漫才「夢は大きく、月旅行」
ツッコミ「気の晴れない毎日だから、冒険旅行したい。夢は大きく。」
ボケ「とかなんとか言って、実はふられて傷心旅行。借金地獄で夜逃げ。」
ツッコミ「ネガティブすぎ。前向きに冒険して、天高く輝く月に旅行してみたい。」
ボケ「自分にもっと正直になろう。地球の女性がダメだから宇宙人と合コンだろ。」
ツッコミ「気持ち悪ぅ!俺の彼女はETか。子供の頃、月に行くって思わなかった?」
ボケ「ぜんぜん。お月さまはお団子食べて見るもの。君はワオーンって吠えるもの。」
ツッコミ「バンパイヤか。」
ボケ「でも月って遠い。」
ツッコミ「たった38万キロ。」
ボケ「エキスポシティの観覧車が百万回まわる距離だよ。」
ツッコミ「何て喩えだ。目が回る!もうすぐ海外旅行の代わりに月に行く時代だ。車は外車、料理はイタリアンの俺にピッタリ。夢は大きく。」
ボケ「外車とイタ飯?フィリピン製スケボーと宅配ピザで偉そう言うな。」
ツッコミ「バラすな。いいかい、もうとっくに月旅行の計画できてるから、どんなに素晴らしい旅行か君に教えてあげるよ。」
ボケ「ふーん。イチモツの不安あるな。」
ツッコミ「一抹の不安!まず持ち物準備。」
ボケ「ドキンちゃんの抱き枕。」
ツッコミ「何歳?食べ物の確保でしょ。宇宙食3週間分。」
ボケ「先生、バナナはおやつに入りますか?」
ツッコミ「小学校の遠足かよ。次は宇宙服。試着しよう。」
ボケ「ごついツナギだな、足を入れてボンベ背負って、ヘルメット。オエー、ゲーッ」
ツッコミ「どうした、吐きそうになって。」
ボケ「口臭い、足臭いから、宇宙服の中たまらん。」
ツッコミ「歯磨きして風呂入れ!そして家族に挨拶。」
ボケ「お父様お母様、先立つ不孝を。」
ツッコミ「縁起悪い。」
ボケ「竹から生まれた私を育てて下さって有難うございました。」
ツッコミ「それはかぐや姫。」
ボケ「お父様の経営方針は間違ってます。」
ツッコミ「家具屋のお姫様社長。忘れてあげて。」
ボケ <手すりを右手で持って立ち>「では行ってまいります。え?左側に立つ?東京は。」
ツッコミ「エスカレーターで月に行かない!しかも東京のに乗って。スペースシャトルやロケットに乗る。昔のテレビにあっただろ、サンダーバード3号。あれに乗ると思って。」
ボケ「なるほど。『京都を出ますと、福井、あわら温泉、加賀温泉の順に停まります』。」
ツッコミ「それ特急サンダーバード3号。いいからロケットに乗ったとしよう。秒読み、3・2・1発射!」
ボケ「おお~速い。日本が小さくなる。」
ツッコミ「地球全体見える?宇宙飛行士ガガーリンの名言どおりだろ。」
ボケ「ババーリン?」
ツッコミ「違う。地球は・・。」
ボケ「マックだらけ。」
ツッコミ「地球は青かった。それも知らなくて恥ずかしい男だ。」
ボケ「恥ずかしい。大阪人なのに、マクドをマックって言った。カッコつけて。」
ツッコミ「そこ?地球から離れたら無重力になる。」
ボケ <宇宙遊泳しながら>「浮いてるよ、宇宙食あるから昼飯代浮いた。」
ツッコミ「その『浮く』じゃない。」
ボケ「ぷかぷか浮いてる。楽屋の君みたい。」
ツッコミ「ほっといてくれ。さあ、あっという間に月に着陸しました。」
ボケ「7泊8日何して遊ぼかな。でも何も生えてないし、殺風景だよ。」
ツッコミ「違うな。宇宙がよく見えて、静かで壮大なんだ。夢は大きく。」
ボケ「何か生えてくるようにしてあげよう。」<瓶から水を撒き、地面を叩く>
ツッコミ「何してる?植物は育たないぞ。」
ボケ「育毛剤かけて表面叩いた。」
ツッコミ「頭じゃない!」
ボケ「そうだ、記念に砂を持って帰ろう。」<しゃがんで砂集め>
ツッコミ「甲子園の高校野球と違う。」
ボケ「あ、忘れた。砂入れるレジ袋。」
ツッコミ「せこい。夢は大きく。」
ボケ「また忘れた、DVD返却。延滞料かさむ。」
ツッコミ「しっかりせい。」
ボケ「あれ?向こうに生き物の気配。」
ツッコミ「宇宙人か?世紀の大発見だ。」
ボケ「何か言ってます。『アイ ロスト トゥ ザ タートル インザ レース。』訳します。私は競走で亀に負け、罰ゲームで餅ついています。」
ツッコミ「昼寝ウサギが餅つきかよ。ないない。」
ボケ「あれ、どうした?聞いてないよ!急に暗くなって、何も見えなくなった。」
ツッコミ「今日は新月の日だ。ならば満月まで半月、宇宙の暗闇を楽しもう。夢は大きく。」
ボケ「真っ暗で怖い。大阪帰る。」
ツッコミ「でも一度経験するのも悪くないだろう?月旅行。」
ボケ「冒険的だけど真っ暗な中で半月は辛いな。」
ツッコミ「よりによって新月の日に着くだなんて、月はあっても君にツキが無いんだね。」
ボケ「うまいこと言うね。漫才師みたい。」
ツッコミ「いい加減にしろ。」