第21話 バーツ公爵よりの使者
異世界召喚 5日目
うっすらとダペス城に霧がかかっている。
まだ、夜明け前…
一頭の早馬がダペス城へ駆け込んできた。
公爵邸執務室では、早馬の使者が、ダペス公爵、騎士ボッシュへ報告を行っていた。
「バーツ公爵様。ダペス公爵様の書状を確認され、首都イシュへ使者を送られました。ダペス公爵様への口頭伝言をお預かりしました
……
その者を、バーツへ送られたし、王都イシュへ送る
……
とのお返事です」
「そうか、協力して頂けるか…ご苦労だった、下がって休め」
ダペス公爵は、労いの言葉をかけ、夜通し急いできたであろう兵を下がらせた
兵が下がった後、
「公爵様。バーツ公爵様は、とりなして頂けるのでしょうか」
「とりなしは、して頂けるだろう…しかし、イシュ国王の治療をさせて頂く交渉は、こちらがする事になるな。
バーツ公爵様は、王都とは距離を置かれている。首を突っ込みたくはないだろう。
…
が、バーツ公爵様に取って、イシュ国王は兄上になる。王都の了承を確認する前に、
…博影殿を、バーツ城へ送れ…
と、言われたのだ。テレジア王妃との面会は叶うだろう」
椅子に腰掛けている公爵は、壁に掛けてある、国王の肖像画を見上げながら話した。
「では、早速出発の準備を整えます。どうされますか?」
「戦は続く。立て直しの為に、私もお前もここを離れる訳にはいかない。しかし、王妃を何度も説得する時間はない‥…こちらの誠意を見せねばな。
博影殿、沙耶殿、
治療助言役に、ベレッタ、ティアナ
護衛に…カローイと、ルーナを行かせよう」
ダペス公爵は、席を立った。
「カローイ様をですか? たしかに、誠意としてはこれ以上にはありませんが、危険ではないですか?」
ボッシュも分かっている、最良の人選だと。
しかし、あの後継問題に揺れる…魑魅魍魎どもが巣食う王都へ、長男のカローイ様を送るなど、とても二つ返事で了承出来るものではなかった。
「ボッシュが、危惧する気持ちは分かる。しかし、相手の上を行かなければ、交渉などうまくいくまい。
それに、贔屓目にみても、カローイなら、護衛役としても良いだろう」
公爵は、扉に向かう。ボッシュも後をついて行く。
「カローイに話してくる。ボッシュは、用意を!」
「承知致しました。博影殿、沙耶殿は馬には乗れぬでありましょうから、二頭馬車へ、御者はティアナ
初日は、宿場町ノールへ
2日目は、水上都市バーツ
3日目に、首都イシュ
へ着く行程になると考えます」
ダペスから、バーツまでは石畳で整備されている。馬なら1日でたどり着くが、博影と、沙耶の事を考えての事だった。
「よい、任せる」
2人は、執務室を後にした。




