表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/113

M01-05

 陣野修じんのしゅうのBMD-Z13は加速して勢いをつけながら旧首都高の半円形の防音壁を斜めに駆け上がる。神崎彩菜かんざきあやなのBMD-A01はスロットルをいっぱいにしてそれに続く。

 空中に飛び出して陣野修のBMD-Z13は体を屈めて反転し、後ろから追いかけてくる神崎彩菜のBMD-A01に蹴りを入れた。神崎彩菜のBMD-A01は『ウェアーバイク』を両手でつかみ、両脚を抜いて逆立ちした。剣とかしたBMD-A01の右脚を、陣野修のBMD-Z13の脚に合わせるように蹴り回す。陣野修のBMD-Z13はあわてて膝をおり、肩をひねって反転した。

ブン。

鋼の板の様な形をした神崎彩菜のBMD-A01の右脚が空を切る。続いて左脚が回転しながら、陣野修のBMD-Z13の斜め後方から襟首をさらいにくる。

カキン。

陣野修のBMD-Z13は両手に持った二本の短刀でそれを受けた。しかし、神崎彩菜のBMD-A01の脚力に押し負けて、二本の短刀とも根元から折れた。折れた刃先が回転しながら飛んでいく。陣野修のBMD-Z13は折れた短刀を捨て、背中の日本刀を引き抜く。

「ふぃゅー」

六機のドローンを使って二人の戦いを観戦する久我透哉くがとうやが息を漏らす。

「あの脚は厄介だな。腕の数倍もある脚力で押し込まれたら、日本刀で受けても体ごと弾き飛ばされそうだ。ヘタをすれば日本刀を割ってすり抜けた刃で、体を真っ二つにされかねない」

園部志穂そのべしほはあわててインカムのマイクに向かって叫ぶ。

「ちょっと、修くん。大丈夫なの」

陣野修からの返事がディスプレーに打ち込まれる。

『OK』

陣野修のBMD-Z13は空中で『4ウィールブレード』の取り付け部を爆破して、これを捨てて旧首都高に降り立つ。神崎彩菜のBMD-A01は足を『ウェアーバイク』に戻して、陣野修のBMD-Z13のまわりを一周して止まった。神崎彩菜のBMD-A01は『ウェアーバイク』から足を引き抜き、アスファルトに降り立った。ゆっくりと背中の日本刀を引き抜く。2機のBMDは日本刀をかまえて向き合う。

 神崎彩菜のBMD-A01が陣野修のBMD-Z13に向かって走る。

「速い」

観戦している久我透哉が思わず口に出す。

 神崎彩菜のBMD-A01は両脚の刃と日本刀を矢継ぎ早に繰り出して陣野修のBMD-Z13におそいかかる。陣野修のBMD-Z13は体を前後左右に振りながら紙一重でそれをかわしていく。どんなに重く強い力でも真っ向から受け止めなけれは問題ない。陣野修のBMD-Z13はバク転をしながら後方に逃れ、路上に乗り捨てられたオートバイの残骸を飛び越える。右手で日本刀を握ったまま、オートバイの残骸をつかんで神崎彩菜のBMD-A01に向けて投げつける。

 神崎彩菜のBMD-A01は視界をふさぐように飛んでくるオートバイの残骸を布切れでも裂くようにたやすく切り刻んだ。残骸が飛び散り視界がひらけた瞬間、陣野修のBMD-Z13が握る日本刀の刃先が神崎彩菜のBMD-A01の眼前にあった。あと一歩踏み出していたら神崎彩菜のBMD-A01の頭は陣野修のBMD-Z13の日本刀に貫かれているところだった。

「止め」

園部志穂の声がインカムから響いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ