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バイオメタルドール  作者: 坂井ひいろ


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Z02-04

 調査船は『カイラギ』を振り切るためにスピードをあげた。波を受けて船首の上下運動が激しさを増した。波間から『カイラギ』の新種が飛び出してきた。大きさは6、7メートルといったところか。『バイオメタルドール』と同程度だった。クジラ型というよりは甲羅こうらをまとった古代魚のような姿だった。背中には人型の『カイラギ』の倍以上ある渦巻き貝のような呼吸器官が二つついていた。口もあごもなく前方に二つついた目は立体視をおこなうためで戦闘用の種族であることがわかる。腕にあたるむなびれは大きく、平たい剣のように進化して太陽の光を受けてギラリとかがやいた。

 陣野修じんのしゅうののるBMD-Z13は船首から長く伸びた見張り台に向かって走った。波の谷間に落ちるようにして船首が沈み込み、次の波を受けて跳ね上がる。その跳ね上がる力を利用して、トランポリンの要領で見張り台を蹴って、空高くジャンプした。落下の勢いを使ってランクA装備の日本刀『マサムネ』を飛び込んでくる『カイラギ』に向けて振り下ろす。頭と胴体を切断された『カイラギ』は『サースティーウイルス』をまき散らす間もなく波間へと落ちていった。

 BMD-Z13は調査船の見張り台に着地し、再び持ち上がる力を利用して飛びあがる。空中で一回転して『マサムネ』を横にはらい、飛び込んでくる二体目の『カイラギ』の背中の呼吸器官を切断した。『カイラギ』の動き、波の動き、船の動き。すべてを予測しなければできない技だった。

「修。すごい。すごいよ」

船尾を担当するBMD-A01の神崎彩菜かんざきあやなの驚いた声が聞こえてくる。

「やるな。俺たちの出番はなさそうだ」

久我透哉くがとうやのBMD-T07は操舵室ブリッジの屋根をつかんで立っているだけだった。

『残り3体。任せて』

陣野修じんのしゅうはとくいになっていた。今まで戦闘で感情をいだくことはなかった。だが『仲間』を前にして『仲間』を守る力が自分にあることがうれしくておさえられなかった。


 調査船の前方の海面が赤く染まった。そこから三体の『カイラギ』が同時に飛び出し、飛び跳ねながら調査船のまわりを泳ぎ回った。

「やばい。やつら捨て身の参戦にでた」

久我透哉が叫んだのと同時に調査船のスピーカーから園部志穂そのべしほの声が響いてきた。

「大気中に『サースティーウイルス』反応あり。総員、対ウイルス用マスクを確認してください」

『カイラギ』がお互いのむなびれで切りあい『サースティーウイルス』を放出したのだ。

 調査船の横で合流した三体の『カイラギ』が操舵室に向かってならんで飛び込んできた。『カイラギ』は呼吸器官から30センチほどのとげのようなものをそれぞれ数十本ずつ吹き出した。久我透哉のBMD-T07は操舵室を背に『ライキリ』を振り回してそれをはらい、操舵室に突っ込んでくる『カイラギ』一体の首をはねた。神崎彩菜のBMD-A01と陣野修のBMD-Z13が駆け寄り、残りの2体の呼吸器官を切り落とした。

「大丈夫。透哉」

BMD-T07の機体には払いきれなかったとげが数本突き刺さっていた。

「なに。大丈夫。かすり傷だよ」

久我透哉が笑って答えたときだった。

「いや。なんだ。背中が熱い」

BMD-T07は背中の呼吸器官を激しく動かしながらデッキに膝をついた。

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