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バイオメタルドール  作者: 坂井ひいろ


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K02-06

「人類は『カイラギ』には勝てない」

陣野真由じんのまゆ山村光一やまむらこういちに向かってきっぱりと言いはなった。

「じぁあ。あなたはなんのために子供たちを戦わせているのですか」

青ざめていた山村光一の顔がみるみると赤くなっていく。

「人間の遺伝子の中で人の体をつくるのに必要な遺伝子と役割がはっきりせずなくてもいい部分が存在するのはしってますよね。不要な部分はイントロンと呼ばれ、実に遺伝子の60パーセントをしめています。この不要と思われた遺伝子の中に『カイラギ』の体をつくる遺伝子がふくまれてました。私はそれをつき止めて、そのスイッチとなる『サースティーウイルス』を分離した。つまり、『カイラギ』も『サースティーウイルス』も、もともと人間が持っていたもので『カイラギ』は人間の別の姿と言えるのです」

「『カイラギ』が人間の別の姿だとして、彼らに知能があるのでしょうか」

野島源三のじまげんぞうの質問に陣野真由は答えた。

「『カイラギ』の行動は組織化されますし、解体型、戦闘型、戦士型など役割も明確です。陣野修じんのしゅうの計算能力や数学的な発想能力は人間のはるか上です。間違いなく、人間を上回る知能を持っていると考えるのが妥当だと思う。おそらく、彼らの『生きる目的』が人類と異なっていると推測できます。それを知ることが人類が生き残れるただ一つの道だと思う」

「その為にあなたは第一研究特殊部隊、通称『一特いちとく』をつくったのですね」

「はい」

野島源三の質問に陣野真由は素直に答えた。

「そのために『一特』に陣野修が必要だと」

「はい」

陣野真由はそう答えて唇をかんだ。

「つらいでしょうね」

「ええ」

陣野真由は今まで誰にも語ることのなかった秘密を話し終えてすっきりした。

「野島刑事、山村刑事。私に協力していただけませんか」

「どんな」

「私の考えでは『カイラギ』達は、その目的に向かって新しいフェイズに移行したように思います。『カイラギ』達が内陸部に進出してこないのは、十分な仲間がそろったためで、別の目的に向かって、資源を集めている。軍は『カイラギ』達が攻めてこないことを知りながら、彼らが集めた資源を横取りするために『バイオメタルドール』を利用している。表向きは、人類の敵『カイラギ』をせん滅するとうたいながら。子供たちの命を危険にさらしているのよ」

「軍が資源を集める目的はなんですか」

「上層部の政治のため。自分たちの属する組織を社会に対して優位に保つためです」

「そんなことのために」

山村光一はこぶしを固く握った。

「いつの時代でも人間の本性はおろかであさましいものだ」

野島源三はそう言ってから同意した。

「わかりました」

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