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第6話 スポイツアへ 2

異世界召喚 67日目


挿絵(By みてみん)




王都イシュを出発したスポイツアでの後方支援部隊(カローイ、博影、ルーナ等)は、騎馬にて宿場町メートを目指した。


途中、歩兵隊3000名の部隊を追い抜きメートに夕方到着、宿泊。


翌朝、都市ハーザに夕方到着、宿泊。


王都イシュを出発し3日後の夜遅くに、城塞都市スポイツアに到着した。

おそらく歩兵部隊は、5~6日遅れで到着することになるだろう。

先に到着していたブルガ公爵のところへカローイは到着の報告に行き、博影、ルーナらは先に休ませてもらうことにした。


翌朝、作戦会議の為に、カローイが朝早くからブルガ公爵の元へ行く。

博影とルーナは、スポイツアの治療所やスポイツアの中をあちこち見て回った。


夕食時に、カローイが疲れて帰ってきた。服もそのままで、食卓につく。


「カローイ、戦略会議はどうだった?」


カローイは、ビールを一息に飲んだ後、話し出す。


「石橋を叩いて渡るブルガ公爵にしては、珍しく歩兵部隊が到着する前に、ゼンダの兵を野戦へおびき出し、ブルガ公爵率いる2000の騎兵と、スポイツアに常駐していた騎兵500の合計2500の騎兵部隊で、一気に敵を殲滅する…と決まった」


「モスコーフ帝国軍の動向は、如何ですか? もしかして、後ろに帝国がついているのでは?」


夕食を共にしているダペス家の騎士がたずねた。


「いや、ルピア公国、国境に近い帝国の都市、ティミアラの密偵からは、公国へモスコーフ軍が、入国した形跡はない…との情報がある」


「そうですか‥しかし、なぜここ数十年中立を宣言してきた商業国家ルピアが、イシュ国へ‥攻める理由がないのですが‥」


騎士は、食事をすすめる。


「数十年戦の経験のない、ルピア公国が騎兵の強いイシュ国へ、戦いを挑む‥

どう考えても、隣国は帝国であるし、公国の騎兵部隊に、帝国軍が混じっている可能性が高い気がする。

それか、この戦自体が、スポイツアへ目を向けておくための陽動作戦か‥」


博影は、相変わらずなれないぬるいビールを飲みながらカローイに聞く。


「あぁ、ブルガ公爵や他の騎士達も、帝国軍が混じっている可能性を指摘していた。なめてかかるつもりはない、最初から全力で行くだろう。

陽動作戦は‥まぁ、ここまできたら仕方ないしな。多方面から、戦を仕掛けられたら、他の物が対応するしかない。我々は、まずは目の前の敵を撃破する事だ」


「今回は、後方支援‥お留守番ですから先陣を駆けれないのは、残念ですが」


ダペス家の騎士たちは、後方支援で安堵する気持ちはあるが、目の前の戦で、先陣をきれないことが悔しいようだ。


「まぁ、ブルガ公爵にお任せしよう。腹の奥の考えはわからない人だが、戦の強さは本物だしな。明日一日休息日とし、戦は明後日だ…という事だから‥今夜はみなで飲みに行こう」


カローイも、騎士達もみな上機嫌だ。そして、カローイ、博影、ルーナ、ダペス家の騎士10人‥13人で酒場に繰り出した。


………


「いいのかカローイ、こんな大人数なのに出してもらって」


博影は、カローイの懐を心配する。


「気にするな。それより、こんなところに来たのだから、ルーナの相手を頼む」


たしかに、こんなところだ。


以前、食事を兼ねて入った酒場とは異なり、あちこちに、露出度の高い服を着た女性がいる。その女性たちは、飲み物や食べ物をテーブルにもってきて、客が気に入ればチップを払い、テーブルで客の相手をする。そして、お金次第では、夜のベッドの相手もするようだ」


13人は、大きなテーブルに陣取り、カローイや騎士達は、酒や女性たちとの会話を楽しみだした。

ルーナは、店の雰囲気で感じるものがあるのか、怒っているというより、若干怖がって博影の横にくっついて、酒をちびちびと飲んでいる。


博影も‥男である。


前世界では、仕事に疲れていた40歳のおじさんで

女性と遊びたいとも思わないおじさんで‥


しかし、今は15歳の体、気持ちはおじさんでも、なにかにつけて、元気になることが多い中身は40歳、体は15歳のおじさんなのだ。


カローイ達め、自分達だけ楽しんで‥


この時ほど、護衛にルーナを連れてきたことを後悔したことはなかった。


「ルーナ、ここは女性が楽しむお店ではないみたいだね。先に、宿舎に帰る?」


期待を込めて、笑顔でルーナに尋ねる。


「いいです、博影様の護衛ですから。博影様に付き添います」


「いや、でも…カローイも、みんなもいるし、今日ぐらい、護衛を外れてゆっくり休んでいいと思うよ」


ルーナは、木のコップにつがれているワインを一気に飲み干し…


「嫌です! 博影様もお楽しみになられたいのでしょう。どうぞ、私の目の前で、他の女性と楽しんでください。

私、絶対に隣から離れませんから!」


ルーナは、博影をキッと強くにらみ、博影のワインまで、一気に飲み干した。


…ルーナに、心を読まれている‥


博影は、諦めてもう一杯飲んで帰ることにした。


「おーい、いつもの歌を一曲頼む」


カウンターより、1人の市民と思われる男が、カウンターの端に座る男に声をかけ、銅貨2枚をカウンター上を滑らし男へ放った。


男は、ハープのような形で、膝にのるくらいの小さな弦楽器を奏でながら歌い出した。



青く澄み渡る、雲一つないそら

アゼット川は、静かにながれていた


その水面にうつる勇壮な騎士が一声発すると

川の流れが止まってしまうかのような、

地響きをたて

2千の帝国騎兵が、正門を破りギュラー砦へうちはいった

砦の兵はみな城壁上ににげ、騎兵と戦える兵はいなかった

第2門も破られ、もはやギュラー砦は風前のともしび

4千の歩兵隊もうちはいり、帝国軍は、勝利を確信した


その時、第3門に黒騎士があらわれた

黒騎士の号令の元

ギュラー砦は、燃える水で炎の海とかした

帝国兵は、燃えながら必死で城壁をのぼった

しかし、帝国兵は一人、また一人と

燃え盛る炎の中に落とされていく


たすけてくれ、たすけてくれ

みな助けをもとめた

しかし、無常に一人、また一人と帝国兵は落とされていく

アゼット川に帝国兵は飛び込んだ

束の間の安息がおとずれた

その時、

あぁ、水面に黒い水がながれてきた

帝国兵は祈る 祈る 祈る


しかし、無情にも、

黒騎士がたいまつを投げ入れた

たいまつは、ゆっくりとアゼット川に落ちていく

神に祈りをささげながら

帝国兵は焼けていく


星がやさしくまたたいている

星は、昼間の事はしらない、みていない


黒騎士は去った

黒騎士は神か‥

それとも悪魔の使いか‥


アゼット川は、流れていく

多くの祈りを流していく


小型のハーブのささやかな音色が、窓の外へも聞こえていく。しずかな酒場が、またにぎわい出した。


「帝国兵、うちほろぼしてやる」


「おぉー、一人残さずたたっ切ってやる」


「ルピアめ、裏切りやがって、ぶち殺す」


あちこちより、気勢があがる。どうやら、多くの市民兵が来ているようだ。


後方支援、傷病兵の治療という事で来ている博影であったが、一気に、あのギュラー砦の感覚に戻された。


‥負けるわけにはいかない、ここを突破されると

王都との間には、城塞都市はない‥


博影の心も変わりつつあった、生きていくために‥




吟遊詩人‥小型のハーブを奏でながら、あちこちを回り歌を作る

あちこちの酒場で、歌を披露している

ギュラー砦での戦も、様々な吟遊詩人が歌い、回る

戦の内容が違っているが、

ただ黒騎士の100人切りと、無常な戦い方が

大陸に徐々に流れて行った

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