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第8話 ブスタ大平原の戦い 1

異世界召喚 70日目

スポイツア守備隊は、明日の戦で行う事があるわけではないが、守備隊の歩兵1000名が出陣するので、守備隊は騎兵200、歩兵500となる


おそらく、イシュ王都を出発した歩兵部隊は、明日夜に到着するだろう

ブルガ公爵の執務室から帰宅し、すぐにカローイは、歩兵隊長と打ち合わせの為、出向いて行った


博影は、なにかよそよそしいルーナとともに、ブルガ公爵の策にあった、歩兵部隊の陣の場所を見に行った

場所は、城塞都市スポイツアと、都市ゼンダの間を流れるティザ川を渡る手前の丘の裏側だった


「ティザ川が‥大きいな‥」


そろそろ、日が傾いてきた時刻、ティザ川は、ゆったりと流れていた


「川幅は、大きいところで約200m、深さは3mになるところもあります。イシュ国を三つに分断するように流れる、ドゥイ川、テイザ川は、大きく、美しい川で有名ですから‥

この2つの川のおかげで、このブスタ大平原は、国を豊かにしてくれる大穀倉地帯となっています」


ルーナも騎馬上より、心を‥雄大なティザ川と、周り一面の平原にゆだねた


ティザ川の、向こう岸に2人の騎兵が見えた‥


「敵の斥候ですね、そろそろ帰りますか?」


「そうだね、帰ろう」


馬を回頭し、心地よい風の中、スポイツアへ向かった



「明日は、朝7時に騎兵部隊、歩兵部隊は出発する。騎兵部隊は、ティザ川を越えて、都市ゼンダへ向かう

歩兵部隊は、ティザ川を越えず、ほとり手前の丘に隠れまつ

状況は、通信兵が知らせる。川むこうより、弓に文を結び放つそうだ」


みなで囲む食卓で、カローイが説明する


「まぁ、出番は万に一つもないと思うが、博影、もし出番があるときはどう戦う?」


「そうだな、追撃部隊は騎兵だから‥ティザ川を渡ってくる間に、俺とルーナ2人で弓を使い撃つ

そして、渡り終えたら騎馬で逃げ、ブルガ公爵の策通り、敵を引き寄せ、側面から歩兵部隊に突撃させる

敵騎兵隊が混乱したすきをつき、撤退すると見せかけていたブルガ公爵達騎兵隊が、騎兵による突撃を行う」


‥みたいな感じかな‥と、カローイ達に話し、食事をすすめた

ルーナには、クロスボウの扱い方を教えていた

もしもの際は、数騎の追撃部隊は、2人の弓で不意をうち、撃ちとれるだろう


明日は戦だ

みな、少量のワインを飲みながら若干明日の事を話し、早々と部屋へ引き上げた


博影、ルーナもサウナで汗を流し、それぞれベッドに入った



翌朝、

貴族エリア正門前で、出発の儀が行われた

ブルガ公爵指揮の元、2500もの騎兵隊がスポイツア正門を出ていく‥圧巻の光景であった


騎兵隊出陣後、歩兵部隊1000名も続く

歩兵部隊とは言っても、博影、ルーナや、歩兵部隊長・副官、通信兵達は馬に乗っている


ブルガ公爵、騎士バチキ以下、騎兵2500は、ティザ川を騎馬で渡る

騎馬の鎧、騎士の鎧・武具はすべて聖石を施してある

騎士達は、聖力で聖石を御し、鎧を固くし、又重さを軽くする

よって、騎馬はなんなく、流れのおだやかなティザ川を渡っていく


歩兵部隊も、引き連れての渡河であれば、このように、スムーズにはいかないだろう

ブルガ公爵は、ティザ川渡河の事も考え、騎兵のみでの出陣にこだわっていたのだろう


テイザ川を、渡りきりしばらく進むと、はるか遠くの草原に騎兵数騎が見えた

騎兵は、急ぎ都市ゼンダ方面に引き返していく

こちらも、数騎の斥候を先行させる。これで、ルピア軍がどう出るか‥


騎馬を疲れさせないように、速歩を数回繰り返す程度で、そのまま数キロ進軍していく‥すると‥


「ほう、ルピア騎兵隊は正面から、我々とやりあう気ですかな」


騎士バチキが、嬉しそうにルピア騎兵隊を眺める


「いくら、数十年戦をしておらぬといえど、商業国家ルピアだ、様々な情報が入る。平和ボケしているとは、思えぬがな」


ブルガ公爵は、眼前の突撃体制の陣をはるルピア騎兵隊を見ても、まだ疑う


ルピア騎兵隊より、1騎、重装騎兵がこちらに向かってきた


「我は、ルピア騎兵隊副官、騎士トマシェである。いざ、一騎打ちを所望する」


右手に持つランスを高々と、掲げた。両軍に歓声が上がる


「ほぉ、1軍の副官が一騎打ちですか。ブルガ公爵、やはりルピア軍は、平和ボケしているのでは?」


やれやれ、といった風に騎士バチキがため息交じりに言い


「かりにも、相手は副官ですので私が行ってまいります」


言葉は、やる気は微塵にも感じられなかったが、騎馬をすすめながら騎士バチキは聖力を高め、馬具の‥武具の‥聖石へさらに聖力を注ぎ込んでいく‥


大草原を進む、重装騎士‥その甲冑は、日に照らされて輝く以上に白く、輝いて見えた


「1軍の副官が、一騎打ちをお望みとあれば、こちらもそれ相応の礼をつくそう。イシュ王国軍、副官、ウーヌスナイトのバチキである」


両騎士は、にらみ合う両軍の真ん中で、両軍に平行になるように馬をすすめ


ランスを右手に握り、猛烈な勢いでお互い突進した


ガキンッ、

お互いのランスが相手の鎧をつく

ルピア軍騎士、トマシェは若干ふらついたが、バチキは、微動だにしなかった


2回目‥ガキンッッ‥

トマシェは、落馬こそしなかったが、なんと、トマシェの懇親のランスの一撃をバチキは鎧で受け、跳ね飛ばした

トマシェのランスは、空中をクルクル回り、大地に落ちた

トマシェは、急いで自軍の方へ逃げた


「第一陣、突撃っ!」


ブルガ公爵の雄たけびで、第一陣約500名は、横一列になりランスを握りルピア軍へ突撃する

ルピア軍も、慌てて第一陣約500名が、横一列で突撃するが、一騎打ちで負け、気持ちが押されたその間を

うめることは出来ない


ルピア軍第一陣は、ことごとくランスに突かれ落馬し、又聖力の未熟な者は、ランスに串刺しにされる


「第二陣、突撃っ!」


第二陣が、第一陣のまるで隙間を通るように駆け抜け、ルピア軍へ突撃していく

ルピア軍は、総崩れとなった


ルピア軍騎士部隊は、混乱しながらも退却していく


「第三陣、縦列突撃っ!」


ブルガ公爵の指示で、横一列になっていた第三陣は、まるで駆けていく中央の騎士に惹かれるように両横の騎兵が駆けながら中央へ進み、縦列の陣になり混乱している戦場をすり抜けていく


そして、戦場をすり抜け、ルピア軍後方に陣取り、無傷で退却していく部隊に襲い掛かる

突撃するときは、逆に両横が広がっていくように陣を変え、次々に、背を見せて逃げるルピア騎兵隊をランスで串刺しにしていく


ブルガ公爵は、この第三陣でいったん突撃を止め陣を整えるつもりだった

しかし、一騎打ちで自軍の副官が、相手の副官のランスを、高く‥高く、跳ね飛ばして勝った


その勢いと、あまりにも華麗に突撃が決まり、もはや制止がきかない状態に陥っていた

騎士バチギは、第三陣を追いかけ、制止しようと試みていたが、追いつけない


普通なら、このまま追撃し掃討し後顧の憂いを断つ大勝利である


しかし、ブルガ公爵の歴戦の感が‥公爵の心をざわめかせていた


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