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邂逅-4
「ほう……!」
『魔王』の紅玉色の瞳が輝く。
やはり子供のようだ……ネイトは再び思う。
しかしそれは先のような微笑ましいものではない――残酷なまでに純粋な好奇の瞳。
「菓子だけでなく、『玩具』まで持ち寄ってくださるとは。
宰相閣下は子供を喜ばすのがお上手であられますな?」
「滅相もございません。」
揶揄うように言葉を投げてくる『魔王』に対し、ネイトは努めて冷静に返す。
……まさか、先程までの考えを見抜かれたわけではないだろう。
「これに対し、私、『王国宰相』ネイトは二つ目の盟約に基づき、これを早急に排除しようと考えております。」
「なんと。」
「つきましては、彼の者については当面王国が対処に当たるということで、『魔王』側からの手出しは控えていただけるようにお願いしたい次第でございます。」
「ふむ……。」
見るからに鼻白んだ様子の『魔王』を、逃がすまいとばかりに正面から見据える。
呑むはずだ……いや呑んでもらわねば困る。
玩具遊びで国が滅ぼされてはたまらない。
そして、『魔王』は盟約に忠実であるはずなのだ……。