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バイオメタルドール  作者: 坂井ひいろ


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K04-03

山村やまむら刑事さん。なんでこんなところにいるんですか。ここ、軍の秘密基地なんですけど」

山村光一やまむらこういちの顔を見て神崎彩菜かんざきあやなは驚いて駆け寄ってきた。山村光一は神崎彩菜の少女らしい笑顔と義足の痛々しい姿とのギャップに心を痛めた。

「ちょっとな。陣野じんの教授に呼ばれてな」

「そうなんだ。用が終わったら、後で遊んでくれる」

山村光一は陣野真由じんのまゆの了解をえるため、横にいる彼女の顔を見た。陣野真由が無言でうなずく。

「よーし。話が終わったら遊ぼう」

山村光一は笑顔で彼女に答えた。

「神崎さんをモデルにした映画を見たよ。とっても感動したよ」

「えー。あれ見たんですが。恥ずかしいな。私、あの映画の女優さんみたいにかわいくないよ」

「そうかな。僕には神崎さんの方がよっぽどきれいだと思うけど」

「もう、そんなこと言うの山村さんだけだよ」

神崎彩菜は山村光一を見上げて答えた。上目遣いのため、黒い大きな瞳はいっそう強調された。くせのない長いストレートヘアは太陽の光に照らされて、きれいな丸い天使の輪を作っている。中腰になって、山村光一は彼女の頭を軽くなでた。

「じぁあね。また後で」

山村光一は陣野真由に連れられて軍の施設に入っていった。


「今回の『カイラギ』の件は私も驚きました。『サースティーウイルス』に感染した人間が『カイラギ』に取り込まれるのは、AIによるシミュレーションで、ある程度予想していましたが。二人の人間を取り込めるとは思いませんでした」

「それではやはり、麻宮五鈴あさみやいすずさんの言うことは事実だったのですね」

「ええ、柊木中学校で倒した『カイラギ』の遺体は軍の施設に運ばれて、解剖されました。胸部に人間の大脳が二つ確認されました。その大脳の遺伝子は本庄卓也ほんじょうたくやくんと山下愛やましためぐさんのものと一致した。彼らの肉体は既に『カイラギ』と一体化して存在しなかったわ」

「他の生物を取り込んで拒否反応とか起きないんですかね。その、免疫システムとか」

「『バイオメタルドール』は基本的にパイロットの遺伝子の中のパーツを使って作り出す。そのため、パイロット以外の人間がのると拒絶反応が起きてしまう。『カイラギ』の遺伝子は人間に共通な遺伝子パーツのみでできているので拒絶反応がおきないと考えられるわ」

「腕が四本なのはともかく、顔が二つなんて生物が存在していいものなのでしょうか。プラナリアとかの原生動物ならともかく、高等生物ですよ。進化の系統を見ても、生物の形態としてはきわめて不自然だと思います。あれじゃあ、けんかになったらどっちの意思で動くのでしょうか」

「・・・」

ただの刑事にしては質問が専門的すぎる。陣野真由は山村光一の質問を聞いて、うわべは無知で無害を装いながら本当は危険な男では、と感じた。

「山村刑事。あなた、生物に詳しいのね。どこかで勉強なさったの」

「あっ。わかります。こういう話、アニメの設定でよく出てくるんですよ」

山村光一はうれしそうに答えた。

「アニメって」

陣野真由は山村光一の答えにあ然とした。

「なーんだ、陣野教授。知らないんですか。今のアニメはみんな、そんなの当たり前ですよ。陣野教授もアニメ、見た方がいいですよ。僕のお薦めは。えーっと」

この後、陣野真由は山村光一のアニメオタクぶりを三十分にわたって聞かされるはめになった。

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