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バイオメタルドール  作者: 坂井ひいろ


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55/113

M03-01

 陣野真由じんのまゆに連れられて山村光一やまむらこういちは『バイオメタルドール』の指揮車に入った。オペレーションルームには小型のパソコンとモニターが数台置いてあるだけの殺風景なものだった。資源が不足する時代、電動で動く車体とパソコンがあるだけでも、相当なぜいたくだったが山村光一は不満だった。

「なんですか。これ。なんかこう。メカぎっしりのカッコイイところかと思ったのに」

「そう言うと思ったわ。でも『バイオメタルドール』のコックピットはもっとなにもないわよ。肉の塊ですから」

「・・・」

「人型の兵器の胸部にのって、人間を超える動きをしたら、現実は座席になんて座ってられない。すさまじい振動と衝撃で、たとえシートベルトをしていてもアザだらけになるならまだし。たいていの人は気絶してしまう。戦闘で倒れでもしたら二階から飛び降りるようなものね。最低でも骨折。へたをすれば内臓破裂で死ぬわ。アニメみたいにはいかないのよ」

残念がる山村光一を陣野真由は園部志穂そのべしほに紹介した。

「園部さん。こちら、山村刑事です」

モニターに映し出される光点を追っていた園部志穂が振りむいて会釈をした。

「こちらが『バイオメタルドール』のオペーレーターの園部さんです」

「山村です。これはどういった装置ですか」

山村光一は挨拶あいさつもそこそこに、数少ない機器の役割を聞いて回った。

「うーん。110番の電話室とあんまり変わんないですね」

園部志穂そのべしほはおかしそうにほほ笑んだ。

「そうですよね。ご期待にそえなくてすみません。これでも軍の最新鋭の設備なんですよ」

「どお。満足したかしら。なんなら『フェイクスキン』塗布とふでも体験する。擬似生体薄膜でできた防護服を装着できるわよ」

陣野真由はいたずらそうな顔をした。園部志穂は陣野真由が子供のような顔をするのに驚いた。

「い、いいんですか。パイロットスーツが着られるんですか」

山村光一は先日、観た映画のカッコイイスーツを思い出して、興奮して今にもはしゃぎだしそうだった。

「ええ、指揮車の後部にあります。園部さん、ご案内して」

「えっ。私がですか」

園部志穂は少し顔を赤くしながらも、インカムを外して彼を指揮車の後部に案内した。

「こちらが『フェイクスキン』塗布室です。身に着けているものを全部脱いで、こちらのカゴに入れてから塗布室に入ってください」

「全部って、下着もですか」

「はい。『バイオメタルドール』はパイロットの筋肉が発生する微弱電流をとらえて動かしますので。めったにできない体験ですよ」

「めったにできない。うーん。わかりました」

そう言うと山村光一は彼女の目の前で脱ぎ始めた。園部志穂は目のやり場に困って、塗布室のドアを見つめていた。二人をのぞき見ながら陣野真由は笑いをこらえた。

「脱いだら、そちらのドアから中に入ってください」

山村光一は股間を手で隠しながら中に入った。

「腕を少し横にあげて真っすぐに立ってくださいね。塗布を開始します」

「うわ。なんですかこれ。ぬるっとして気持ち悪いです」

中から山村光一の上ずった声が聞こえてくる。

「はい。終わりです。すぐに固まります。そのまま出てください」

「えっ。これで終わりですか。映画のパイロットスーツと違うんですけど」

山村光一は体にぴったりとくっつてい固まった薄いゴム状のものを見て慌てた。色がついていなかったらほとんど裸同然だった。

奥から陣野真由の声が聞こえてきた。

「映画は脚色しているのよ。どお。『フェイクスキン』の着心地は。一度装着したらしばらくは脱げないわよ。それ」

陣野真由はこらえきれなくなって声を出して笑った。つられて園部志穂の笑い声まで聞こえてくる。山村光一はこの時、はじめて二人にはめられたことを知った。

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