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第1話 都市ゼンダの盗賊

異世界召喚 86日目


朝、

公都ルピアを出発する


城壁正門を出て、後ろを振り返る。大きな正門を見上げる


次、この城塞都市に来るときには、もうルピア公国ではないので、城塞都市の名前も変わっていることだろう


ブルガ公爵から‥

身代わりにされた王子や王妃は、ルピア公国が滅んだ今では、人質の価値はないだろう

との事で、イシュ王都へ連れて行くことになった


問題は、都市ゼンダで博影が助けた親子3人…

ルピアに身寄りもなく、子供2人を連れて女手一つで育て、生きていくことは難しい…

結局、博影が引き取ることになったが、親子3人の引率役を…無理やり嫌がるルーナにお願いした

というのは…


博影は、この機会に、この穀倉地帯のブスタ大平原周辺の村々に立ち寄り

この国の農村等を見ておきたい

殲滅戦となり、破棄された都市を見ておきたい

と考えたので、王都への帰り道は、ドウイ川を船で上るカローイ達と

馬で王都へ帰る、博影、システィナの2班に分かれることになった


2人だけでの移動を、カローイは最初渋ったが、


スポイツアから内部は治安が良い、又

仮にもイシュ王国内…モスコーフ帝国軍と戦う事はないし、盗賊等の類なら、博影・システィナは引けをとらない…ということで、しぶしぶ了承した


ルーナは…最後まで博影と行きたい…

と、がんばったが、親子の面倒を見ろとカローイに却下され、博影からもお願いされしぶしぶ了承した



城塞都市ルピアの裏門の船着場より、2艘の船で王子、王妃、2人の騎士、都市ゼンダで、博影が助けた親子(3人)に、監視・護衛役のカローイと、ダペス家10人の騎士が乗り込み、ドウイ川を北上していく


騎馬で移動する、博影、システィナより2日程、早く王都へつくだろう

博影とシスティナは、都市ゼンダへ向かった


本当は、今後の事もあるので

城塞都市ルピアの後方支援として、いずれ利用していくかもしれない殲滅された都市ニャニンと、都市ビサドに寄りたかったのだが、

ルピア城まわりの治安にまだ不安がある、又、

時間がかかりすぎる‥

と、カローイに心配され、直接都市ゼンダへ向かった


魔法陣で、騎馬の体力を回復させつつ移動する。初日は村の納屋に泊めさせてもらう

黒い術袋に入れてある干し肉やチーズ、酒などを出し

納屋を貸してくれた、村長と家族と共に食卓を囲む

いろいろ話を聞き情報収集をする


2日目、都市ゼンダへつく。正門に回り、中へ入る

広場で馬を降り、付近を回る

都市ゼンダは、まだ陥落し数日しかたっていないというのに、カラスや小動物が住み着き‥閑散としていた

まるで、数年放棄されている町に思える

殺された人々は、焼かれたのか‥動物に食べられたのかはわからないが、骨が所々に散らばっているだけで遺体は全くなかった


町は火を放たれ焼かれたが、石造りの基礎は残っているので、手を加えれば駐屯地として使えそうであった



「おいおい、こんなところを2人だけで‥巡礼者か?」


建物の中から、博影とシスティナを見つめる者がいた

巡礼者と思うのももっともだ‥博影とシスティナは、村々に寄り易いように、白いローブをまとい、頭まで被り口元も覆っている


「商人だったら殺しやすいがな」


一人の男がつぶやく‥


「依頼は、盗賊‥だ、気にするな。神の罰とやらも、あの依頼者に降りかかるだろうよ、おい、逃げられないように囲むぞ」


もう一人の男は、傍らの男に指示を出す。指示を受けた男は、建物の裏から出ていく


システィナは、人に見られている気配を感じた。そして…その気配は殺気に変わった‥


‥博影、気を付けろ誰かいる‥博影に寄り、つぶやく


建物より、3人の屈強な男たちが出てきた


「おいおい、おまえら何か用か? ここは、俺たちの町だ、怪我しないで帰りたいなら、通行料として命以外、全部おいていきな」


真ん中の男が、大きな声で二人を脅す


この世界では、国と国との国境だけでなく、異なる領主が納める土地を通るだけでも、通行料を取られる

その為、通行料を取られない領主から許可された巡礼者以外は、金持ちの商隊でないと、移動することはままならない


国を守る情報統制としては良いが、人の行き来、物の行き来が大きく制限され、この世界が発展しない一つの理由となっていた


「貴様たちに渡すものなどない!」


システィナが、左手で剣を貫き構える。博影も、術袋からアーチェリーを出す


「おぉー、おまえ女か、それも若いな。おぅ、おまえら女に傷つけるんじゃねえぞ、お楽しみがなくなるからな!」


大きな男が、手を上げると、周りの建物から20人ほどの盗賊が現れた


…多いな、黒剣を使いたいところだが、黒騎士と悟られる可能性があるし…


博影は、矢を引き絞り放つ。矢は、この盗賊のリーダーと思われる大きな男の頭を貫いた

一声も発せず、男は後ろに倒れ絶命した


すぐさま、第2、第3の矢を放ち、2人片付け

アーチェリーをしまい、大きな聖石をはめてある剣を取り出し、両手で構える

博影とシスティナは、お互いに背をあわせた

システィナは、右手がないため、右側から剣で攻められると分が悪い

そのため、博影の背中に右腕側を少し向け、斜めに立った


じりじりと、輪を狭めてきた盗賊たち…3人が掛かってきた

システィナへ一人、博影へ二人…

博影は、盗賊二人の剣を体に受けた


白いローブの下には、黒いマントと軽装備の黒い皮鎧をつけている

その為、魔力をかなり上昇させておけば、剣に貫かれることはない

だが、黒い甲冑と異なり衝撃は多少受けた


博影は、両手で構えた剣で、盗賊の体めがけて突き出す

突き出された剣は、盗賊の腹部に深々と刺さった

すぐに抜き、もう一人へ…突き刺す


盗賊は、システィナの剣を払おうと打ち込んでくる

その力を利用し、盗賊の剣を空高く跳ね上げ、そして、盗賊の首元に剣を突き立てる


一瞬にして、盗賊三人が倒れた


まわりを囲んでいる盗賊は…目の前の事が信じられなかった

体格は少年と思われる巡礼者

その者が、盗賊の剣を体に二つ受け倒れず、逆に二人を倒した


なぜ…血を吹いて倒れないのだ


「おまえ、システィナか?」


奥の建物より、一人の男が現れた


「ギュラー砦での戦で、黒騎士に切られ死んだと聞いていたが、生きていたのか?」


盗賊たちが左右へよけ、その男が前に出る


「まさか…ギャイか? なぜ貴様がここに、モスコーフ帝国軍に雇われているのではないのか?」


システィナは、ギルドの紹介により、モスコーフ帝国で数年傭兵をしてきた

そのとき、数回、同じ部隊に居合わせたことがある男が目の前にいる

それも、盗賊として


「そうか、モスコーフ帝国軍に雇われ、敵の前線かく乱の為に、盗賊を装っているということか…」


「まぁ、そんなとこだ、お前もつくづく運のない女だな。というより、俺に運があるのか、こんなとこでお前に会えるとはな

さんざん俺を袖にしてきたお前が、ベッドの中で、どんな声を出すかと思うと…

クッ、クッ…それにお前、利き腕で剣を構えない

右腕がないな。お前ら、二人がかりでいけ!」


ギャイは、傍らの傭兵たちに指示した


…ここまでだな、ただの盗賊ではなく傭兵か、出し惜しみしていたら死ぬな…


博影は、剣をしまい変わりに黒剣を取り出す。見えないようにマントの下に隠し…


ギャイの指示で、博影に戦斧を構える傭兵が向かってきた

傭兵は侮り、大きく振りかぶると、博影の頭を狙い振り下ろす


ズバァァッ


博影の黒剣は、戦斧ごと傭兵を真っ二つにした


次々に振り下ろされる剣を、体に受ける。博影は一太刀で傭兵を真っ二つにしていく


そのとき、システィナは、博影の背中から少し離れた

博影は、剣をはじめて間もない。剣を振り回すため、背中の仲間にも刀傷を負わせてしまう


しかし、システィナは仲間の背中から距離を置くと、右腕側から仕掛けられる刃をさばかなければならない

一対一ならよいが、二人がかり、三人がかりとなると、もはや対処が困難になる

三人に囲まれ、システィナが、追い詰めらる…


「シス、俺の背中に来い」


博影は、シスと背中合わせになり、足元へ魔法陣を出現させた


「シス、受けを頼む」


傭兵が切りかかってくる。黒剣の間合いに入る前に、黒剣を振り下ろす


…なにをばかな…


切りかかっていった傭兵は、その届かない切っ先を振り下ろす博影によけもせず走りより…

自分の体から、血が滴り落ちる事を感じ、そして、二撃目を受け絶命した


「なんだあれは…」


ギャイは、目の前のことが理解できなかった


システィナと同じくらいの背の少年は、足元に淡く光る円のようなものが出現し、黒剣を間合い外から振るう

すると、その切っ先から黒いもやのようなものがなびき、傭兵の体を深く刻む

怯んだところに、二撃目を放ち止めをさす


そして、システィナは受けに回り

少年と体を入れ替えることで、少年が傭兵を切り飛ばしていく


少年の白いローブが、数回の剣戟を受け、敗れ落ちた

その下には、黒いローブがあった


「黒い剣、淡く光る足元の円…魔方陣…まさか、皆殺しの黒騎士…か」


ギャイと、数人の仲間は理解した


「ひくぞ!」


ギャイの号令で、傭兵たちは四方へ散らばり逃げる


「逃がすか!」


博影は、アーチェリーを取り出し続けざまに、放つ

3人は倒したが、建物が邪魔しそれ以上は、放つことが出来なかった


2人は、馬に乗り急ぎスポイツアに向かった


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