第12話 魔法陣出現 3
魔法陣を、自分の意思で発動し、負傷兵の治療に生かした博影…
かえりすがら、生きていく足場を…方向性を得る事が、出来たことに安堵していた。
治療所での治療を終え、城内へ向かう。
博影は、約25人の治療を行い、ほとんどの兵士は命を取り止めたが、3人の兵士が難しかった…
職業柄、そのような場面は経験があるが、心が慣れるわけではない。
ティアナは、気持ちが高揚しているようで、帰りすがら博影にあれこれと質問ばかりを行う。
さすがに、城門をくぐった所で…
「もう、ティアナ。興奮しているのは、私も同じだけどひろくんも、疲れているから質問はここまで!」
博影の右隣を歩いていたティアナと博影の間にわざわざ割り込み、博影の右手をしっかりと抱きしめ口を尖らせて独り占めする。
思わずティアナが横に少し離れ…
「ご、ごめんなさい。疲れている事、分かっているのに…興奮しちゃってごめんなさい」
少し、うつむき加減に博影に謝罪した。
「ティアナ、大丈夫だよ。まぁ、甘えて話の続きは、明日でいいかな?」
「はい、宜しくお願いします!」
博影から優しく言葉をかけられ、ティアナは俯いていた顔を上げ笑顔になる。すぐに、空いた博影の左隣に陣取り嬉しそうに博影を見つめた。
すこし、距離が近めに感じる。その屈託のない笑顔にすこし気圧された。
沙耶が、間髪入れずに…
「ティアナ、距離近いから!」
あからさまに、対抗している。
「そうかなぁ〜普通でしょ」
頬を少し夕日に染めながら、ティアナも負けていない。
「初対面のティアナに、ひろくんも馴れ馴れしいよ。初めから、ティアナって呼び捨てだし!」
…いやいや、矛先を俺に向けるなよ。たしかに、初対面から呼び捨てにしていたけど、40代の自分が、15歳の子供に、
…ティアナさん…
逆に、はずかしいだろ…と思いつつ、2人のやり取りに苦笑しながら部屋に急いだ。




