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異世界召喚戦記 ~チートな治癒魔法陣で異世界を生きてゆく~  作者: クー
第1章 異世界召喚 城塞都市ダペス
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第18話 術袋

異世界召喚 4日目

召喚の間のある建物を出た。


公爵、ボッシュは公務に戻るという。

戦の後の処理が山積みらしい。


急ぎ歩き出した公爵が、足を止めずに振り返り…


「ティアナ、博影殿に術袋を2つ渡しておきなさい。先程の弓矢をいれると便利だろう。

それと、牢番には伝えてある。あれは、博影殿の意思に任せる。

必要な時は、隷属の首輪を使えれば牢から出してもよいぞ」


そう告げると、公務処理の件を、ボッシュと話ながら公爵邸に向かい歩いて行った、


「博影様、沙耶、これをどうぞ」


ティアナは、左手でロープを少し開き、自分の肩から腰へかけている革ベルトについている…手のひらより少し大きめの皮袋の口紐を緩めた。

術袋に付いている小さな聖石を左手で触り、右手を袋のなかに入れ術袋を2つ取り出した。


「えっ? その中に入っていたの?」


同じ大きさの袋を2つ出したにしては…出した袋はたたまれていなかったし…ティアナの術袋をしげしげと、近くで見ながら沙耶が尋ねた。


ティアナの説明によると…

この聖石の力の加護を受ける事で、この世界では様々な力を使う。

ヒールなどの聖術や、この術袋のように道具に力を与え、使役する事が出来る。


貴重な聖石を使用している代表的な道具では、術袋や、騎士が使用する武器や鎧などがある。

しかし、誰でも聖石の加護を受けれるわけではなく、聖石に念じ、その力を引き出せる力…聖力がないと引き出せないし、その聖力もそれぞれ違いがあり、強いほど大きな聖石の加護を引き出せる。

との事だった。


聖力を使えるものは、かなり一部のもので、生まれながらに素質のあるものか…貴族や騎士の家に生まれ、幼少より訓練を受けた者…

又、訓練を受けたからといってすべての者が、聖力を持つようになるわけではない。


よって、昨日の博影のように…


聖石を用いず、聖力ではない魔法陣で治療したことに、居合わせた術師は、大変驚いたとのことだった。

もちろん、公爵様もと…


ティアナに習う。

博影、沙耶はそれぞれ術袋を左手でとり、その左指で聖石に触れる。

聖石に感覚を集中し、術袋の口紐を緩めケースの端を当てがった。

一瞬にして、吸い込まれるというより、消え入るように術袋に収まった。

同じくアーチェリーや、バッグを入れた。


沙耶は…


「う〜ん、やっ…やっ…」


と、掛け声交じりに今まで見た事がないような、本気の集中力を発揮している。

それ、勉強対して発揮してほしかった…


「むり〜、なんでおっさんに出来て、女子高校生の私に出来ないの! 本当にくやしいっ!」


キッと、博影を睨む。


「いやいや、おじさんは関係ないし。今は、俺の方が若いし。ねっ、おばさん」


茶化す俺の尻を沙耶が蹴った。


「お父さん、クロスボウも入れといて!」


ムクれる沙耶をなだめつつ、弓矢や沙耶の術袋も入れた。

もはや、2人の会話に突っ込みもせず…


「さぁ、公爵邸の後方に立つ、見張り台へ行きますよ」


ティアナ、沙耶の2人の後を追いながら、沙耶の腰の部分を見つめる。

その奥に、自分の腹部の奥にあるものと同じ感覚を僅かに感じる。

おそらく、沙耶はきっかけを掴めば、訓練すれば…なにか発揮出来ると思うが、黙っておく。


幸いに、ティアナに気づかれないくらいのものだろう…

果たして、ティアナの言う聖力なるものかわからない…


沙耶を、利用されたくない。

沙耶は、前世界に返したい。


そのチャンスが訪れるまで、絶対に生きる。


と、朝霧が消えた…遠くまで続く、雲ひとつない青空を見上げ、強く願った。


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