M04-01
「A01、Z13。戻ります。担当整備兵は陸戦用兵器の準備を願います」
園部志穂はインカムに向かって力強く告げた。陣野真由がマイクを取って付け加える。
「装備はランクA」
園部志穂は驚いて振り返った。
「いいんですか。敵に切り札を見せてしまいますよ」
「いいのよ。ここで船を失ったら、一特の再建は事実上不可能だわ」
「わかりました。本部より、各員へ。装備はランクAです」
園部志穂はテンポよく指示を出していく。
「本部より、A01、Z13へ。装備はランクAです。戻り次第、『フェイクスキン』を再塗布してください。T07は『カイラギ』後方より、状況報告。A01、Z13の起動後に帰投してください」
「A01、了解」
『Z13、了解』
「T07、了解」
BMDよりの返事が手短に返ってくる。
「なんですか。ランクAって」
山村光一が陣野真由にたずねた。
「あなたの一生分の給料を使っても買えない武器を使うって意味よ。それより、これをかぶりなさい」
陣野真由はガスマスクのようなものを山村光一に投げた。
「乗船クルーは対『サースティーウイルス』防護マスクを装着してください。これより、本部を調査船にうつします。各員、担当機器のチェックをお願いします」
園部志穂が部隊に指示をだした。
「ぼくも一緒に行っていいんですか」
山村光一は笑顔でたずねた。
「あなたが言いだしたことなんだから、逃がさないわ。マスクをしっかりかぶって、私たちについてきて。でないと、不審者として銃殺されるわよ」
陣野真由が笑いながらおどした。
神崎彩菜のBMD-A01がトレーラーへと戻った。彼女は『バイオメタルドール』の胸のコックピットを開いて飛び降りる。背中の『神経接続痕』から血液がポタポタとたれ落ちたが気にしている余裕はなかった。駆け寄ってくる整備兵に敬礼して告げた。
「A01、戻りました。『フェイクスキン』の再塗布をおこなってきますので、装備転換をお願いします」
「了解です。既にランクAの準備はできてます。『ムラサメ』も」
彼はそう言ってトレーラーの格納庫を指示した。
陣野修は再塗布室で目を閉じていた。シャワーから『フェイクスキン』除去液が降りそそぎ、上半身が裸になる。心臓がドクドクと鼓動している。生まれて初めて感じる感覚に思わず胸に手をあてた。
『・・・』
恐怖、怒り、悲しみ、喜び。
あふれだす感情にとまどった。
『・・・』
『生きる』
『意味』
『仲間』
『・・・』
彼は胸に当てた手を強く握りしめた。




