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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

まだら記憶で候。

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。




俺はこの日、人生の中で一番の衝撃を受けた。

 

”武田晴信誓詞 ”


「へぇー。武田信玄ってホモなんだな!」


「誰だ?春日源助??高坂昌信?逃げの弾正ってヤツなん?!」


「というかさ、何でこの手紙残ったんだろうな?」


「有名人って大変だな。俺一般人で良かった。」


周りのヤツラが好き勝手言っているさなか、俺はただ茫然と立ち竦んでいた。




*****************





「春伸~!いつまで寝てるの!!朝よ、さっさと起きなさい!!!」


朝からお袋の怒鳴り声が聞こえる。

まあ、いつもの事さ。原因は俺にあるからね。


「大体何のために目覚ましつけてるのよ!意味ないじゃない!!」


プンプン怒りながら階段を降りて行った。

あ~…… まだ寝みぃ~…… ウトウト………


「寝るんじゃないわよ!!!」


……… ハッ?!


「ハァ~~イ!」


こうして俺の毎朝は、始まるのだった。


「全く朝は忙しいのよ。歳はもう幾つなのよ。いい加減にしてよね!!」


ブツブツと言いながら、朝ごはんの準備をしてくれるお袋。

まあ、朝からのお小言は嫌だけどな。


「もう、何とか言ったらどうなのよ!!」


イヤ言ったら言ったで、倍になって返ってくるだろうがお小言が!

俺は勇気ある撤退をする。

朝からワァワァ言うのは正直キツイ。

モソモソと朝ご飯を早急に食べる俺。

今はとにかく一心不乱に食べるべし。

そしてこの場を、早急に撤退するのだ。


「疾きこと風の如し」


まさにそれだった。


「そう言えば今日よね。課外実習………どこなの?」


どうやらお小言タイムは終わったようだ。ホッ


「ミュージアム?歴史博物館だったかな」


お茶を飲んでいく準備をする。


「フ~ン、行ってらっしゃい。せいぜい勉強して、武田信玄みたいな立派に男になりな」


「お袋、信玄だって朝は起こして貰ったと思う…… 」


「なら大した男じゃないね。自分の世話ぐらいできない男はダメ男よ」


そう冷めた目で言って、お袋は朝ご飯の片付けを始めた。

いつの時代も女は強し。


「ほら、ボーとしてないでサッサと行きなさい!」


クワバラクワバラ……



******************




「おおぉ、はる~おはよう!!相変わらずダルダルだね~」


仲のいい与志郎が陽気にあいさつする。


「あ~…… 昨日夜遅くまでバトルしてた~」


ショボショボした眼を擦り机に突っ伏した。


「俺、移動中寝てるからよろしく」


「オイオイ、移動中のお楽しみを睡眠に費やすのかよ」


突っ伏した俺の頭にグイグイの体重をかける聡介。

ケタケタ笑う与志郎。

今日の授業は外での課外授業。

そう皆テンション高々だった。


「はるみたいに突っ伏した奴らはラノベかゲームだな(笑)」


「ここに勉強が入ってないw」


二人は何が面白いのかゲラゲラと笑っている。


「フフフ……二人とも俺は()()してきたぜ」


ニヤリと笑って登場したのは学級委員の優斗。


「優斗すご~い!!」


与志郎のブリ声がキモい。


「ゲームだけどなw」


やっぱりな………


「ほとんどそうじゃねぇ。はるもそうなのか?」


「俺シューティングゲーム…… 」


「全く関係ないw」


「お前少しは頭入れとかねぇとツラいぞ」


優斗がそう言いながら、いつまでも俺の頭に乗ってる聡介を退かしてくれた。


「優斗、サンキュー」


ヤレヤレと言う風に笑って自分のグループの所へ帰って行く。


「確かに、歴史の知識度で退屈かどうかは変わるな」


「ああ、見ろよ。妙にテンション爆上げ状態の女子いるよな」


「あれはBLの腐女子部隊だ」


「あぁ~……」


逆の意味でテンションが下がっていく二人。

とにかく今日は授業免除な日。

のんびりと楽しみますか。




*****************



実は俺の前世は武田信玄だった。

突然なんだと思うだろうが、まぁそういう事だ。

ある意味自分の歴史を見に行くこの課外授業。

はっきり言ってダルい。

好き好んで自分の前世を覗きに行くヤツいるのか?

そんなヤツはナルシストだと俺は思う。

もう、終わった人生だ。パッと散った人生だ。

今更振り返っていい事なってないだろう。

実際俺の記憶はマダラだけどな。

記憶という記憶がほぼ消滅している。

でも戦の記憶、特に気持ちというか想いが残っている。

それだけ俺(信玄)も必死だったんだろう。

もう少し若かったならとか、もう少しやり様があったんじゃないかとか、そういう想い………


周りの部下の甘言に乗せられ乗せて、まさに修羅の世界へまっしぐら。

気を抜いたらこっちが殺られる。下剋上なのだ。

だから、後悔しても意味がない。

やり直しは効かない。

いつもいつも一発勝負。

そして負ければ無慈悲に命を獲られる。

自分だけならいい。

一門…… 皆の命だった。

そんな過酷な世界だったんだ。

戦国時代は………


仕方ないけどな……

でも後悔をしない訳ではないのだ。


だからかな~……

今世は緩々との~びりしよう。

気楽にダラく生きようぜ♪と思うわけだ。

例えて言うなら、モブってヤツだな。

ホント上にいるといろいろと面倒で辛いからな。

横のつながりや縦のつながりでめんどくさい。

戯れ言なんかに振り回されるのマジ勘弁。


実際、俺それで実の父親追い出したからな。

めちゃくちゃ約束破り捲ったからな。

ホント今思えば、それはやったらダメだろうと思う。

でもなぁ…… 

例えば親父にその当時、どう考えているんだと聞いたとして

話してくれるとは思えないんだよ。

やっぱり結果的に同じなんじゃないのか?

どちらにしろ、ホント世知辛い世の中だったな。


戦国時代は………



***************



ハァ~……… ダルいな~。

見学施設には着いたんだが、何故か多少規制がかかっている。

何でも今人気の芸能人グループが取材に来ているそうだ。


「そう言えば今度武田信玄のドラマ撮影あるから、それ関係の何だろうね」


与志郎がなるほどなるほどと、頷きながらパンフレットを見ている。

聡介は周りをキョロキョロしている。


「何キョロキョロしてんだよ?」


俺は気になって聡介に聞くと


「どうもその芸能人の一人は、俺の姉貴の大ファンのヤツなんだ。巧い事サイン貰えば、いい思いしそうだろ」


卑下た笑いを浮かべて俺を見る聡介。

何とも見下げ果てたヤツだ………

すると向こうの方から女子のキャーキャー騒ぐ声が聞こえてくる。


「あそこか………」


ニヤリッと笑う聡介。

俺は冷めた目で見ている。

ズンズンとそちらに向かって行く聡介。

同じグループの俺達も向かわずにはおれず


「与志郎行くぞ。聡介の暴走だ」


「ラジャー!」


俺達二人もその騒がしい方へ向かって行った。




結果だけ言おう。

サインは手に入った。

良く貰えたなと思うだろう。

ちょうど俺達が来た時、彼らは休憩中だった。

その周りを取り囲むファンの子らとスタッフ。

そんな中聡介は突撃する。

聡介はバスケ部の選手だ。

身長高いし、がたいもいい。

そんなヤツがズンズンと突撃してみろよ。

皆避けて逃げるだろう。

だから簡単にヤツは、姉貴のファンと言う男の前に立った。

そんな聡介を、慌てて追いかける俺達。


「こんにちは。姉貴がファンです。サインください。俺はそれを元手に、いい思いしますので…… 」


聡介は素直に自分の欲望を伝え、芸能人にサインを強請った。

だからだろうか………

周りのスタッフもファンの子らも大爆笑。

その芸能人も姉貴持ちだったらしく


「弟はいろいろとツラい立場だからな。これが助けになるなら、喜んで使えばいい!」


と気前よく貰えたという訳だ。

普通はそう簡単に貰えないし、周りのファンの子らやスタッフも許さないだろう。


”ホント強運だよな。聡介は…… ”


とにかくそんな友人を持つ俺達は大変だ。




*****************




「もうやめてくれよ聡介。マジ肝が冷えた。」


与志郎が涙目で訴える。

だよな、運よく穏便に済んだからよかったけど………

引率の教師にどやされそうだ。

それにだ、女どもが知ったらどんな反応するか

女の集団行動は何をするかわからない。

それでも暢気なのが聡介だ。

何も考えていないとも言える。


「話のわかるヤツで良かったよ。これで姉貴にこき使われなくて済む。」


それを聞くと何も言えなくなる俺。

そういや前世の姉も似たようなものだったなとふと思い出した。

俺もよくこき使わてたよな………


いつの時代も弟という存在は、姉にとって無情なのだ。


展示物をいろいろと見ていく。

刀や鎧具足が所狭しと展示されている。

ほぼレプリカだろうな。

色々書かれてあるが、読む気は今一つ起きない。


”それよりスマホ出してゲームしようか”


ハッキリ言って退屈だった。


「はる、外に行って気分転換しよう」


与志郎も飽きたのだろう。聡介も頷いていた。

俺達3人は外に出て近くの軽食のお店に入る。

そこで飲み物を買い、庭園でのんびりとしよう。


「マジで飽きた。歴史好きにはたまらんが、俺は活字を見ると眠たくなるタイプなんだ。」


「俺も………」


「以下同文………」


与志郎の意見に賛成な俺達。

学校で授業受けるよりマシだけど、歴史の課外授業はツラいな。




****************




そしてまた館内に戻りだらりだらりと眺めていく。

自分のまだら記憶はホント仕事をしない。


”俺って一体なんなんだ?”


ホント史実の内容の出来事くらい記憶があったら、何か役立てただろうに………

感情の記憶しかねぇ。

そんな事を考えながら歩いてると

キャーキャーと騒ぐ声がする。

ああ、あの芸能人がいるんだな。

見れば確かにいるのだが、皆の目線は別にある。


「なあ、あそこ何が展示されてんだ?」


「わからん。女どもが騒ぐ物があるんだろう」


「なんだろうな?」


芸能人そっちのけで、キャーキャーと騒ぐような代物。

何なのか、全く想像もつかない。


「あれ~、さっきぶり~♪」


芸能人に、知り合いの様にあいさつされる俺達。

かなりおかしな状況だが、一応頭を下げる。

人懐っこい与志郎はニッコリと笑顔を返し、聡介も笑っている。

まあ、賄賂貰っているからな。


「えっと、同じ学校の女子が騒いですみません。」


何故か謝る与志郎、お前は保護者か?!


「俺達に対してじゃないけど(笑)」


「だな。尊いと言って気絶寸前の子もいたぜw」


クスクスと三者三葉で笑っている。

一体なんなんだ?

そんな反応するモノは??

俺たち三人は、皆が過剰反応している物に目線を送る。

確かに送る途中変なため息つく女がいたが………

恍惚となった表情がすこぶるキモい。


「ああ、なるほど……… だからか!」


「だな。腐女子どもが騒ぐわけだ」


与志郎と聡介は納得してうんうんと頷いている。

ちくしょう……… 俺がいる床だけ異様に層が厚くて見えねぇ。

原因は少し前にいる芸能人だろう。


「見えるか?」


何故か俺に訊ねる芸能人。

ここで見えないと言うべきなんだろうか………

俺が悩んでいるうちに、アチラさんは痺れを切らし様で、その場から前へ引っ張られる俺。

周りの女子がキャーと言ってなぜか騒がしい。

しかし顔がめっちゃ近くあるな。綺麗な顔してやがる。

さすが芸能人ってヤツだな。


「これで見えるだろう。」


そう言ってその品を指差す芸能人。

おお、ラッキーと思いイソイソと確認する。

そしてそこには………




”武田晴信誓詞 ”


一、弥七郎に頻に度々申し候へども、虫気の由申し候間、了簡なく候。全くわが偽りになく候。


一、弥七郎伽に寝さし候事これなく候。この前にもその儀なく候。いはんや昼夜とも弥七郎とその儀なく候。なかんずく今夜は存知も寄らず候の事。


一、別して知音申し度きまま、色々走り廻ひ候へば、かへって御疑ひ迷惑に候。



この条々、偽り候はば、当国一二三明神、富士、白山、ことには八幡大菩薩、諏訪上下大明神、罰を蒙るべきものなり。よって件の如し。内々宝印にて申すべく候へども、甲役人多く候間、白紙にて、明日重ねてなりとも申すべく候。



七月五日                  晴信


  春日源助との     




あり得ない文と、前世俺の名があった。



そして冒頭の展開が待っていたのだ。




****************





「どうしたのはる?」


「君、大丈夫?」


俺はフラフラと後ずさり、近くの椅子に座って茫然としている。

えっ、俺ホモだったの?マジで?!

記憶にない出来事とは恐ろしいものだ。

でもアレ確かに俺の字だった。

何であんなモンが残ってんだよ………


「………… ウソだろ。」


俺はもう訳のわからない感情が吹き荒れている。


「どうやら、武田信玄がホモだった事がショックの様だ」


「だな。でも戦国時代当たり前だったんだから、気にする必要ないと思うぞ」


「「そうそう」」


何でか芸能人三人と与志郎と聡介に慰められる俺。

でも俺はそれどころじゃない。

恥ずかしいやら死にたいやらで、何なんだよ?!

あんなモン展示するじゃねぇよ!!

あれこそプライベートの侵害じゃねぇのか!!!


「君、武田信玄ファンなの?彼は結構いろんな男と関係があった様だよ」


更に親切に教えてくれるが、それは傷に塩を塗る行為だ。

よしてくれ!なんで今更こんな思いしなきゃなんないんだ。

アレからどれくらい経ってんだよ?!単なる紙がなぜ残る?!

この手紙に偽りありで、今罰を受けてるのか!!


「マジか~…… 」


俺頭を抱えて落ち込む。

昔の俺はいろいろとクソみたいなヤツだったようだ。

時間差で罰を受けるなんて、ありえねー………


「ええ~?!、はるそんなに武田信玄好きだったっけ?」


「イヤ、歴史自体苦手とするから、どうだ?」


「でもはる、信玄の字に似せてるんじゃない。何となく似てた」


「へぇ~、歴史苦手なんだ。それじゃ退屈だよね今日」


こいつら……… 長年の友達の様な感じで、寛いんな。

でも俺はもういろいろとダメだ。ライフゼロだ。

ホントなんで死んで罰受んだよ。

そこら辺の記憶ない分、衝撃も半端ない。


「そういえば君はるとか言われてるけど、まさか晴信?」


俺の落ち込み様に気付く美人見た目の芸能人。


「いいえ、字が違って春伸です」


俺は疲れたような顔で言う。

でもしっかり訂正したい。一緒に思われたくない。

すまん、昔の俺。


「ギャハハ、コイツの名前は昌信。まさにそのまま♪」


凄く楽しそうに言う、ワイルド系芸能人。

ゲッ、マジか?!


「煩いな。別にいただろう。」


嫌そうに言いながら、何故か俺の面倒を見ている。

こいつ昌信って……… 

どんな確率の当たりだよ?!

年末ジャンボよりスゲーよ。

俺ホント今罰を受けてんだろうな。

今度お参りした方がいいよな。


「これで字も一緒だったら運命だと言って、腐女子どもが騒ぎそう」


爽やか系芸能人も楽し気だ。

俺はぜんぜん楽しくないけどね。


「イヤ、字関係なくもう騒いでる」


「スゲー地獄耳w」


聡介と与志郎はウンザリ気味だ。

そして俺を憐れんで見ている。

今だ背中をさすられ、慰められている俺。

考えなくても確かにこの構図はかなりヤバい。


もう大丈夫だと言って、俺は急いで立ち上がる。

ホントか?と心配そうに見ている昌信って名前の芸能人。

そしてそれを更に喜んで見ている腐女子達。

はっきり言ってカオスだろう。

テレビスタッフらは、遠くで笑いながら見ている。


俺達を見ながら皆がニヤニヤしていた。

もう何でこうなるんだよ?

今世の俺はノーマルなんだ!

絶対武田信玄の生まれ変わりとか言わない。  

バレたら恥ずか死ぬ。


俺は心の中で固く誓った。




****************



「クックックッ……… 、御屋形様は相変わらずだな」


ワイルド系芸能人は面白そうに言い、とても楽し気だ。


「ホントに、考えている事が垂れ流しだ」(笑)


爽やか系芸能人も懐かし気に笑う。


「ホントに、ついつい揶揄いたくなるのも、構いたくなるのも相変わらずだ」


去って行った方を眺めている目は、どこまでも優しく嬉しそうだ。


「しかしどうやら記憶は曖昧のようだ。なあユーキ」


「そうだね。あそこまでショックを受けているんだもん。笑えるよね、マサもほっといていいの?」


困った顔で見ると、とても愉快そうな表情がうかがい知る。


「アレはアレで面白いじゃないか。真実は闇の中だ」(笑)


とても楽し気で何か腹に一物ありそうだ。

全く昔からマサは御屋形様に執着がある。


「確かにな!恥ずかしくて言えねぇよな♪ガキじゃねぇんだからw」


昔の夜は、今の様に明るくはない。どこを向いても闇の中。


「それを言っちゃダメだろ。それを隠して伽と言った武将は以外といたんだから。したとしても単なる娯楽の気晴らし、スポーツのようなモノだしね」


どこに刺客がいるかもわからない。

身内さえ敵なのだから。

どこかで気を晴らさないと、殺られかねない。


「まあな。辺りは死臭と死体もあるし、恨めしや~って出そうだもんな。夜なんか真っ暗だし、天幕の明かりは蝋と薪くらいだ。お化け屋敷も真っ青だぜW」


「今でもお化け屋敷苦手そう♪大騒ぎだろうね、御屋形様」


想像してとても楽しくなり、クスクスと笑うユーキ


「それはそれで、おもしろそうだな♪」


ギャハハ……… と楽し気に笑う正敏。


彼ら三人は前世持ち。

それも武田三弾正と言われた者達。

逃げ弾正・槍弾正・攻め弾正

もちろん記憶はまだらではなく完璧だ。


「しかし記憶が曖昧なのも、ある意味神の采配なんだろう。臆病者な御屋形様らしい。」


ヤリ弾正の正敏は面白そうに、口の端を伸ばす。


「でも可哀そうに何で残っているのやら。あの手紙は君の悋気が原因だろ。一人寝が怖いだろうに謝罪文なんか書かせて、別に添い寝くらい許してやってもいいじゃないか……… 」


呆れた様に避難がましく言う、攻め弾正のユーキ。


「誰彼構わず声をかけるからだ。それに反応が楽しいじゃないか」


クスクスと愉しげに笑う逃げ弾正のマサ。


「ホントなんでこんな男を信頼したかな。怖がりになったもコイツの悪戯が原因じゃん」


「全く……… あんまり御屋形様をからかったらダメですよ。なぜか手紙も残ってるし、どれだけ大切にしまってたんですか。


「フフフ無理だな。それが私のライフワークだからね、今世で出会えたのも僥倖♪」


凄くワクワクとして表情のマサ。

あの青年の今後が思いやられる。


「「鬼畜だよ、お前は」」


今度はどんな悪戯の策を練るのか、付き合う俺達も言えた義理じゃない。






読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 秋の公式企画から拝読させていただきました。 前世の記憶があるのも良し悪しですね。 春伸くんはこれからも大変そう。
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