西の少女―1
どうしても書いてみたくて初めて投稿してみました。
拙い作品ですが、よろしくお願いします。
王都の西側に広がる草原に人々が集まっていた。
少し高い丘の上には天蓋が設置されており、その下には身分の高い人々が、丘の下側には身分の低い者たちが雑多に集まっている。
丘の下の場所には屋台などが出ていてにぎわっていた、丘の上側のほうでは王軍の楽隊が勇壮な音楽を奏でている。
空は、蒼く晴れ渡っており、人々は期待の籠ったまなざしで草原の先を眺めていた。
人々の視線の先には、約2000人の軍が展開していた。
ただその軍の兵士は人間ではなかった、木製の魔法人形に武具を着せて、魔法の木馬に乗った魔法人形の軍。
魔法人形は鋼の鎧兜を装備し、木馬は馬鎧を身に着けてる、最前列の歩兵の魔法人形は自らの体よりも大きな鉄の盾を構えている。
その軍の装備は、十分一軍の主力足りえる装備であった。
そこに、王都の方角から鋭い咆哮が轟いた。
今まで雑談をしていた人々は、押し黙り咆哮の方角を一斉に見た。
王都の方角、その空に、見事な編隊で空を飛ぶ竜が飛んでいた。
そのドラゴンの背には、鱗鎧を身にまとい、長大な槍を手にした騎士がまたがっていた。
彼らは、竜騎士であった。
竜騎士たちは5騎が1組となり、先端を前に向けたV型の編隊を組み、さらに5組で大きなV型を描いて、まっすぐにこちらに飛んでくる。
それを目にした観衆は一斉に歓声を上げる。
この日は、大陸で唯一竜騎士隊を抱えるエウルアーデ王国の数年の公開演習の日だったのだ、
それほどの国土と国力を待たず、しかし、交通の要所に位置するエウルアーデ王国が国の内外に、その力を示し、侵略に対する抑止力とするため開かれる公開演習だ。
丘の上にいる宮廷魔術師が杖を振ると、ゴーレムたちは一斉に動き出し竜騎士を迎え撃つべく横陣形を組む。
そこへ、竜騎士たちが編隊を組んだまま急降下、ゴーレム軍の少し手前で地平ぎりぎりの高さで水平飛行に移り一斉に炎のブレスを吐きかけた。
炎の直撃を受けたゴーレムたちは鋼の鎧兜ごと一斉に燃え尽きてしまう。
無事だったゴーレムたちも、竜騎士が違いざまにふるう槍によってバラバラにされていく。
あっという間にゴーレム軍は、竜騎士に蹂躙された。
ゴーレム軍を壊滅させた竜騎士たちは、そのまま上空に舞い上がり、人々の上を編隊を組んだまま8の字に旋回し勝どきを上げる。
人々は、先ほどよりさらに大きな歓声を上げる。
歓声を上げた人々の中に一人の少女がいた。
名前は、ヒルデガルド=フォン=クレーフェン ー親しい人はヒルダと呼ぶー
まだ幼い彼女は、丘の中頃にある少し身分の高い者が集まる場所に母に抱かれて、竜騎士たちを見ていた。
ヒルダは、憧れと…誇らしい気持ちでいっぱいだった。
竜騎士たちの編隊の先頭には、彼女の祖父がいるのだ、上空高くに飛んでいるため、はっきり視認することはできなかったが、先頭は見慣れた蒼いドラゴンだった。
彼女は、旋回する竜騎士…その蒼いドラゴンの竜騎士を誇らしい気持ちで見続けていた…
そして、いつか自分も竜騎士になり、あの空を祖父と飛ぶのだと心に誓っていた…