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G03-02

「本部より、L03、L04、G04、G06へ。敵『カイラギ』戦士型1体のみ。新国道Bを『ウェアーバイク』を奪って北上。新八王子市市街に到達。斥候せっこうの可能性大。単独行動です」

本部からの連絡に佐々木未来ささきみらいは驚いた。

「G04より本部へ。『カイラギ』が『ウェアーバイク』にのれるのですか」

「そのようです。既に回収部隊のBMD3機、防衛部隊のBMD6機。計9機がやられています。注意してください」

BMD-L03パイロット、柊木中学校3年A組、八木啓介やぎけいすけがたずねた。

「L03より。戦士型との戦闘経験がありません。僕たちで止められるのですか。AIの回答を教えてください」

オペーレーターの声がつまった。

「止めなければ街を失います。周辺の防衛待機班にも出動命令が出ています。総がかりです」

飯野栞いいのしおりは怒りで満ちていた。

「私、やります。奪われ続けるのはもう嫌です」

飯野栞のBMD-G06はそう言うと『ウェアーバイク』に足を突っ込むと走り出した。

「G06。先行するな」

BMD-L04のパイロット、柊木中学校3年A組、近藤元気こんどうげんきは慌てて彼女の後を追った。BMD-L03、BMD-G04もそれに続く。

 4機のBMDが新八王子市市街に到着すると、1体の『カイラギ』が商店街のアーケードの中で両手に持った2本の剣を振り回していた。逃げ惑う人々を雑草でも刈るかのように切り刻み、死体の山がそこかしこにできていた。

「俺たちの街が。かってにさせるか」

BMD-L04が『ウェアーバイク』のスロットルを全開にして進む。『カイラギ』の目の前で飛び降りて『ウェアーバイク』を『カイラギ』にぶつける。と同時に右腕からアンカーを放ち『ウェアーバイク』の燃料タンクを撃ち抜いて爆発させる。

ドーン。

『カイラギ』の全身が炎に包まれた。

後に続いていた残りの3機のBMDがそれぞれアンカーを射出し、ワイヤーで『カイラギ』の体をからめとる。円を描くように『カイラギ』のまわりを走り、ワイヤーを締めあげていく。

 爆発の炎が落ち着くと、クモの糸でぐるぐる巻きにされた昆虫のような姿で『カイラギ』が立っていた。

 BMD-L03が腰の日本刀を引き抜き『カイラギ』の首を刈りにかかる。解体型か、戦闘型の『カイラギ』であればこれで勝負がついていた。

「うそだろ」

BMD-L03のパイロット、八木啓介は自分の目を疑った。『カイラギ』の両腕は剣を握ったまま、3本のワイヤーで締めあげられたままだった。背中の呼吸器官の両脇から剣を握ったもう2本の腕が飛び出し、BMD-L03の振った日本刀を受けた。

「こいつ。4本腕だ」

ワイヤーに締めあげられていた『カイラギ』の2本の腕がゆっくりと広がり、握った剣の刃が巻きついたワイヤーを切り裂いた。

4機の『バイオメタルドール』が『カイラギ』を取り囲むように立ち、日本刀を向けてかまえた。前方の2機が3年生のBMD-L03とBMD-L04。後方の2機が2年生のBMD-G04とBMD-G06。飯野栞のBMD-G06が切りかかろうとした時『カイラギ』の後頭部に二つの目が現れた。

「顔が二つ」

4機のBMDが一斉に切りかかる。『カイラギ』は4本腕に持ったそれぞれの剣で4機のBMDが放つ日本刀を同時に受け止めた。

ガキ、ガキ、ガキ、ガッキーン。

8本の刃と刃が火花を散らす。四対一でも力は互角だった。

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