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第20話 公都ルピア殲滅戦 7

異世界召喚 83日目


公都ルピア…

その城の地下一階の壁の裏にある、秘密通路…

その秘密通路の一つは、ドウイ川へ向かっており、その通路奥には3mほどの間隔で3つ

聖石を嵌めてある大きな鉄のハンドルが、石畳の床にあった


ダペス家の騎士が、2人づつ鉄のハンドルについていた

それぞれが、聖力を高め聖石へ力を込めていく

そして、聖石へ聖力が込められたハンドルは、やっと2人がかりで回る

騎士達は、奥のハンドルから回していく


…ゴゥゥ~…


石畳の床下より、大量の水の流れる音がする

その大量の水は、地下の大広間へ向かい流れていき、大広間から、森へつづく脱出用の大きなトンネルに

勢いよく流れ込んでいく…


「うぁ~~、水だぁ~水がきたぁ~」


「はやく、はやくいけー」


通路の中にいた市民兵達は、パニックに陥った

我先に、森へ向かって引き返そうとするが、トンネル内にはすでに、3000人が入っており、その後方は、城を目指し進んでいる


引くに引けず、進むにすすめず…あっというまに、水がトンネルに満ちていき

ランプ皿や松明の火を消し、トンネル内を怒号が響く、漆黒の闇とした


そして、トンネル天井まで水が満ち…怒号は聞こえなくなり…


しばらくすると、

トンネル内で動く者は、だれもいなくなった

ただ、水の中を…3000人の市民兵が、漂っていた



松明を地下一階の大広間に放り投げられ、炎であたり一面が覆いつくされたとき、

地下の脱出用トンネルの傍にいた傭兵達は、我先にトンネル内に逃げ込んだ

しかし、そこはすぐに水が流れ込んでいき、トンネル内を水で満たし、トンネルに逃げ込めなくなった


次々に、炎で焼かれ煙に巻かれ、傭兵が…騎士たちが倒れていく

その中、数人の騎士が必死で、かんぬきで閉じられた鉄の扉を戦斧で、剣で打ち壊そうとしていた


「もう、すこしだ!」


扉がゆがみ、隙間が出来た

戦斧を持つ騎士が、もう一撃全力で戦斧を振るった


ドガッッ


扉が、壊され床に倒れる

地下一階に充満していた黒い煙は、一気に、扉から階段へ流れ、階段を上り、城の裏手側の広間へ上がっていく

その光景を想定していたかのように、その広間の外へ続く扉は開けられており、黒い煙が、扉より空へ昇っていく


そして、扉付近でなんとか生きながらえていた数十人の騎士が、煙に巻かれながら、階段を登っていった


広い階段を登りきった

炎地獄と化した、地下一階から脱出できた騎士は…

ルピア公国騎士200、モスコーフ帝国騎士500、傭兵1000

のなか…わずか…

30人足らずであった


その中には、この夜襲隊の指揮官…ルピア公国のウガン伯爵、副官・騎士トマシェもいた


階段を登りきり…広間に這い出る

そして、頭をあげ、咳き込みながら新鮮な空気を吸い込んだ…

彼らが見たものは…数メートル先に立つ、黒騎士

そして、周りをぐるりと、イシュ軍の騎士たちに囲まれていた


「くっ、やはり貴様か黒騎士…」


ウガン伯爵は呻いた…


大戦果となるはずだった、ブスタ大平原での戦…

その追撃戦を邪魔し、

悪魔のような力でティザ川を、すべて飲み込む濁流とかえ

ルピア公国騎兵隊、モスコーフ帝国騎兵隊を壊滅させた…悪魔…


この世界での戦は、

騎兵の2割の損失で戦を継続するか考え、4割ほどの損失となると、隊形を再編できず

自然と退却になることが多い


しかし、ブスタ大平原での損失は95%以上であった

よって、主兵力を投入していたルピア公国の王・有力貴族達はうろたえ、すぐに公都を放棄し逃げ出した

しかし、このまま敵に公都をやすやすとやるわけにはいかない

ウガン伯爵は、一歩も引かず大公へ進言した


乗り気でない、ルピア大公を、モスコーフの知恵と呼ばれるスキピオ・ポエロ将軍の夜襲策だからと、しぶしぶ納得させ

この夜襲にルピア公国の残存騎士すべてをつぎ込んだ


その結果が…全滅


大火傷を負い、半死半生の身であるが、ウガン伯爵と、騎士トマシェは黒騎士から目を離さず、ゆっくりと立ち上がった


2人は頭部の甲冑を脱いだ…


「貴様が黒騎士だな。我が最後に、貴様に会えるとは運がよい」


ウガン伯爵は、自分の人生を皮肉った


「ブスタ大平原での戦いといい、この夜襲を読み、さらに逆手に取りわれらを全滅させた手際といい…戦において、大切なことは結果…勝つことだ

貴様は、その一点において賞賛に値する」


ウガン伯爵は、ゆっくり大剣を構えた


「戦において恨みを持つことは、志のないものが考えることだ、身分の低いものが考えることだ

だが………だが…貴様は…

我らルピア公国最後の騎士たちと剣を交えず、炎で焼き殺した

恨みを口にし、我が名が穢れようとも我が配下の騎士たちの恨み! 一太刀、与えてくれるわ!」


大きく叫ぶと、ウガン伯爵は黒騎士へ突進し、大剣を大きく振りかぶり、黒騎士の左肩から心臓へめがけ切り込んだ

しかし、大剣は黒い皮鎧に阻まれ傷一つつけることは出来ない…


「くっっ、びくともせずか…」


口元が、にやり…と笑った瞬間


黒騎士の剣が、ウガン伯爵の首を切り飛ばした

ウガン伯爵の頭は、空を飛び床に転がる

首からは、血しぶきをふきながら、頭を失った体は、前へ倒れた


そして、騎士トマシェ以下、約30人の生き残った騎士は、次々に黒騎士に切りかかっていく

みな、一太刀あびせ…死んでいった


周りを取り囲む騎士たちは、その光景を無言で見届けた

ルピア公国騎士団の最後を…


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