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バイオメタルドール  作者: 坂井ひいろ


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M04-09

 最後の『カイラギ』が崩壊したツインタワービルのガレキの山の上に現れた。そこには両太ももの下から脚を失い、首を切り落とされた12メートル級の『カイラギ』の死体が転がっている。『カイラギ』はその姿をじっくりと観察するかのように全身をながめてから、長剣を引き抜いて身がまえた。

「ちぇっ。バレたか。奇襲作戦は失敗ね」

前方のビルの屋上に隠れて様子を見ていた神崎彩菜かんざきあやなのBMD-A01が姿を表す。『カイラギ』は首を上げて無表情にそれを見つめる。

 先に動いたのは『カイラギ』だった。ガレキの上を走り、海を飛び越えてビルに移る。非常階段を足掛かりにして飛び跳ねながらのぼる。その勢いを使って、剣を持たない左手で屋上のはしをつかんで一回転して降りたつ。BMD-A01は『ムラサメ』をゆっくりと引き抜き身がまえた。

キーン。

『ムラサメ』の発する超音波音が周囲を支配する。

『カイラギ』はBMD-A01に正対しながら、左右に足を運んで間合いを変える。BMD-A01もそれに合わせてかまえを変えた。神崎彩菜はインカムをBMD-A01のヘッドセットに取り付けられたスピーカーに接続した。


「あなたたちの作戦は失敗よ。仲間は全部死んだわ。なのに、なぜ、まだ戦うの」


口も言葉も持たない『カイラギ』が答えるはずがなかった。それどころか、知性さえ持っているかどうかあやしい『カイラギ』に彼女はたずねた。


『カイラギ』は神崎彩菜の問いかけに首をかしげて反応する。


こいつ、言葉がわかるの。それとも、スピーカーの音に驚いただけ。


「あなたたちはなにものなの。なんのために人を襲うの」


『カイラギ』は再び首をかしげる。


こいつ、言葉を理解している。


神崎彩菜は直感的にそれを感じ取った。


 その時だった。『バイオメタルドール』のゴーグルのモニターに文字が打ち込まれた。神崎彩菜はBMD-A01との神経接続によって、その文字を見た。


『おまえは、なぜ、戦う』


しゅうくん。しゅうくんなの」


神崎彩菜は陣野修じんのしゅうのBMD-Z13からの連絡なのかと思った。


目の前の『カイラギ』が首を左右にふる。


『おまえは、なぜ、戦う』


同じ言葉がもう一度打ち込まれてくる。


うそっ。こいつ話せるの。


「あなたたちに奪われたものを取り戻すためよ」


神崎彩菜は動揺して、声を荒げた。


『なら、私も同じだ』


『カイラギ』は長剣を縦にかまえながら走り寄って、BMD-A01の首元に向けてついてきた。BMD-A01は『ムラサメ』を横にふって刀の腹ではじく。刃が剣に向いていないので超音波振動でも相手の剣を折れなかった。

『カイラギ』は長剣を素早く引いて、今度は腹を狙ってくる。神崎彩菜はそれを払いのけて左脚を軸にして右足を回し、相手の脚を狙う。

キーン。

板バネと化したBMD-A01の足がうなりをあげる。

『カイラギ』は体を引かずにぶつけるように前に出る。BMD-A01の太ももが『カイラギ』の腰に受け止められた。

 BMD-A01は脚を引いてコンクリートの床を蹴り、後ろに飛びのいた。距離をとって向かい合う。『カイラギ』は首を微かに下げて、BMD-A01の脚を見つめる。


 戦いなれている。もう『ムラサメ』の対処方法を見つけている。そればかりかBMD-A01の脚の特性も理解している。12メートル級の『カイラギ』との戦いを見てもいないのに。


 神崎彩菜は『カイラギ』の残した文字の意味を探った。


「仲間を殺したから。でもそれは、あなたたちが先に仕掛けたせいよ」


神崎彩菜はインカムに向かって叫んだ。彼女の声があたりに響きわたる。


『仲間などいない。私は一つだ』


神崎彩菜はゴーグルのモニターに再度、打ち込まれた文字の意味がわからなかった。


その時『カイラギ』の首が後ろから切り裂かれた。頭が屋上に床に転がる。『カイラギ』はBMD-A01に向かい合ってかまえた姿勢のまま、首元から血を吹き出して横に倒れた。

 後ろに陣野修じんのしゅうのBMD-Z13が立っていた。


『A01。大丈夫か』


BMD-A01のモニターにBMD-Z13からの文字が打ち込まれた。

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