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第13話 ギュラー砦攻防戦 6

異世界召喚 30日目


博影は、ルデン辺境伯、カローイ達の後方20m程で、他の負傷している30名程の騎士たちと備えていた。内通者の傭兵らの殲滅が終わった直後、もうもうと黒煙があふれ出る第3門を鉄の板数枚で塞いだ。

ルデン辺境伯と博影は第3門城壁に上った。


第3門前の眼下には‥動く物は何もなかった。


「ルデン辺境伯、第2門、正門を見てきます」


眼下の状態に心を砕かれている辺境伯に伝え、博影は城壁を歩き出す。


人が5、6人ほど並んで通れる城壁上では、大壺の中の水で体を冷やす者‥火傷を負い仲間に抱えられ歩いている者‥重なり合う黒こげの人々から目を離せない者…様々な兵とすれ違う。


みな一様に黙っている。

博影はその中を急ぎ正門へ向かう。博影の戦いはまだ終わっていない‥




30分前‥


バウゥゥ~


大きな音が聞こえ、ギュラー砦から、黒煙がもうもうと立ち上っていく。

今しがた6000人の軍勢を突入させた砦正門からも、砦内が見えないほど黒煙があふれ出し…叉、すさまじい悲鳴も轟いた。


そして、体に炎をまといながら多くの兵士が、正門からあふれ出し、砦中央から流れ出る、アゼット川へ転げ落ちていった。

しかし、そのアゼット川も、しばらくすると水面を黒い水が覆い炎で覆われた。

正門からあふれ出した兵士たちは行き場をなくし、ただ体を焼かれながら必死で炎を消そうと、地面を転げまわった。

しかし、その半死半生の兵士たちに対し、無常にも正門城壁上部より矢が降り、兵士たちに止めをさした。



「ばかな…城を燃やしておるのか…」


正門から200mの位置で指揮を取っていたブルガル・タタン公爵、以下200の騎士、800の歩兵はその光景に立ち尽くした。

その間にも、正門からは火をまとった兵士が倒れ込みながら出てくる。

もはや、声を発するものはほとんどおらず、矢でとどめを刺されずともそのまま息絶えていく。


…黒こげの兵が正門前を埋めていく…


その間も、収まることなくギュラー砦正門奥からは黒煙が、澄み渡った青空を汚していった。


「タタン将軍退却命令を!」


タタン侯爵の左隣の騎士が、声を震わせながら進言する。


「6000もの兵を突入させている‥」


公爵は言葉が詰まった。

6000もの兵を突入させている。どのような事態でもおいそれとは退却出来ない。



これが人のなす事か‥いや、悪魔の所業か‥


ギュラー砦城壁上に黒い甲冑の兵が現れた。


「あれは、傭兵部隊から情報のあった100人切りの黒騎士です」


傍らの騎士が増悪がこもった言葉を発する。


黒騎士は、ギュラー砦城壁から飛び降りた。


驚くタタン侯爵以下1000の軍の前で、黒いローブをはためかせながらすぅーっと、正門前に降り立った。

黒騎士は、見たこともない異様な大きな弓を引き…矢をつがえた。


黒騎士の前方10mに、淡く輝く魔法陣が現れ回転しだす、

すると、その回転に引き寄せられるように、正門からもくもくとあふれ出ていた黒煙が魔法陣へゆっくりと進み、魔法陣へ到達したその時、黒騎士は矢を放った。


バシュッッッ……


魔法陣を貫いた矢は、黒煙を引き連れ1000の軍勢を襲う。

矢は、軍勢の前面に展開していた歩兵数人を貫いた。

しかし、矢に引き連れられた大量の黒煙は200人ほどの歩兵を覆った。

黒煙の熱はもはや人を殺すほどの力はなかった。しかし多くの歩兵が咳き込み苦しみだす。

油を燃やして出来た有害な黒煙は、兵の口から気道に入り気道の粘膜を焼き、有害物質をばらまいていた。


「ひけー」


我に返ったタタン侯爵は、すぐさま徹底命令を出した。

タタン侯爵以下、200の騎兵は歩兵を置いて駆け出す。

動ける歩兵が、苦しむ歩兵をつれ退却する。




ここに、多くの戦死者を出した、第4次ギュラー砦攻防戦は終わりを告げた。




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