テスト返し
どっちから読んでもよいですが今回はこっちが先です。
〜教室〜
先生からテストをもらって一番後ろの左端の席につく。
テストを持っている両手が少し暖かくなってきた。
折り曲げられているテスト用紙を心のなかで「せーの」と呟いてテスト用紙を開いた。
その時、外の雨の音がよく聞こえた。
点数は95点だった。
平均は超えているし成績なら5を貰えるレベルだ。
そんな事を考えていると隣のやつが席に座った。
両足を机の上に足を組んで置き、椅子を揺らしながら片手でテストを開いた。
テスト用紙を見た瞬間そいつの口角が少し上がったのを俺は見逃さなかった。
少しイラッときているとそいつはこっちを向いて口を開いた。
「どうしたのー?二ノ宮くん」
「別になんでも」
俺はそう言っていつも喋っている友だちの方に歩いていった。
〜放課後〜
一人で階段を登る。
1年の教室は2階だけど部室は3階だ。
地味に疲れるんだよなこの階段。
そんなことを思っていると後ろから「待って待って」と聞こえてきた。
俺はさっきよりも早くその階段を登ったが相手は足が長いのですぐに追いつかれてしまった。
「ひどいなー君は、少しぐらい待ってくれてもいいのに」
俺とこいつはほぼ同時に部室に入った。
するとこいつの声が聞こえてきたのか奥の方から部長?がやってきた。
「おいおい、なんだ、また喧嘩か?」
「そう聞いてよ部長!二ノ宮くんがまたいじめるのー」
そう言いながら部長の方にかけていった。
そのまま部長に抱きつこうとしたが部長は体を斜めに反らしさっとかわした。
「違いますよ、部長ー、僕は別に何もしてないんですよ」
俺は部長に弁明しようとすると部長はパンパンと手を叩いて部室の真ん中にある机の椅子に座った。
机は普通の長方形型のもので3人がちょうど座れるように椅子片方に1つ、こっち側に2つ。
部長はいつも1つの方に座るそっちの方が真後ろにあるホワイトボードに手が届くのだろう。
「はい、座って座って」
部長にそう言われるがまま俺ともう一人は椅子に座った。
そうするともう一人が大きく手を上げて喋りだした。
「はーい!部長今日は何をするんですか?」
そうすると部長はホワイトボードをくるりと回して後ろに書いてある文字を見せながらホワイトボードをバシっと叩いた。
「今日は改めて自己紹介をします!」
俺がえ?という顔をしていると部長は続けて喋りだした。
「お前らが部活に入って3ヶ月まだ一回も自己紹介をしてないことに気がついた、だから今更ながらみんなで自己紹介をしようと思う」
そんな話をしていると部長がプリントを配りだした。
そのプリントは何を書くかなどの枠などはあるが白紙だ。
「これどうするんですか?」
そう俺は部長に質問した。
「これは3人称視点で自分はそう見えているかを自覚するために左隣の人の特徴を書いてもらう」
3人称視点というと俺は部長、部長はもう一人、って感じか。
「じゃあとりあえず書いてー」
〜5分後〜
「じゃあ書き終わったねー、はい少ないの!」
いきなり言われて俺はとっさに指を上げた。
部長が言っていた少ないの!とはみんなでグーを縦にして親指を上げるか上げないかを選ぶその2択で3人の内上げたほうが多かったら上げてないやつの負けみたいなルールだ。
何か発表とかでやった場合負けたやつから左回りになる。
今回の場合は俺以外誰も上げてなかったので俺も負けだ。
「じゃあ僕からいきますね」
そう言って椅子から立ち上がり俺は部長の説明を始めた。
「演劇部の部長は椿結人といいます。部長は身長が小さくてそれでもテンションが高いので友達がたくさんいます。髪型は天然だと思いきや最近はやっているからと言ってパーマをかけているらしいです。バカっぽい性格ですが頭は2年生の中で学年1位らしいのでもう少しその頭に見合った性格になってほしいです。」
俺は椅子に座った。
まぁまぁ良い文章がかけただろう。
そう思っていると部長が立ち上がった。
「少しというか結構思うことはあったけど続けまーす。1年3組一ノ瀬一輝は学年1のモテ男です。なぜモテるかというと顔が良く髪型がセンター分けだからかなと思います。後は最近下駄箱で見かけたときに一ノ瀬の下駄箱から少し離れて開けていてなんだろうと思っていたら下駄箱の中から大量のラブレターが落ちてきていてイライラしました。身長が少しわけてほしいです。終わりまーす」
次に入れ替わりで一ノ瀬が立ち上がった。
「あれは月曜日だったから土日の分も入っていて少し多かっただけです」
その後に少し深呼吸をして文章を読み出した。
「俺と同じクラスの二ノ宮二輝くんは負けず嫌いな性格で俺に負けるたびに睨んできて怖いです。今日だって僕がテストを見ているだけなのにこっちを見てきてだから僕がどうしたのー?と聞いたあげたのにひどい態度を取られました。泣きそうでーす。ありがとうございました!」
そう言って一ノ瀬は席についた。
俺は二ノ宮の方を軽く見て少し睨んだ。
そうすると一ノ瀬は少しニコッと笑って席についた。
「じゃあ今日の演劇部の活動は終わり!」
「え?もう終わりですか?」
そう部長に聞くと部長は立ち上がってダッシュで部室のドアを開けた。
「うん!終わり!大会終わってやっと休めるんだからお前らもさっさと帰れよ!」
ドンっとドアが閉まる音が聞こえると部長はいなくなっていた。
そうすると一ノ瀬が声をかけてきた。
「今日いっしょに帰ろ」
「やだ」
ぜひ1番目を見てない人は1番目も見てみてください