婚したんだからな」
「ははは、そうじゃな~あ~」
改めて言われる少し照れる。
そう思いながらメノウは軽く頭をかいた。
先方に許可は既にとってある。
今度休みを取った際に会いに行く、との約束を取り付けたという。
メノウを連れて。
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小説と関係ないこともたまに呟いていますが…




