11 妖精出現
なんか急に意味の分からないくらい寒いのですが、みなさんお元気でしょうか…
私は季節外れのキュウリを食べています(寒)
光の球をよく見ると、羽が生えている。
透けた薄い膜のような羽は繊細で、陽光の加減で消えてしまう。
しかしまた土に触れると輝きを取り戻し、再び見えるようになって、存在を主張するかのように柔らかく点滅した。
ラウルが目を見張った。
浅黒い顔に、ぱっちりした大きな目を見開いている。
「妖精だ。すげぇ、本当にいたんだ……」
双子も走り寄ってきて、じっと光を見る。
小さなルーラが小首を傾げた。
「これ、ヨウセイっていう虫なの?」
ラウルが光を手に乗せて、興奮気味に言った。
「だから虫じゃないんだ。妖精。この村に伝わる昔話があって、村の人間はみんな妖精がいるって信じてるんだけど、俺も見たのは初めてだ。丁寧によく育てられた作物には妖精が入っているって言うんだよ」
「へえ……このふわふわしたやつが、妖精……?」
双子の片割れのシェロが目をきらきらさせた。
「本当だ、明るくて分からなかったけれど、小さい人の形をしているみたい」
妖精はふわふわと漂って、シェロの影に隠れていたマールをすり抜け、畑のキュウリにそっと止まった。
マールが怯えるのも忘れて叫ぶ。
「あっ! 消えた」
ラウルがキュウリを触り、持ち上げて確かめようとした。
「中に入ったのか?」
すると不思議なことが起こった。
妖精の入ったキュウリが、ぴっかりと金色に輝き始めたのだ。
アリーチェは歓声をあげた。
「わあああ……! すごい! こんなことってあるのね」
ルーラも嬉しそうに、双子の兄たちに教える。
「にぃに、キュウリってきんいろになるのね!」
「いや、普通はならないと思うけど」
「うん。初めて見たよ」
「ヴァル・ドルナは聖女の力で発展した、聖なる土の地なんだ」
ラウルがみんなに向かって提案した。
「なあ、このキュウリ、収穫してみないか?」
アリーチェは驚いて、足下の虹色カマキリを踏み潰しそうになった。
「えっ? 中に入っているんじゃないの。妖精入りのキュウリ? なんだか食べたくないな」
「ちょっと見てみるか」
ラウルがキュウリをもいだ。その途端、ふわっと妖精が舞い上がる。
「あ!」
そして、別のキュウリにふんわりと止まった。
「わあっ、つぎはあのキュウリが金色になったわ」
「うーん。きっと妖精が入った作物は質が変わるんだ」
ラウルはもいだキュウリをじっと見た。そして、
パキッ!
半分に折る。
「うわあ、ようせいさんはんぶんになっちゃってない?」
ルーラが心配そうに言った。
「いや、いない。やっぱりさっき飛んでいったのが、妖精だったんだ。だけどキュウリは金色のままだぞ」
と、ラウルが考えながら言った。
マーレが腕を組む。
「これ、うまいのかな」
隣のシェロも同じ格好をして、頷いた。
「まさか腐ってるわけじゃないよね?」
ラウルは手の中のキュウリをためつすがめつしていたが、思い切ってガブッと一口かじった。
「ん!?」
「だ、だいじょうぶ、ラウル」
「お……」
「お……?」
「おいしいっ! ものすごくおいしい。みずみずしくて、さっぱりしているのにキュウリの風味があって……次々食べられそうだ。初めてだ、こんなの」
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みなさんに今日一日いいことがありますように。




