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Disfear Bullet  作者: たる。
第一章 漆黒の祝歌
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page2 長との決闘

「っ!」

 背後から迫る殺気。女は反射的に身をひねる。

 一瞬前まで己の首があった空間に、鋭利な爪が突き刺さっていた。女は咄嗟に飛び退き距離をとる。

 リーダーの肩書は伊達ではないようで、その回復力は平均的なシャドウハウンドのそれを遥かに上回っていた。

 つい先ほどまで立つのがやっとだったリーダー個体はすっかり傷を治癒し、戦闘を行えるまでに回復している。女は銃剣を構え直し、リーダーと対峙する。

 大きさも、爪や牙の鋭さも、他の個体とは比べ物にならない。知能も高いだろう。恐らく、僕には通用した戦術も、彼には通用しない。

 無言の対峙は一瞬。ドレッドが地を蹴る。

 振りかぶる剛爪。刃で受け流し弾幕を張る。通用せず、傷も無い。後転、続けて連射。躱される。駆けながら連射。漸く右肩を突く。傷は軽微。更に距離をとる。

 空中に留まる球で幕を張る。一瞬時間を稼ぎ、女は状況を分析する。

 体が硬化し、身体能力も上昇している。先ほど狙撃した時は、確かに弾丸自体も狙撃用の威力の高い物であった。しかしそれ以上に、敵の並みならない硬化能力の影響で銃撃が無効化されている。

 銃撃を通用させるには、弾丸の密度を高めるか、硬化を解除するかのどちらか。あるいは、元より強固な特殊合金で作られている刀身を魔力でさらに強化すれば、あの頑丈な皮を切り裂くことも可能だろう。しかし、容易に接近はできそうにない。

 頭の中で戦術を組み立てる。ほぼ同時に、弾幕が消失した。再び戦闘が始まる。

「フッ!」

 小さく息を吐き、向かって右へ駆け出した。同時に銃撃。密度を高めたが、効果は軽微だった。しかし足は止めない。魔力により自身の身体能力を強化し、素早い動きでドレッドを翻弄する。

 翻弄されていたドレッドは魔弾を爪で弾き、跳躍して女に接近する。女は真上へ跳躍し、地へ向かい銃を乱射した。魔弾の雨は拡散して降り注ぐが、尽く躱される。女は木の上に着地した。雨を浴びた地が光る。

 女は地へ向けて徐に手を伸ばす。そして開いた手を、何かを握り潰すように閉じた。

 その動作を合図にして、大地から樹に生えるかのように、魔弾の落ちた場所から天へ向けて光線が伸びた。その光景はさながら、黒色の光の檻。

 光線は互いに繋がりあい、やがて光の筒となった。

 女は天高く跳躍しその先端から筒の中へと飛び込んだ。その底には、シャドウハウンドのリーダーがいる。

 女が飛び込むと、筒は先端から消えていく。それに従って女の剣に刻まれた魔力文字が光を増し、やがて刀身全体が光に包まれ始めた。魔力を吸収して銃剣に戻し、それをそのまま刀身の強化に使っているのだ。

 筒の底にいたドレッドは、最期の一騎打ちを仕掛けるべく女に向かって全力で跳躍した。爪と牙はさらに鋭さを増す。

「仇なす恐怖よ……」

 小さく呟きながら、筒全体の魔力を一気に吸収する。女の構えていた銃剣は、巨大な魔力の剣となっていた。

「闇へと……還れ!!」

 ドレッドとリリーフが、闇の中で交わる。強靭な爪と魔力の刃が交差した。

 黒衣の胸部が破れ、真紅の血が滲み出す。

 ドレッドはその背後で天へ向かって跳躍し続けている。

 リリーフは地へ降り立ち、剣を振って魔力強化を解除した。それとほぼ同時、ドレッドは空中で真っ二つに分断された。

 もう生き残りがいないことを確認すると、ホルダーに銃剣を収める。闇の中での戦闘は、一人の女戦士リリーフ……クロナの勝利に終わった。

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