表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚戦記 ~チートな治癒魔法陣で異世界を生きてゆく~  作者: クー
第1章 異世界召喚 城塞都市ダペス
3/301

第2話 異世界召喚 2

異世界召喚 1日目


【登場人物】


博影:義理の娘と共に異世界召喚された主人公。理由は不明だが、召喚された際に15歳に若返る。

沙耶:義理の父と共に異世界召喚された高校2年生。



それは…不思議な感覚だった…

魔法陣のような光の輪に…絨毯に体が沈み込み、下へ落ちて行ったはずであったが…

今は、下に向かっているのか…上に向かっているのかわからない。


まるで、夢の中で意識があるような…周りがしっかりと把握できず、なんとなく、漂っているような…

唯一、わかっているのは…

抱き着いてきた沙耶を、しっかり離さないように抱きしめている事。



淡い光の帯が…周りを囲みだす…

そして…ゆらゆらと…揺らぐ感覚の中…

頭の中に浮かんでくるような…淡い光の帯に映っているような…

はっきりとはしない…



………



その感覚の中…教会のような建物の中で…

司祭のような人が…先ほど現れた魔法陣を使い…人々を治療していた。


そして、次に戦の場面…が、映し出された。


剣で…槍で…弓で…戦う人々の中…

やはり、司祭のような人が…光り輝く魔法陣を眼前に出現させると…

風を起こし、雨を降らせ、雷を放ち、炎を吐き…


その力に巻き込まれた、人が…家が…都市が…国が…滅んでいく。


いつのまにか…光の帯は、消えかかり…周りは闇に覆われだす…

僅かな声が聞こえる…しかし、意味は分からない…


博影と沙耶の周りを…いつのまにか…大きな…人の体以上もある…

黒い石がゆっくり回っている…

そして、その石は…まるで、風で桜が散るように…はらはらと崩れ…

博影の周りをまわりながら…博影の中に溶け込んでいった…



………



大広間を覆った眩い光が消え、天井の円陣の光だけが残された。


円陣の光は、ゆっくりと床へ降りていく。

光の筒の様になったその中に、2人の人が現れた。

天井から降りて来た円陣が床に降りたと同時に、2人の人は、床に倒れた。


「うっ…沙耶、大丈夫か?」


まだ、先ほどの夢?の続きを見ているようだ。頭がぼーっとしている…


「んっ、お父さん、私達、生きてるね」


沙耶の声が聞こえ、一安心する。

沙耶は、博影の体に異常がないか見回す。まだ、高校2年だがよく落ち着いていられるものだ。


徐々に意識がはっきりとしてくる。沙耶の無事を確認し、沙耶を自分の体に引き寄せながら周りの確認をする。

足元の円陣が、まだ光っているおかげで、天井の高い大きな広間にいる事、壁際に20人程の騎士の様な人間が立ち、自分たちを凝視している様子が視界に入る。


「うぅ…ぅ…」


輝く円陣の外側に、白いローブを纏った少女が倒れていた。特に外傷は見当たらない。


「ひぃ〜」


沙耶の声が裏返る。沙耶と博影の足元の円陣は、真っ赤な血で、血だまりが出来ており、仰向けになっている女性と、前足、後足元が縛られ、轡もはめられている真っ黒な中型犬程の動物が横たわっていた。


女性の目も、動物の目も虚ろで……今、光が消えつつあるかのようだ。


博影は、とっさにポロシャツを脱ぎ、女性の真っ赤に染まった首すじに、自分の首に巻いてあったタオルを強く押し当てた。

そして、動物の真っ赤に染まった首すじには、ポロシャツを押し当てる。

しかし、このままでは何も改善しない。


「おい、あんたら何やってんだ。医者呼んでくれ、医者はいないのか!」


壁際の人間は、誰一人微動だにしない。ただ…成り行きをみているだけだ。



…この野郎!…


沙耶を危険な状態にしているだけでも苛立つのに、円陣内の、今にも死にかけている女性と動物は、自分が巻き込まれている儀式の生贄だろう。

人の生死に関わる仕事をしている博影には、こんな、無益に、命を奪う行為に…苛立ち…そして…目の前の動かぬ者達に強い怒りを感じる。


しかし、今、無力だ。

道具が何もなく、消える命を前にして、何も出来ない。


…くそっ、どうにかならないのか…これが夢なら覚めてくれ。これが、ファンタジーの世界なら、この世の神よ!

先程の夢の中の力を俺に…俺に貸してくれ!…


足元を埋め尽くす程の大量の血…

輸血でもしない限り、助けるすべはない事は分かっている。


諦めきれない博影が、この無情な状況に怒り、夢の中の魔法陣を想い…全身に強く力を入れた瞬間…

光が落ち着き……弱まってきていた床の円陣が、光を再度強め床から10cm程浮き上がった。



博影は、腹部の奥に…体の中心に熱いものを感じ、まるでそこに力を注ぐ様に、力を…気を集中した。


すると、浮き上がった円陣がゆっくりと回り出し、その円陣の外側に、さらに2つの輪が浮かび上がり、同じくゆっくり回り出す。

博影は力を感じた。


…いける、いや絶対に助ける…


床の血だまりの血を、元の体に戻る様に念じ、その際不純物はフィルターで取り除くイメージを強く持つ。


床の血が一気に浮き上がり、まるで蛇が空中を素早く這う様に、二体の首すじに吸い込まれていく。


皮膚、筋肉、血管の修復…

大量の血液が失われていた事により、ダメージを受けたと思われる、内部臓器、脳の修復

そして、治癒が進む様に身体活性化。


矢継ぎ早に、二体の体への作用を強くイメージする。腹部に力を入れ、強くイメージを持続させる。


すると…


「うっ…くっ」


弱々しく、横たわったままの女性が呻き、目に力が戻っていく。

黒い動物も、頭が動き、目に光が戻っていく。


その変化をしばらく確認し、ゆっくりとそれぞれの首すじを抑えていた両手を離すと沙耶の手を片手で握り、そのまま気を失い床へうつ伏せに倒れた…。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 設定が良い。 作者様が謙虚。 [気になる点] チートが物足りない。 もっと読まれても良い内容。 [一言] 読んでもらえるきっかけが少な過ぎてもったいない。 表題の部分の「強大な」を「チート…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ