表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/301

第11話 元老院会議

異世界召喚 23日目


王都城内、元老院会議場では…つい先程、急使にて知らされた事案が検討されていた。


有力貴族や、軍事に関する事なので、上級騎士も数名、呼び出されていた。


「急使によると、モスコーフ帝国領、アラドより約五千の軍が侵攻を始めたとの事です」


議長役の貴族が述べた。


約、20人の貴族達はざわめいた。


…五千とは、多い…一月前に、退却したばかりなのに…


騒つくばかりで意見をいう者がいない。


ギュラー砦は、約二千の兵が守っているが、一月前の戦いで、騎兵部隊に大きな損害が出た。

未だ、王都の治療所で治療をしている騎士が多い。


その為、現在ギュラー砦の騎兵は、100人にも満たないだろう。


そして、意見を言うという事は、自分の騎兵隊を率先して派遣する…という事だ。戦乱のご時世では、優秀な騎兵隊を多く持つ貴族が有力な貴族だ。

もちろん、騎兵隊を配下に置くためには、潤沢な資金を生む大きな領地が必要である。

国の存亡がかかっている時に、皆、騎兵隊の出し惜しみをしている。


末席で、代理として参加しているカローイは、相変わらずの腑抜けた、先を見ない貴族が多い事に

苛立っていた。


「敵の騎兵は、1500くらいだろう。ギュラー砦に、籠城するにしても打って出るにしても、騎兵1000人の増援は必要だと思う。

でなければ、モスコーフ軍はギュラー砦の守備隊を侮り、迂回して、都市センデスに向かう事も考えられる」


イング公爵は、国王に一礼した後、強く発言した。


「今、王都軍から出せる騎兵は、500だと考える。足りない500を皆から出そう」


イング公爵は、同意を求めるように、一人一人の目を見た。


ブルガ公爵が挙手し、国王に一礼して発言する。


「たしかに、先発させてでも騎兵1000人は、必要だろう。

しかし、先程の第三次ギュラー防衛戦で…また、今までの防衛戦で、皆多くの騎士を失っている。

又、まだ軍に復帰出来ないでいる騎士もいる。足りない騎兵500を出す事に、何も異論はないが、足りない騎兵は、質が落ちるが傭兵を雇うしかないだろう」


ブルガ公爵の意見に皆頷いた。


「ギュラー砦が、陥落したらその後の防衛戦は、困難を極める。ここは、無理をするべきだと思うが?」


イング公爵が、ブルガ公爵を睨みながら発言した。


皆静まり、意見が出ない。カローイは、強く発言したかったが、いくらダペス公爵の代理とはいえ、発言が許される状況ではなかった。


「イング公爵、ブルガ公爵。2人の意見は、どちらももっともだ。王都軍より、騎兵隊500を出し、また、野戦には、騎兵隊としての戦力にはならないが、王都軍の騎士見習いを100出そう。

見習いではあるが、砦の守備としては市民兵より役に立ち、傭兵より安心だろう。皆、如何かな?」


静かに意見を聞いていた国王が、ゆっくり立ち提案した。


イング公爵が立つ。


「国王、私は異論ありません」


皆立ち上がり賛同する。


「では、援軍の指揮官、装備や補給物資について話を詰めよう」


一同座り、まずは装備について意見をまとめようとした時、


「今回の援軍に、聖術師、治癒師を同行させてはどうでしょうか? 騎兵の消耗を抑える為にも、ギュラー砦内に治療所を開くと良いかと考えます」


末席近くの貴族が意見を述べた。


「たしかに、理にかなう。早期の治療はありがたい。だが、砦の中は比較的安全と申しても、イシューレ教会に、聖術師の派遣を要請など出来まい。そして、治癒師などそうはいまい。

まぁ、ギルドに照会させ、1人2人でもいれば、ありがたいが…」


ブルガ公爵は苦笑する。


「いえ、おそれながら、治癒師としての力は、教皇と並ぶのでは…と、噂されている博影なるものがいると聞き及びます」


末席近くの貴族が、矢継ぎ早に提案した。


「博影は、ダペス家の客分ですよ。我ら、イシュ王国の臣下ではない」


国王の傍に控える、テレジア王妃が発言するよりはやく、末席のカローイが、思わず立ち上がり発言した。


たしかに、博影の力はギュラー砦で力になるだろう。しかし、貴重な聖術師、治癒師を最前線の砦内で、負傷兵の治療をさせるなど、聞いた事がない。


もし、敵の最前線に治療所があれば、傷付いた騎士が、命を取り止め、又戦に復帰するかもしれないのだ。治療所が、最前線にあれば、それは、重要な攻撃対象になる。


「客分である事は、分かっている。依頼すれば、よかろう」


提案した末席の貴族は、横目でカローイに言い放つ。


「それならば、後方支援を行なっている都市センデスの治療所を、ギュラー砦に移動させれば良いでしょう」


貴族の言い方に、カローイが少し切れる。だが、カローイもそれが困難な事は、分かっているのだ。


都市センデスの治療所では、治療を継続しなければならない傷病兵が多くおり、又、センデスの治療所は、ほとんど聖術師で治療が行われている。

ギュラー砦へ回す治癒師は、殆どいないのだ。


「頼んでみなければ、返事の聞きようがないだろう。カローイ頼んでみてほしい。又、ギュラー砦の治療所の件は、前線の騎士の為にもお願いしたい。

しいては、騎兵を要請通りの数出せない方々に、治癒師を出してもらう。国王如何でしょうか?」


イング公爵も腹黒い。騎兵を出し渋る者達には、貴重な治癒師を出させようと、話をまとめた。


今回の急な戦では、遠方の領地から騎兵を連れてくる時間はない。又、前回の戦で多くの騎兵を失ったダペス家は、必然的に、治癒師を出さざる得なくなる。


…博影殿は、ギュラー砦に行くでしょう…


テレジア王妃は、中興の祖 第6代イシュ国王の肖像画を見上げ、博影の事を祈った。


国王が、重く口を開いた。


「イング公爵の提案で、良いと思う。騎兵を出せない者は、治癒師をだしてもらう。では、援軍の指揮官だが…」


「国王、私に行かせて下さい」


イング公爵が立ち、国王へ向き、頭を深々と下げた。周りの貴族達が騒つく…

砦の指揮官、遠征軍の指揮官などならわかるが、援軍の指揮官に、公爵が名乗り出るとは


…何を考えているのか…


ブルガ公爵も訝った、


「イング公爵行ってくれるか…宜しく頼む」


ブルガ公爵と、力を争っているが、イング伯爵は、イング家を継ぐまでは聖騎士であった男…今回の援軍の重要性は、よく分かっている。


これで、もう少し周りを見る力があれば…国王は、イング公爵に軽く頭を下げると話を進めるよう…皆に促した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ