表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/113

G03-03

 4本腕の『カイラギ』は4機の『バイオメタルドール』の動きをまるで見切ったかのように次から次へと繰りだされる日本刀を受け、かわした。商店街のアーケードは6メール超のBMDと『カイラギ』が戦うにはせまかった。その上、BMDと『カイラギ』の戦いを見ようと野次馬やマスコミがどこからともなく集まってくる。彼らに被害が及ばないように戦い続けるのは不利だった。

「本部よりBMD各機へ。市街戦は民間人に被害を出します。『カイラギ』を郊外へ誘導してください」

八木啓介やぎけいすけは日本刀を振り下ろしながら、この状況で勝手なことを言うなと思った。

「脚を狙え」

4機のBMDが『カイラギ』の脚を狙って同時に日本刀を振り払った。『カイラギ』はそれをよけてジャンプした。アーケードの鉄骨につかまって鉄棒のようりょうで回転し、弾みをつけてアーケードの天井を蹴り破って逃げた。八木啓介のBMD-L03は『カイラギ』を追ってアーケードの屋根に飛びのってそれを追う。

『カイラギ』は商店や民家の屋根づたいに逃げる。残った3機のBMDはBMD-L03の指示を受けながら『ウェアーバイク』で路地を走ってそれを追う。『カイラギ』が飛びのるたびに民家の屋根瓦が崩れ落ちる。民家の中から悲鳴が沸き起こり、玄関から人が飛び出してきた。

「気をつけて。人がいる」

佐々木未来ささきみらいは路地に逃げ出してきた人の頭上を『ウェアーバイク』で飛び越えて叫んだ。

八木啓介のBMD-L03はアンカーを射出して近くのビルによじのぼり『カイラギ』の進行方向を見定める。

「まずい。柊木中学校に向かっている」

『カイラギ』は屋根から飛び降り、丘の上の柊木中学校へと続く一本道を走っていた。

 4機のBMDが追いついた時『カイラギ』は木造校舎の二階のガラスを破り、首と右手を突っ込んで中をのぞいていた。生徒たちが避難し終えていたのがせめてもの救いだった。4機のBMDが日本刀をかまえて『カイラギ』の背後から取り囲んだ。『カイラギ』がのぞているのは佐々木未来と飯野栞いいのしおりの2年B組の教室だった。飯野栞がそれに気づいて叫んだ。

「私たちの教室。ゆるさない。絶対」

飯野栞ののるBMD-G06が日本刀を『カイラギ』の背中に向けて振り下ろした。『カイラギ』の背中の左側の呼吸器官が根元から切り取られてドザッと音を立てて校庭に転がる。切断面から大量の赤い血が噴き出した。

飯野栞のBMD-G06のゴーグルが『カイラギ』返り血を浴びる。近藤元気こんどうげんきが叫ぶ。

「離れろ。G06」

しかし、四本腕の『カイラギ』は反撃せずに腕を伸ばして教室の中を探っている。飯野栞のBMD-G06は再び日本刀を振りあげて『カイラギ』のもう一方の呼吸器官を切り落とした。

『カイラギ』は教室から首を出し、背中から大量の血を吹き出しながらゆっくりと振り向いた。『カイラギ』は飯野栞のBMD-G06の顔を見つめて微かに首をかしげた。

「まだ動く。とどめをさす」

八木啓介の号令のもと、4機のBMDは『カイラギ』の胸に向けて日本刀を突き立てた。4本の日本刀を胸にさし『カイラギ』は右手の拳をBMD-G06に差し向けながら崩れ落ちた。

「やったよ。本庄くん。私、やったよ」

飯野栞の叫びが校庭をこだました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ