M04-05
「追うな、修。陽動だ。調査船の保護が優先だ」
調査船と反対の方向に逃げる『カイラギ』を見て、久我透哉は叫んだ。2機の『バイオメタルドール』は港に向かって走った。
走りながら久我透哉は『カイラギ』の行動を思い出していた。最初に追いかけてきたのは2体の『カイラギ』だった。彼らは協力して攻撃してきた。それはつまり、なんらかのコミュニケーションをとっていると考えるのが妥当だった。1体を倒したとき、もう1体はためらいもなく、それを海に蹴り落した。仲間を保護すると言う意識がないのだろう。次に追いかけてきた3体は攻撃の仕方を変えた。学習する機能があることがうかがえる。解体型や戦闘型と比べて、戦士型の『カイラギ』はあきらかに高い知性を持っている。しかも、勝つことを優先する冷徹さも兼ね備えている。
久我透哉の通信設備はゴーグルと一緒に破壊されていた。カメラも破壊されたので映像記録もない。陣野修が話せないのが口惜しかった。身に着けたインカムのわずかな無線機能を使って叫んだ。
「修、Z13の映像記録を調査船に送れ」
陣野真由なら気づいててくれる。彼はそれにかけた。
「T07、生体反応消失」
調査船に移った園部志穂はBMD-T07を示す光点がモニターから消えるのを見て叫んだ。同時に『カイラギ』2体の反応も消える。考えられるパターンは二つ。戦闘で無線機が故障したか、T07が倒されてしまったかだった。
「T07、応答願います」
BMD-T07からの応答もなかった。
情報が途切れて、調査船のオペーレーションルームの空気がはりつめる。園部志穂は久我透哉が生きていることを願った。
「まもなく、Z13がT07の生体反応消失ポイントに到達します」
彼女はBMD-Z13から送られてくる熱源検知情報をモニターから読み取った。
「Z13、前方『カイラギ』3体。さらにその前方に3つの熱源を検知。二つは『カイラギ』、一つはBMD-T07のものと思われます」
彼女がそう伝えている内に、弱まっていた一つが消えた。
「熱源反応、一つ消失」
「Z13、T07の状態を報告願います」
『Z13より本部。戦ってます』
陣野修のBMD-Z13よりの返答がモニターに打ち込まれた。
モニターを見つめていた園部志穂、陣野真由、山村光一の三人に笑顔がもどる。
「よし」
山村光一が思わず声をあげた。
戦いが終わり、BMD-Z13から戦いの記録映像が伝送されてきた。戦闘中の視覚映像なので、状況をとらえるのが難しい。陣野真由は園部志穂に拡大や映像補完を指示した。彼女ははっとしてマイクをとって叫んだ。
「本部より、A01へ。敵はランクA装備の性能を既に共有済みです。さらに連携して攻撃してくるわよ。かなり知能が発達しているから注意して」




