表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/94

第八十四話 作戦の前夜祭にて

「さあ、明日はネルソンの船が到着するよ! いよいよ本番だ! 今日は、たっぷり飲んでおくれ!!」


 クレアは、果実酒が入ったグラスを掲げながら声を上げた。


 野太い男たちのウォオオオという歓声が店内に響き渡る。


 平民街で一番大きな酒場。今日、ここでクレアは明日の花祭りと、ネルソン船奪還作戦の前夜祭と称して、宴を開いていた。


 店内にいる面々は、あらかじめ明日の作戦内容が記された紙が渡されていた。


 その紙を眺めながらオフィーリアは、酒場の隅でジュースを飲んでいた。彼女の隣には、もちろんルークがいるが、オフィーリアのもう一つの隣の席には、エルザが座っていた。


 紙に書かれている内容を確認し終わったオフィーリアは、楽しそうな笑顔を浮かべてエルザの方を見た。


 エルザは、オフィーリアの視線を受けて嬉しそうに、

「リア、明日の作戦の指示書。すっごく簡単な指示だったでしょ? あなたの仕事なんて、船に乗って最初の五分で終わるわよ。

どうする? それが終わったら、私たちと一緒にネルソン騎士団の誘惑係にまわる? 私は、大歓迎よ。

私たちのリーダーも、リアは大歓迎だって言っていたし、リアの好きそうな変装用のドレスもみつけたのよ。」


 屈託のない笑顔で話すエルザにオフィーリアは、元気に頷いた。


「うん! そうしようと思って、実は、もうクレアさんに頼んでいるの。ドレスも――、もう、もらっちゃった。」


 てへとはにかむオフィーリアに、ルークが慌てながら声を上げた。


「フィー! 僕、聞いてないよ? 誘惑係ってなに? 僕だって最初の五分で終わるのになんで誘ってくれなかったの?!」


 オフィーリアが口を開く前に、ツンとした表情でエルザが答えた。


「なんで、全部あなたに言う必要があるのよ。リアが何をしようと、リアの勝手でしょ。それに、誘惑係は、女性専用よ。」


「なっ。女性しかなれない誘惑係って、うそだろ? どんな誘惑するんだよ?! フィー! はっ。エルザ、君、このことはきちんとケイレブに伝えさせてもらうからね。彼もきっと君が誘惑係をやめるように言うはずだからね。」


 ルークがエルザに意地の悪い笑みを見せた。


 彼の背後から聞き慣れた男性の声が聞こえてきた。


「ケイレブは、もう了承済みだよ。あいつは、お前みたいに心が狭くないからな。エルザの衣装を楽しみにしているくらいに言っていたぞ。」


「シンシアリーダー!」


 声の主に振り返りながらオフィーリアが笑顔を見せた。


 オフィーリアの視線の先でシンシアが妖艶な笑みを浮かべている。彼女は、今日、深紅のドレスを纏っていた。


「リア、久しぶりだな。あっちでは大活躍だったんだって?」


 オフィーリアの頭を撫でながらシンシアは、柔らかな笑みを浮かべた。


「えへへ。みんなのおかけだよ。しかもまだ、帝都内だけだし。」


「帝都内だけでも十分すごいぞ。あそこのスラム、全部を一ヶ月でまとめるなんて、リア、よくやったな。」


 シンシアは、頑張ったなと最後に呟いたあと、ルークに視線を移しながら、

「お前も、とんでもない量の回復薬を作ったらしいじゃないか。スラムのリーダーたちもお前に感謝していたみたいだぞ、特にロザリアさんがな」


 ニヤリと口角を上げた。ルークは、顔を真っ青にした。隣でオフィーリアがくすくすと笑っている。


「誘惑係は、俺がリーダーとしてしっかりと女性を守るし、リアも初めて大人として花祭りの衣装を纏えるんだ。

リアが楽しみにしているなら、ルーク、お前も、もうちょっと我慢して、リアを広い心で見守ってやれ、そうしないと――」


 シンシアは、ルークの耳元で囁いた。


 シンシアの言葉にルークは、さらに顔を真っ青にしてコクコクと頷いた。


 シンシアが、オフィーリアにウインクした。オフィーリアもシンシアに片目を瞑って笑顔をみせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ