夏に降った雪(1)
強い日差しが僕とゆきちゃんの頭を焦がします。
地元の海、いつものように浜辺で僕たちはおままごとをしていました。
「今日のご飯は――のどんぶりだよ♪」
海にいるせいなのか、いつもよりご飯が豪華です。貝殻や枝も使って綺麗に盛り付けられ、本当に美味しそうです。
「いただきます!」
僕もまた、ゆきちゃんの作ってくれたご飯を味わって食べます。
「美味しい!ゆきちゃんの料理大好きだな!」
そう言って僕は笑います。
「本当に?だっていっしょうけ―――」
ざばぁああん!!!!!
大きな波に声をかき消され最後まで聞き取れませんでした。
体が浮かび上がり、目に強い刺激を感じ、呼吸ができません。
どうやら僕は高波にさらわれたようです。
気づくと周りは暗く、だけどゆきちゃんだけははっきりと見えました。
「っぷは!はぁ、助けて!ゆきちゃん!!!」
僕の懸命な叫びに対しゆきちゃんは1度だけこちらをちらっと見ただけで助ける様子もなく向こうに走っていきました。
「ゆきちゃん!・・・ゆきちゃん!!!、ゆき ちゃぁぁぁん!!!!」
がばっ!!
とても怖い夢を見た気がします。
なんだろう? 思い出せない・・・
でも、すごく嫌な夢でした。
できればもう見たくない。そんな夢です。
体中汗でベタベタします。
「はぁはぁ、はぁ」
息が苦しく、心臓がドクドクいっています。
しばらく頭がボーっとしていましたが
ママの起きてーと言う声でやっと目が覚めました。
「あっ・・・」
しかしここで気づいたことがありました。、
「やばい、ママに怒られる」
僕のベットはまさに大航海時代。
多くの海域で海賊たちが暴れています。
おねしょしました・・・・・・
朝、ママに怒られながらも保育園に行くと
先生とゆきちゃんが迎えてくれました。
「おはよう!」
朝の挨拶をお互いに交わし、今日も一緒に遊ぼうね、などという会話をしながら僕たちは教室に入ります。