第62.5話「亡神のガイアより」
ちょっとした番外編です
『老婆の集大成、魔力を保持した転生』
『どういうことですか?』
『お嬢さんから同じ魔力を感じたんだぁ』
『…………で?』
『お嬢さんは生まれ変わりのはずだった。でも違う。神の干渉を感じた』
『それは……認めますけど』
『大地神は正しかったんだ、きっとねぇ』
二人の会話はそっと彼らの胸にしまわれる。蓋を閉じれば誰にも見られやしない。
神に至らんとする獣を見たとき、我は神になる以前からの信仰をかなぐり捨てた。獣のことを、我は知っている。主神であるフレイズ様の使い魔だったのだから。
それが現れ『異端児』に味方するこの現状を……フレイズ様が許しているだと!?
許せない。神として、世界を乱す危険分子を残し、あまつさえその味方をする部下を放置するなど。これは我々への侮辱だ。
許さん、許さん。
我はせめて最期の言葉を聞き届けてやろうかと、声を上げた。
だが、無理だったようだ。共鳴し合う魂と、神へ至る獣は……我よりも運命に好かれているようだ。大地は広い、それをかの獣に奪われると思うと癪だが……。
ああ、消えてしまう。我の守ろうとした世界は、我の信じた主は……我をこうも簡単に手放すのだ。
刹那感じる悪魔の気配、使い魔の獣に神の力を奪われてゆく絶望感。我が大地を塗り替えつつある緑の魔力。
なあ、神よ。
我を見ているか、神でなくなった我を。
見ているならば……そうだな。
……そう、だなぁ…………。
あれ、を……こ……………………。