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午後の居場所

作者: 超伝説巨匠じゅんぶんが君

挿絵(By みてみん)


しずくが水の入ったグラスの縁を滑って

テーブルに滴った

語りかける者はなく

無為な午後

物憂げなマスター

ただ所在無く


ちょっとだけうまく画けた絵を

褒められた

朝の教室

崩れかけのビルの一室

ちょっぴり反芻して

ひとり微笑んだ


今日はちょっとだけ

人と話した

まだ

ありがとうと言えるみたいだ


やっと入ったバイトの金

回転寿司のカウンター

カッパ巻きを頼んだのに

金の皿

せわしないランチタイム

走り回る若いホール係


ちょっとだけ逡巡して

声をかけた

丁寧な謝罪

つらそうな笑顔

慌てて店を飛び出した

ごめんよ


そんなつもりじゃない

二時間前

まだ

思いやれるみたいだ


天井から垂れている

イミテーションの蔦

だらしなく色褪せて

埃っぽい葉っぱ

春も秋もなく

僕とおんなじで


入ってきた二人のサラリーマン

ガラガラの大阪弁

でかい取引が入ったそうだ

ずっと喋り通しで

生命力に満ちていて

巨大で


怖くなって

仕方なくカップに手を伸ばした

ほとんど口をつけていないコーヒーは

すでに冷たく


僕の居場所は無くなった

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