↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】ドールと呼ばれた公爵令嬢の乱逆  作者: いか人参
第一章 婚約解消編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/100

いつもと違うダンス


「愛しのアレシア、せっかくだから僕たちも踊りに行こう。」


にっこりと微笑んだイオンは、いつもの調子でアレシアに誘いの手を差し出した。


アレシアは彼の手を取り、会場へと戻った。




会場内は漸く熱気が落ち着いてきたところだったのだが、アレシアとイオンの姿を見つけた瞬間、再熱した。


大きな拍手で迎えてくれた。


最初の入場と同じことが起きただけなのに、様子はすっかり変わっていた。


皆、羨望の眼差しで2人のことを見ている。



「ねぇ、なんだか様子が変わりすぎじゃない?」


「ふふ、君もだいぶ変わってるけど。でも、僕はどちらのアレシアも好きだよ。」


「…良かったわね。」



コソコソ話を終えたイオンは、皆に見せ付けるように、片膝をついて、アレシアに向き合った。



「僕の愛しい人、どうか一曲踊って頂けますか?」


「ええ、喜んで。」



しっかりと令嬢モードに戻ったアレシアは、少しだけ照れを感じさせる微笑みでイオンの手を取った。



そんな2人の様子に、周囲から歓声や拍手が鳴り響いた。


金髪碧眼のザ王子様の彼が跪いて、極上の美貌を持つ女性に、縋るようにダンスの相手を求める。


そんな物語に出てきそうな絵になる場面に、皆感嘆の息を漏らしていた。





曲の開始と共にダンスが始まる。


先ほどとは異なり、落ち着いたゆっくりとしたテンポの曲だった。



これだけ注目を浴びても、アレシアに緊張はなかった。

何度も踊ったきたダンス。イオンとは数え切れないくらい一緒に踊っている。


なんてことはない、いつものダンス。



正確に澱みなくステップを踏む。


ターンの時に出る彼の癖に合わせる。


時折目を合わせる。



これをただひたすら繰り返す。

そうすれば、教本通りの美しいダンスに見える。



はずなのに、、、今日は何かがおかしい。



そう感じたアレシア。

いつも通りにやっているはずなのに、どこかぎこちなく感じる。


イオンは、いつもと違うアレシアにペースを乱されることもなく、微笑んだまま、彼女のことを絶妙なさじ加減でリードしている。


彼のおかげで、いつもと遜色のないダンスになっていた。




ここで漸く、アレシアは自分のぎこちなさの要因に思い至った。



腰に回されている彼の腕の感覚、演奏の合間に聞こえる彼の微かな息遣い、繋いだ手から伝わる彼の体温、触れるほど近付いた時にする彼の香り。


これら全てが気になって仕方ないのだ。


このせいで気が散り、ダンスに身が入らない状況となっていた。



なんでこんなことに意識を持っていかれるんだろう…




「ダンスの時くらい、僕のことを見て。」


「ひいっ!!」



思考に飲まれそうになっていると、上からイオンの声が降ってきた。キスと共に。


イオンは、ぼんやりしていたアレシアに対して、どさくさに紛れて、頭のてっぺんにキスを落としてきた。



「何するのよっ!」


「唇の方が良かったかな?」


「何言ってるのよ!」


足を踏んでお返ししようとしたアレシア。

だが、イオンにはひょいと避けられるだけでなく、腰を掴んで持ち上げられ、そのまま優美なターンを決められてしまった。


ふわりと彼女の身体を地上へと戻した。



床に足を付けた後も、彼女の胸の高鳴りは収まらなかった。

それが先ほどの浮遊感から来るものなのか、心情の変化によるものなのか、アレシアにはまだ分からなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。