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T07-03


「T07より本部へ。まだなにかいる」

久我透哉くがとうやからの緊急通信が入る。

「オペレーターよりT07へ。索敵を再度かけます」

園部志穂そのべしほはもう一度、周辺の熱源検知をおこない、念のためAIにも解析させた。

「オールクリア。問題ありません」

「いや。まだなにかいる」

BMD-T07は腰の日本刀をさやからゆっくりと引き出してから、受けのかまえをとった。周辺の微かな音、風の向き、空気のにおいが変わらないように静かに身がまえる。

「くる」

久我透哉が声を発したと同時に、ガツンという強い衝撃が日本刀を押し込む。見たこともない『カイラギ』がBMD-T07の目の前に立ち、BMDと同じくらいの長さの長剣のつばもとを交えて押していた。

「強い」

じりじりと日本刀が押し込まれていく。交えた相手の長剣がBMD-T07の左肩に触れる。感覚神経を接続された久我透哉の肩に焼けるような痛みが走る。

 久我透哉はBMD-07の両腕をひねって、日本刀を下に向けて回しながら左腰を後ろに引いて力の方向をずらした。バランスを崩して『カイラギ』が左へとよろめくタイミングで、後ろから首を跳ねようと日本刀をふった。ブン。

 刀が空を切り裂くが、そこに『カイラギ』の姿はない。『カイラギ』は倒れ込む勢いを利用して両脚を大きく開いて低い体勢でかがみこんだ。すかさずBMD-07の左足を狙って水平に長剣をふる。ブン。こちらも空を切る。

 久我透哉のBMD-07は切り損じたと同時に後ろに飛びのいて間合いを取った。『カイラギ』はゆっくりと立ちあがり、下段にかまえる。久我透哉のBMD-07は上段にかまえて対峙する。しばらく両者とも顔を見合わせたまま、相手の様子をうかがう。

「うりゃー」

先に動いたのは久我透哉のBMD-07だった。両手を絞り込むように日本刀を握り、ふり下ろしながらつめ寄る。『カイラギ』はそれを受ける。

ガキン。

久我透哉のBMD-07はかまわずそのま2、3、4、5と打ち込む。

ガキン、ガキン、ガキン、ガキン。

刃と刃がぶつかって火花を散らした。両者は再び間合いをとって離れた。

 久我透哉のBMD-07は『クナイ』を『カイラギ』の頭部に向けて投げ込み、フェイントをいれる。『カイラギ』は体をわずかに横にずらしてかるくそれをかわす。

『ちっ。子供だましじゃきかないか』

久我透哉のBMD-07は『クナイ』を素早く引き戻すと再び両手を高くあげて上段に日本刀をかまえた。

「これならどうだ」

右上から左下、左上から右下、また右上から左下、左上から右下と力任せに刀をふり下ろす。

ガキン、ガキン、ガキン、ガキン。

『カイラギ』はなんなくそれを受けきっているように見えるが、少しずつひじが浮きはじめる。すかさず久我透哉のBMD-07は振り下ろした刀の先をずらして相手の長剣をかわし、刃を上向きにして切りあげる。

ブシュー。

『カイラギ』の両腕が切り落とされて鮮血が噴き出す。長剣をつかんだままの両腕が地面に落ちる前に、久我透哉のBMD-07は『カイラギ』の首を切り落とした。両腕と首を失った『カイラギ』は膝から崩れるように倒れ込んだ。

 久我透哉のBMD-07は日本刀を一振りして、『カイラギ』の血を払いのけてからカキンと音を立ててさやに収めた。

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