第13話 出発前夜
異世界召喚 23日目
ダペス邸では…
ギュラー砦へ明日早朝、出発が決まり皆慌ただしく準備をしている間、
気分転換に、ルーナとティアナが、博影、沙耶を市民街の散策に連れて行った。
心なしか、町も又戦が始まると、緊張しているように見えた。
気分転換程度の散策で、ダペス邸に戻ると国王から、夕食のお誘いが来ていた。
カローイ、ベレッタは出発の準備があるので、博影、沙耶、チェル、ルーナ、ティアナでお邪魔する事にした。
国王夫妻との夕食は楽しく、沙耶の事、ダペス城での召喚の儀の事など、話題は尽きなかった。
国王、王妃より直々に
…帰ってくるまで、沙耶の事は責任を持って城で預かろうと思う、ルーナやティアナ、チェルと一緒に…
と、申し出を受けた。ダペス邸も、騎士が戦に出て護衛が2人になるので、有り難くお願いした。
食事も終わり…
「博影、この後見せたいものがある。来てくれ」
国王に言われ、衛士の女騎士を従えて、城の地下へ続く階段を降りた。
女騎士が掲げるランプの灯りを頼りに地下へ着く。そこは、少し大きめの2枚扉で閉ざされた大きな部屋が一室あるだけだった。
国王自ら懐から鍵を取り出し、扉を開ける。
重い扉を皆で押しあけると、中は…うっすらと明るかった。柱と、床が所々ぼんやり明るい。
その明かりで、広間の隅々まで見ることが出来る。
国王が進む先に、人一人横になれるくらいで腰の高さ程の台座があった。
「これは、中興の祖、第6代イシュ国王の側近が使っていた物を収めていると、伝えられている台座だが…
しかし、どこにも開けるところがみあたらないのだ」
トントンと、指で叩いて示した。
…そうですか、ちょっと失礼します…
と、博影は、台座の周りを回った。
沙耶も一緒に、なにもないね〜と、いいながら。
手のひらを、台座にのせた。何か、台座の中に感じる。感覚を集中し、台座へ力を注ぐ。
すると、まるで水面下から浮かび上がってくるように…
黒いローブ、
黒い剣が3本…両手もちの大剣と片手もちの剣2本
黒い甲冑
黒い術袋
などが現れた。
術袋をとり、袋についている魔石に指を沿わせると中身が確認できた。
魔石や甲冑、剣、馬具、金貨、薬草など、多種多様な物が数多く収められていた。
術袋は、使用者の聖力、魔力によって収納力に違いが出る。聖力、魔力の強い者で3人分の武具や多少の食料が入る程度だ。
それでも、術袋にいれれば、重さを感じず運べ、かなり有効な道具である、
この黒い術袋は、使用者の力に関わらず、かなり収納できるようだ。
「おぉ、流石だな。やはり、異世界から来られたという側近者は、同じく異世界から来た、博影を認めた
という事だろう。それは、すべて博影の物だ」
国王に、お礼を述べ、剣や甲冑など術袋に収める。
そして、室内を再度確認したが、それ以上何もなかった。ただ、よく見れば柱に、小さな魔法陣が描かれてあった。
地下から上がると、城のお風呂が用意されていた。有り難く使わせて頂いた。
ダペス邸に帰る。
今夜は、博影と沙耶の2人の部屋を用意してくれていた。今日は何から何まで、周りが優しすぎて居心地が悪いと、沙耶が言う。
沙耶にマッサージをしてもらいながら眠りにつく。
チェルも、魔物ながらに気を使ったのか、ベッドの下で珍しく寝ていた。




