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M05-07

 陣野修じんのしゅうののるBMD-Z13は金色の『カイラギ』と対峙していた。BMD-Z13は背負ったランクA装備『マサムネ』をさやから引き抜く。かまえた日本刀の美しい姿が日の光を受けてきらめく。

キュイーン。

空気を震わす振動音が『マサムネ』のコンデイションがベストであることを告げていた。

 それに合わせるかのように金色の『カイラギ』も黄金の剣をかまえる。炎をかたどったような七つに枝分かれした剣は古文書に記される『神々の剣』によく似ていた。

キュイーン。

黄金の剣が『マサムネ』に答えるかのように超音波音を発した。触れるだけで切り裂く剣。条件は互角だった。

『それじゃあ始めようか』

陣野修の頭の中に宮本修みやもとしゅうの声が直接響いてくる。

『了解』

陣野修は心の中で短く答えた。

 背中の呼吸器官を大きく膨らませて息を止める。神崎彩菜かんざきあやな久我透哉くがとうやとの摸擬戦の中から学び取った呼吸法だった。爆発的なエネルギーが全身を駆け巡る。BMD-Z13はアスファルトを蹴って走る。一瞬にして金色の『カイラギ』の間合いに入り、上段から『マサムネ』を力任せに振り下ろした。

ガギーン。

金色の『カイラギ』が両腕を振り上げて黄金の剣でそれを受け止める。剣と剣がぶつかり合い火花を散らす。BMD-Z13は両腕に力を込めてそのまま押し込む。じりじりと『マサムネ』が『カイラギ』の頭へと向かう。

『ふーん。なるほど。面白いね。確かにワクワクする』

宮本修の声が響いてくる。

『それじゃあこちらも』

金色の『カイラギ』はBMD-Z13を真似て背中の呼吸器官を大きく膨らませて空気を取り込んだ。呼吸を止めて腕に力をためてから押し返した。

 BMD-Z13は飛びのいて距離をとる。背中の呼吸器官からゆっくりと空気を吹き出して、呼吸を整えた。次に動いたのは『カイラギ』だった。上、下、上、斜め右。縦横無尽に『カイラギ』の剣が走る。スピードも尋常ではないが、受ける剣の重さも戦士型とは比較にならなかった。腕の筋肉がきしむような衝撃が神経接続子を通して陣野修に伝わる。陣野修は子供が新しいゲームを手に入れたかのようにそれを楽しんだ。

 二体の巨人の繰りだす剣のぶつかり合いは、雷でも落ちたかのような大きな音を発した。弾ける火花が中を舞う。打ち込む脚は潮風で風化したアスファルトを砕いた。陣野修はBMD-Z13の中で笑っていた。生まれて初めて声を出して笑っていた。なぜ笑いがこぼれるのか自分でも理解できなかった。それでもそれを止められなかった。

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