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大きなキュウリを作りましょう  作者: 丹空 舞


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11/20

11 妖精出現

なんか急に意味の分からないくらい寒いのですが、みなさんお元気でしょうか…

私は季節外れのキュウリを食べています(寒)

光の球をよく見ると、羽が生えている。

透けた薄い膜のような羽は繊細で、陽光の加減で消えてしまう。

しかしまた土に触れると輝きを取り戻し、再び見えるようになって、存在を主張するかのように柔らかく点滅した。


ラウルが目を見張った。

浅黒い顔に、ぱっちりした大きな目を見開いている。


「妖精だ。すげぇ、本当にいたんだ……」




双子も走り寄ってきて、じっと光を見る。

小さなルーラが小首を傾げた。



「これ、ヨウセイっていう虫なの?」



ラウルが光を手に乗せて、興奮気味に言った。



「だから虫じゃないんだ。妖精。この村に伝わる昔話があって、村の人間はみんな妖精がいるって信じてるんだけど、俺も見たのは初めてだ。丁寧によく育てられた作物には妖精が入っているって言うんだよ」


「へえ……このふわふわしたやつが、妖精……?」



双子の片割れのシェロが目をきらきらさせた。


「本当だ、明るくて分からなかったけれど、小さい人の形をしているみたい」


 妖精はふわふわと漂って、シェロの影に隠れていたマールをすり抜け、畑のキュウリにそっと止まった。


マールが怯えるのも忘れて叫ぶ。


「あっ! 消えた」



ラウルがキュウリを触り、持ち上げて確かめようとした。

「中に入ったのか?」




 すると不思議なことが起こった。


 妖精の入ったキュウリが、ぴっかりと金色に輝き始めたのだ。


アリーチェは歓声をあげた。



「わあああ……! すごい! こんなことってあるのね」




ルーラも嬉しそうに、双子の兄たちに教える。


「にぃに、キュウリってきんいろになるのね!」


「いや、普通はならないと思うけど」

「うん。初めて見たよ」


「ヴァル・ドルナは聖女の力で発展した、聖なる土の地なんだ」

ラウルがみんなに向かって提案した。

「なあ、このキュウリ、収穫してみないか?」


アリーチェは驚いて、足下の虹色カマキリを踏み潰しそうになった。



「えっ? 中に入っているんじゃないの。妖精入りのキュウリ? なんだか食べたくないな」


「ちょっと見てみるか」


ラウルがキュウリをもいだ。その途端、ふわっと妖精が舞い上がる。



「あ!」



そして、別のキュウリにふんわりと止まった。



「わあっ、つぎはあのキュウリが金色になったわ」


「うーん。きっと妖精が入った作物は質が変わるんだ」



ラウルはもいだキュウリをじっと見た。そして、

パキッ!

半分に折る。



「うわあ、ようせいさんはんぶんになっちゃってない?」



ルーラが心配そうに言った。



「いや、いない。やっぱりさっき飛んでいったのが、妖精だったんだ。だけどキュウリは金色のままだぞ」


と、ラウルが考えながら言った。



マーレが腕を組む。




「これ、うまいのかな」


隣のシェロも同じ格好をして、頷いた。


「まさか腐ってるわけじゃないよね?」



 ラウルは手の中のキュウリをためつすがめつしていたが、思い切ってガブッと一口かじった。



「ん!?」


「だ、だいじょうぶ、ラウル」


「お……」


「お……?」


「おいしいっ! ものすごくおいしい。みずみずしくて、さっぱりしているのにキュウリの風味があって……次々食べられそうだ。初めてだ、こんなの」


リアクション、ブクマ、評価、感想など感謝感激です。ありがとう!

みなさんに今日一日いいことがありますように。

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