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prologue
灰色の髪に、紅の瞳。
ふと見えた鏡に移る姿に、彼女は驚くこともなかった。
――これがわたしの姿。これがわたしの運命。これがわたしの選んだ道。
胸の内に眠る心を優しく包み込みながら、姿と心を受け入れる。
そして、彼女は再び前を向く。胸の内に眠る心に従い、求め、歩きだす。
その先にあるのはなんなのか。その先で待つのは誰なのか。
少女は知っている。しかし、彼女は知らなかった。
――これがわたしの姿。これがわたしの運命。これがわたしの……。
幾度となく呟き、歩みを進める。
今は人の訪れない地を、眠る心に従うままに……。