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バイオメタルドール  作者: 坂井ひいろ


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20/113

M01-03

 戦闘だけみれば久我透哉くがとうやの戦い方の方が圧倒的に優位だった。陣野修じんのしゅうの戦い方は相手を翻弄ほんろうできたが、『バイオメタルドール』が生体兵器である以上、例えドーピングを施していたとしても無駄に体力を消耗していると言わざるおえなかった。

 陣野修の戦い方は神崎彩菜かんざきあやなと似ていた。フィールドを立体的にとらえて、スピードで相手を圧倒するやり方は神崎彩菜も得意としていた。神崎彩菜は陣野修のBMD-Z13の動きが久我透哉のBMD-T07と戦う以外の別の目的を持っていることに気づいた。

 BMD-Z13はBMD-T07が放つ『クナイ』を巧妙に避けながら、上下左右にすべり、舞っている。よく見ると陣野修のBMD-Z13は両手に短刀を持ち、鋭く振っていた。

『カイラギ』との戦闘は一対一になることはほとんどない。陣野修は『クナイ』をかわしながら、空間に『カイラギ』をイメージして、その首を刈っていた。

 神崎彩菜は家族を失って施設に入れられたとき、ショックのあまり言葉を失った時期があった。人間は行動を起こすときに、頭の中で言葉で考える癖がある。言葉での思考は文法などをともない無駄が多い。反射的な戦いを行う場合はむしろ邪魔だった。彼女は戦闘が始まると自分の五感に頼って動きのイメージを作り出して戦うよう。言葉を持たない陣野修もおそらく同じことをしているのだろう。だから、彼女は彼のイメージを見ることができた。

 私はなぜ陣野修を助けたのだろうか。『カイラギ』への復讐ふくしゅうが目的なら自分の脚を失うリスクを冒してまで、彼を助ける必要はなかったはずだ。英雄になりたかったわけでもない。人間としての当然の行為こういと言うならば、それはそうだろう。陣野修を目の前にして、彼女にはそれだけではないなにかを感じ取っていた。彼が『バイオメタルドール』のパイロットだからだろうか。彼が彼女と似たにおいを発しているからだろうか。それとも、彼がかわいい男の子だからか。

 かわいい男の子。しかも裸の男の子。彼女は彼を救い出したときのことを思い出した。私、中学生の女の子なんだ。『カイラギ』に家族を奪われていなかったら。『バイオメタルドール』なんてあやしい兵器のパイロットになんてなっていなかっただろう。普通に勉強ができないことを悩み、ファッションに気を使い、女の子たちの輪に入って校内の男子のうわさ話をしていただろう。神崎彩菜は『バイオメタルドール』BMD-A01のコックピットの中でほほ笑んだ。

 陣野修のBMD-Z13が両手の短刀を飛び交う『クナイ』に向けて投げた。『クナイ』のワイヤーが切断され、空を切って飛んでいく。陣野修のBMD-Z13は久我透哉のBMD-T07の真正面へとせまる。シューズのソウルをグラブするような格好でジャンプしながら『4ウィールブレード』を外し、両腰のホルダーに格納した。着地と同時に背中の日本刀を抜き、そのまま上段に振り下ろしながら久我透哉のBMD-T07の頭部を狙う。久我透哉のBMD-T07は腰の日本刀を引き抜きながら振り上げる。

ガキン。

刃と刃が激しくぶつかり合い火花を散らす。久我透哉のBMD-T07は陣野修のBMD-Z13の腕を取って、ひねりながら日本刀を落とさせる。さらにBMD-Z13の右足にBMD-T07の左足を合わせてさらいにかかる。陣野修のBMD-Z13は久我透哉のBMD-T07の腕のひねりに逆らわず、ジャンプでさらいにきた足をかわし、体を小さくして横に反転した。逆さまになったまま右足のつま先を伸ばしてBMD-T07の頭部を蹴った。

ガキッ。

鈍い音があたりに響き渡り、久我透哉のBMD-T07は膝をアスファルトについた。勝負は一瞬にして決着がつき、劣勢れっせいと見えた陣野修のBMD-Z13の勝利に終わった。

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