プロローグ
「なぁ、夜月は妹ほしくないか?」
突如、父が晩飯の最中にとんでもないことを聞いてくる。
そんなこと言ってる暇あったら、さっさと嫁探してこいよ…と内心で愚痴る。
四宮家では母親がいない。
俺が小さい頃に離婚してしまっていて、それ以降は父と俺の二人暮らし。
前々から兄弟姉妹が欲しいとは思ってはいたが…
「あのさ、親父。妹は…まぁ欲しいけど… まずは嫁探してこいよ…」
めんどくさいので心の中で思ったことをそのまま口に出す。
このちゃらんぽらん親父は、かなり適当な性格をしており、時折適当な事を呟いては俺につっこまれている。
今回もそんないつものテキトークかと思い、こちらも適当に返す。
これが我が家の食卓である。
「いや、もう玄関に来てるってさっきメール来てさ」
ぶーっ!
俺は口に含んでいた味噌汁を全て噴き出す!
「わっ!汚いなぁ夜月君は…」
「いやいや!どういうことだよ!既に来てるって!」
俺は一気にまくしたてる!
親父はいつものペースで
「だから、前々から付き合ってた女性がバツイチだってわかってさ、もういっそバツイチ同士くっつこうぜ!みたいな話になって…」
たははと頭を書く適当親父
「だから!俺はそんな話聞いたことないぞ!?」
なんだその適当な女性は!
ある意味この親父とピッタリだな!
「まあまあ慌てなさんな。しかも五姉妹だよ?一気に家族六人も増えるんだぞ?」
「五姉妹!?どんだけヤってんだ、その女は!?」
驚きの連続!
これで『ここまでジョーク』とか言われたら親父を始めて殴りかねない。
「まぁ、とりあえず皆を中に入れるよ。ちょい待ってて。」
「おい、ちょっと待てって…行っちゃったよ…」
これからどうするんだ…?