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バイオメタルドール  作者: 坂井ひいろ


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70/113

M04-08

 陣野修じんのしゅうのBMD-Z13と久我透哉くがとうやのBMD-T07は『一特いちとく』の調査船に向かって走った。水没した街の中心部は比較的大型の商業ビルやオフィスビルが多く、高さがそろっているので走りやすかった。途中で地上施設を襲撃した戦士型の『カイラギ』4体を後ろから追う形となった。

『Z13より、本部へ。戦士型4体を発見。追撃します』

陣野修のBMD-Z13は本部に連絡を打ち込むと『マサムネ』を引き抜いた。後ろに続く久我透哉のBMD-T07もそれを見て、腰に収めた『ライキリ』手をかけた。

『カイラギ』達は、後ろから追われていることを意に介さず、一直線に調査船に向かっている。

「本部より、Z13へ。A01が前方にて待ち伏せしています。あと3分で接触します」

 陣野修のBMD-Z13は報告を受けると同時に、まわりより少し高いビルへと飛びうつった。屋上を蹴って、飛び降りながら、最後尾を走る『カイラギ』の少し手前に向けて左腕のクナイを射出する。クナイに行く手を邪魔された『カイラギ』がビルの上で向き直った。上を見上げた『カイラギ』は太陽光に目を射ぬかれて一瞬動きを止めた。陣野修のBMD-Z13は、太陽を背に『マサムネ』を上段にかまえた姿勢で『カイラギ』へと落ちる。『カイラギ』が長剣を振り上げて身がまえる。

ヒュン

振り下ろされた『マサムネ』が『カイラギ』の長剣ごと、いともたやすく真っ二つに切り裂いた。

 後ろを追いかける久我透哉はそれを見て驚嘆した。最大スピードで飛び跳ねて走りながら地形を把握し、太陽の位置を見定めて、相手の動きを封じたのだった。それを冷静にやってのけるのが陣野修だった。

BMD-Z13は『カイラギ』を蹴り倒すように着地し、陸上選手がハードルでも飛び越えるような動きで、スピードを殺すことなくビルからビルへと走り抜けていった。久我透哉のBMD-T07は先の戦闘でだいぶ消耗していたので、陣野修の底知れない戦闘能力は頼もしくあった。

 ショッピングセンターの屋上駐車場で2体の『カイラギ』が足を止めて、2人を待ちかまえた。調査船を破壊するなら1体で十分だと判断したのだろう。久我透哉のBMD-T07は後ろから追いかけてくる『カイラギ』の姿をキャッチする。前方に2体、後方から1体にはさみ撃ちにされる形となった。

「修。先に行く1体はA01に任せる。ここでのこりの3体を打つ」

久我透哉はインカムの弱い電波を使って陣野修に意志を伝えた。

 2体の『カイラギ』は『バイオメタルドール』のランクA装備を嫌って飛び跳ねながら逃げ惑う。

「ちっ」

「ちょこまかと」

「時間稼ぎか」

「しょせん、おまえらはステゴマなんだよ」

BMD-T07は大ぶりに『ライキリ』を振り回してそれを追った。『ライキリ』の動きに気を取られて2体の『カイラギ』にすきができる。陣野修のBMD-Z13はそれを見逃さなかった。まるで忍者のように気を殺して『ライキリ』の背後にまわり『マサムネ』で1体の首をはね、もう1体の呼吸器官を切り落とした。

 後ろから追いかけてきた『カイラギ』がショッピングセンターの屋上駐車場にたどり着いた時には2体の『カイラギ』の呼吸は止まっていた。

「どうする。また逃げるか。おまえの役目は俺たちの足止めだぞ」

2機の『バイオメタルドール』が左右同時に襲いかかった。

ビシュ。

ズバッ。

逃げ場を失った『カイラギ』の体は四つの肉片と化していた。

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