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Disfear Bullet  作者: たる。
第五章 闇の中の真実
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page35 暖かな光

 暖かな光に包まれていた。

 とても心地良い、純白の光。もしも天国という場所が存在するなら、きっとこんな……。

(……ああ、そうだ。私は死んだのか)

 思い出す。……あんな瞬間にまで、あの化物に妹を重ねてしまうだなんて。

 それにしてもこんな自分を天に導くとは、神とやらもつくづくいい加減なものらしい。あの子を守れなかったという罪は、フィアを守ったことで赦されたとでもいうのだろうか。自分は地獄に落ち、天国のあの子とは死して尚逢えないと思っていたが……。

『お姉ちゃん』

 その時、光の中から声が聞こえた。

「……ティア……?」

 純白の光の向こうから、少女が姿を現す。

 自分と同じ真っ黒な髪と瞳。見紛うはずがない。偽物でもない。こんどこそ、正真正銘の……。

『……やっと話せたね、お姉ちゃん』

「ティア!」

 手を伸ばそうとする。しかし、体は動かなかった。

 それでもよかった。やっと逢えたのだから。

「ティア、私は……えっと……」

 言葉も出てこなかった。言いたいことも言うべきことも、幾らだってあるはずなのに。

 言葉を探して惑う自分を見て、ティアはくすりと笑った。

『ありがとね、お姉ちゃん。守ってくれて』

「え……?」

 何のことかと思いかけて、自分が最期にしたことを思い出す。

「……違う。私が守ったのは紛い物で、結局お前を守ることなんてできなかった」

『"違うよ"。あの人のおかげで、わたしたちはこうやってまた話せたんだから』

「……なるほど。確かにそうかもしれないな」

 皮肉だが、フィアがいなければ、自分が死ぬこともなかっただろう。死ななければ、こうして逢うこともできなかった。

「しかし、それならもっと早く死ねばよかったかもしれないな」

 冗談交じりにそう言うと、ティアは真剣な表情になって、首を振った。

『"違うよ"』

「……ティア?」

 彼女はさっきもそう言った。一体、何が違うと……。

『……お姉ちゃんはまだ、死んでないよ』

「そう、なのか……?」

 ひょっとして、それで彼女にこの手で触れられないというのか。自分がまだ完全に死んでいないから。それなら、早く……。

 しかしティアは、それも否定する。

『生きて、お姉ちゃん』

「ティア……?」

『お姉ちゃんはまだ死んじゃだめ。お姉ちゃんは、生きて』

 優しく、残酷に、ティアは自分を突き放す。

「っ……どうして! 私はこんなに、ティアのことを……!」

 こんなにも、彼女に触れたいのに。もっと、彼女と話したいのに。

 ずっと思い描いていた。彼女の笑顔を。声を。温もりを。

 それなのに……。

『お願い、お姉ちゃん。……生きて』

 再び云われたその言葉に答えるように、体を包み込んでいた光が、体に染みこんできた。

「これ……は……?」

 それは、フィアに魔力を流された時と真逆の感覚だった。あれが、苦痛そのものが全身を侵食する感覚なら、これは癒しが全身に染み渡っていくような感覚。

「ティ……ア……っ!」

 この光の暖かさは、あの子を抱きしめた時の温もりと似ていた。何故か今になってそんなことを思う。

 ティアが優しく微笑む。その姿が遠のき、霞んでいく。

 そして……。


 ――生きて、お姉ちゃん。"もう一度わたしに逢うためにも"。


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