ジャンキー(雀鬼ー)・ハイスクール
「面白い勝負漫画は、勝負のルールを知らなくても面白い。」 その言葉を実現すべく、麻雀を知らない人にも楽しめる麻雀ウェブ漫画をと思って書いた原作でした。(笑)
ある新人漫画家さんが拾ってくれて、某メジャー誌にネームが持ち込まれたのですが、不採用でした。ネームを見てくれた担当さんには「シナリオに問題がある」と言われたとか……しかしどんな致命的問題があるのかいまだによくわからず、教訓を新作に生かすことができません。
読んでくださった方、何かお気づきの点がありましたら助けると思ってご教示をお願いいたます。
m(_ _;m
<登場人物>
隆二:篠井隆二。高校二年生。ふつーの男子高校生?タイプ。
千奈美:川北千奈美。クラス委員長。秀才タイプの美少女。
正文:栗原正文。ちょっとモテ型?の男。
昭彦:沢田昭彦。隆二の麻雀仲間。あまり目立たない奴。
繁:中村繁。隆二の麻雀仲間。チャランポランな雰囲気。
先生:むちゃくちゃキビシそうなおっさん。
<このシナリオでの麻雀表記の例>
・牌
一二三…九=萬子 123…9=筒子 ⅠⅡⅢ…Ⅸ=竹子
[ ]=横向きに置かれた牌
手配の表記例:
「隆二:一二三456東東白白 [7]89南[南]南 九」
「一二三456東東白白」は手牌(普通に手元に来た牌)
普通に並べ、自分だけが見ています。
「[7]89南[南]南」は哭き牌(ポンやチーなどで手に入れた組み合わせ)
全員に見えるように置きます。哭いた牌は横向きです。
「哭く」とは、
789のように並べるのをチー、南南南のように揃えるをポンと言います。
「九」は自摸(自分の番に山から取った牌)
「千奈美:×××××××××× 四[四四]四 ×」
「××××××××××」
牌の背中だけで、読者には手が見えてない場合の表記です。
「四四四四」
見えるように置かれています。ちなみにこの場合はカンです。
捨牌の表記例:
「隆二(捨):發中5Ⅷ3北發一四ⅨⅨ[2]北東」
「[2]」が横に置かれ、立直がかかっています。
・点数
数字は通常、西洋式に3ケタ単位で「,」をつけますが、この物語は
日本語圏用に書かれているので、読みとりやすいよう東洋式に4ケタ
単位の「,」にしました。
点数計算法の正確さに自信がないため、数値は間違っているかも
しれませんが、展開に大きな影響はないと思ったので厳密な検証は
していません。
[1]
□
?「リィィィーチ!」
ピキーンッ!
土煙(笑)を上げて点棒(または牌)が跳ねる
□
そこは体育倉庫。
ポータブル雀卓(小型の携帯用麻雀)を囲んでいる4人。
隆二/正文/昭彦/繁。
正文「おお? 何狙ってるんだ、オマエ?」
隆二「へへへ、言うわけねえだろ♪」
声「畜生、ヤベエなあ…」
□
隆二:345ⅤⅤ南南南西西白白白
隆二(心の声)「Vか西が出れば立直三暗刻翻牌…
…この場は東家だから満貫で+1,2000点♪」
隆二「今度こそ、負けを取り戻させてもらうぜ」
上機嫌な隆二の後ろ、扉の隙間から光が漏れてる。
□
ガラッ!!
声「くぉらぁぁぁぁっ! あんたら!!」
[2]
□
T「ジャンキー(雀鬼)・ハイスクール」
千奈美、扉を大きく開けて仁王立ち
千奈美「校内での麻雀は禁止って言われてるでしょッ!!」
隆二、慌てて隠そうとして……るけど間に合わない。
あとの三人は窓から逃走。
[3]
□
隆二(汗)「い、いや、いいんちょ、これは・・・!」
逃げ遅れた隆二、ビクビクして誤魔化し笑い。
□
千奈美「没収!」
隆二「あっ、俺達の『雀鬼不選所』を!」
□
千奈美「場所くらい選びなさい!」「こんなホコリっぽい所…健康に悪いじゃない!」
千奈美、ポータブル雀卓を持って出ていってしまう。
□
隆二(泣きっ面)「ちきしょう、もうちっとで三暗刻だったのに~!」
□ 体育倉庫の前。
千奈美、ポータブル雀卓を抱きしめてなぜか溜息。
[4]
□ 廊下。
キーンコーンカーン…
放課後、生徒たちが思い思いに。
□
隆二が帰り支度をしていると…。
千奈美「篠井くん」
□
隆二、ふてくされた目で見つつ
隆二「なんか、用?」
千奈美「聞きたいことがあるんだけど。」
□ 屋上。
隆二「こんなとこでなんだよ、いいんちょ?」
千奈美の声「体育倉庫の話。」
[5]
□
隆二「!」「わ、悪かったよ! もうあんなとこで麻雀しねえってば」
千奈美(無視して)「…栗原くんもいたわよね、今日?」
□
隆二「へ?」
回想で正文の顔が。
□
千奈美、金網に手をかけ、外を見おろしながら
千奈美「栗原くんも、麻雀、好きなの?」
隆二「好きもなにも。」「最初に『雀鬼不選所』を持ち込んだのはあいつだよ?」
□
千奈美、何かを考えてる表情。
千奈美「そう……なんだ」
□
千奈美、背を向けて
千奈美「麻雀て、そんなに夢中になるほど面白い?」
隆二「面白いっつーか…負けっぱなしが嫌だから、勝つまでは続けたくなるというか。
ギャンブルってそいうもんらしいぜ?」
□
千奈美、振り返って
千奈美「ふーん……」「篠井くん、ひとつお願いがあるんだけど。」
[6]
□ 屋上の景色
千奈美の声「麻雀、教えてくれない…私に。」
隆二の声「……はぁ!?」
□ ファーストフード店。
廻りのお客さんたち(学生や主婦、社会人など)が横目でヒソヒソ。
隆二「まずは…」
□
テーブルには開かれた麻雀入門書と千奈美のノート。
隆二「役を憶えないと始まらない。」
千奈美「できるだけ高い役をいっぺんに作れば勝てるってこと?」
□
隆二「いちがいにそうでもなくてね。安い手で早く上がっちまう作戦が有効なときも
あるんだ。」「誰かが高い手で立直をかけてきた時なんかね。」
千奈美、ノートをとっている。
千奈美「あとひとつで役ができる状態を聴牌、哭いてなければそこで
立直可能。」「立直をかけてからアガると点数が倍になる、と……。」
[7]
□
隆二「たとえばこれは、四暗刻。」「それから九連宝燈(ちうれんぽう
とう)…それと国士無双。一生に一度、出るか出ないかという確率の
低さで、すごい点数なんだぜ~。」「四暗刻なんか出せたら、そいつにビストロ=
トリニティのバカ高いパスタおごってもいいよ、俺。」
三三三777ⅣⅣⅣ中中中東東
キャプション「四暗刻の例。同じ牌3枚づつの組合わせ4組+頭1組。ただし哭いて
いた場合は対々和役牌で5翻のみ。」
一一一二三四五六七八九九九
キャプション「九連宝燈の例。麻雀最大の役とも言われる。一~九のどれかが出れ
ば上がり。」
一九19ⅠⅨ東南西北白發中
キャプション「国士無双の例。13個のどれかが出れば頭ができて上がり。」
□
千奈美、唇にシャーペンを当てて考え深げに
千奈美「・・・・。」「点数の高い役より、確率の高い役を知りたいんだけど。」
□ (時間経過)
ノーパソの画面
「33467789東東西西西 東」
スピーカー「ロォンッ!」
パシッ
ピロロロロロラン♪
スピーカー「立直一発混一色翻牌。」
□ そこは生徒会室。
隆二(真っ青)「げえっ、今度は跳満かよ…」
千奈美「へえ…親が勝つと子より高い点数をもらえるのね。」
[8]
□
隆二(溜息)「まいったな・・・いいんちょには博才まであったなんて。」
千奈美、マウスをクリックしながら
千奈美「役を憶えちゃえば、あとは確率の高い組み合わせを残していくだけ…難しい
ことはないと思うわ。」「篠井くんも、麻雀の力をテスト勉強に使えば80点くらい
いけるよ、きっと?」
□
セリフで繋ぐ。
千奈美、上機嫌で隆二を見てウィンク。
□
隆二、ちょっと赤面。
□
隆二、ノーパソを片づけながら
隆二「ところでさ。なんでいいんちょが急に麻雀なんか憶えようと?」
ドキッ!!
…とする千奈美。
[9]
□
隆二「?」
□
どきん どきん どきん
千奈美「……。」
拳を握り締め、背を向けて赤面してる。
□ 教室
千奈美(回想…ようやく顔を上げて)「……あの、だれにも言わないでね?」
隆二、携帯で
隆二「あ、栗原? いまどこにいんの?」
□ 体育倉庫
「雀鬼不選所」を囲んでる、隆二/千奈美/正文/昭彦
ジャラジャラ
正文「…じゃあ半荘で川北が負けたら、この『雀鬼不選所』は返して
くれるんだな?」
[10]
□
千奈美、牌を積みながら
千奈美「ええ。ただし、栗原くんが負けたら…」
正文「ビストロ=トリニティでペペロンチーノ、か。」「ともに3000円、釣り合っては
いるな。」
□
千奈美(口を結び真剣)「いい、栗原くん?」
□
正文「よぉし…」
□
一同「勝負!」
雀卓に燃え上がる炎と、それぞれの背景に竜・虎・獅子・熊。(イメージ(笑))
(正文に竜、千奈美に虎)
[11]
□
キャプション「東1局1本場 ドラ:六」
隆二「まずは俺が東家(親)か…」
隆二の心の声「この配牌じゃ…しばらく様子を見ないと作戦が…(汗)」
キャプション「篠井隆二 東家 2,5000点」
隆二:二二三六699ⅠⅠⅡ東南中白
捨牌:九
□
千奈美「……。」
千奈美の心の声「対々和でいくか、断公九を考えるかね。」
キャプション「川北千奈美 南家 2,5000点」
千奈美:一四四五六六七44ⅣⅣ東發白
捨牌:西1Ⅷ95 Ⅴ
カツッ!
□
昭彦「…あ、それチー。」
昭彦(心の声)「序盤は無難に安めの手で…。」
キャプション「沢田昭彦 西家 2,5000点」
同級生A:四五八123789北北 Ⅳ[Ⅴ]Ⅵ
捨牌:西發Ⅶ九 6
□
正文(心の声)「456での三色同順ねらい…はやめとくべきかな。」
キャプション「栗原正文 北家 2,5000点」
正文:一一一三六346ⅤⅥⅥ東南
捨牌:北三發ⅢⅧ9 發
[12]
□
カチッ
捨牌:……東8二 5
□
正文「ロォン!」
正文:一一一六七八34ⅣⅤⅥ南南 5
正文「立直ドラ!」
キャプション「栗原正文 東家 2,5000+4000点」
□
隆二(頭抱えて)「カーッ、振り込んじまった…それにしても3翻とは、安い手。」
正文「麻雀は、どんな手でも先にアガッたもんが勝ちなのさ。」
□ (時間経過)
キャプション「東4局3本場 ドラⅦ」
正文「ツモ!」「立直平和ドラドラ、満貫!」
正文:一二三11234ⅤⅥⅦⅧⅨ Ⅶ
キャプション「栗原正文 東家 3,2000+1,2600点」
[13]
□
ジャラジャラ…
昭彦「うーッ、せっかくテンパってたのに!」
隆二「ヤベエよこりゃ、早くも親のひとり勝ちって予感がする。」
正文「ふふんっ♪」
□ (時間経過)
キャプション「南2局1本場 ドラ西」
隆二、ツモった牌を見て
隆二「ん?」
キャプション「篠井隆二 北家 1,4100点」
□
隆二:ⅠⅠⅣⅣ西西西 發[發]發Ⅷ[Ⅷ]Ⅷ Ⅳ
隆二(心の声)「対々和混一色役牌ドラ3 面前自摸
(つも)!? 」
隆二(心の声)「倍満の+2,4000点でアガれるじゃねえか、これ!!」
□
ちらっ
隆二(心の声)「西家も南家も立直がかかってる。ここで上がらない手は…でも…」
隆二、横目。
□
千奈美が青い顔をして手牌をじーーーっ、と見つめている。
隆二の心の声「でも今は、破産寸前のいいんちょが親…。」
キャプション「川北千奈美 東家 5500点」
□ (以下回想)
回想に入っていく。9ページめ2コマめの続き。
隆二「ビストロ=トリニティっつーと…あのバカ高いイタリアン屋が何か?」
[14]
□
千奈美(赤面)「トリニティで男子にペペロンチーノをおごってもらうと、その二人は
幸せなカップルになって、卒業しても続くんだって。先輩が…。」
隆二「へぇ~…あの店にそんなジンクスがあったんだ。知らなかった。」
□
隆二(よそ見しながら)「そっかー…いいんちょは栗原が好きなのか~。」「それで
麻雀で負かして、ペペロンチーノをおごらせようと。ふーん…。」
隆二、よそ見しつつもちょっと複雑そう。
□
千奈美は下を向いてしまってる。
□
隆二、鼻白んだ表情で横目で千奈美のほうを見る。
[15]
□
千奈美(手を合わせて泣きそうな顔)「お願い! ぜったい、誰にも言わないでね!」
(回想終了)
隆二、牌を見つめて考え込んでしまってる。
□
千奈美:××××× Ⅳ[Ⅴ]Ⅵ Ⅶ[Ⅷ]Ⅸ
隆二の心の声「いいんちょの手はおそらく清一色か混一色…もしかすると起死回生の
チャンスが来てるのかもしれない。だけど…」
□
隆二のほうを見る3人。千奈美は少し心配そう。
正文「どうした? 捨て牌しないのかよ?」
□
隆二、目をつぶり捨て牌。
隆二「いや、なんでもない……」
パチッ
大声「…ロォン!」
[16]
□
千奈美(歓喜に声が上ずって)「ち、清一色! 満貫です!!」
ビシィッ!!
千奈美:ⅡⅡⅢⅤⅨⅨⅨ Ⅳ[Ⅴ]Ⅵ Ⅶ[Ⅷ]Ⅸ Ⅵ
キャプション「川北千奈美 東家 5500+1,4000点」
背景は虎の咆哮?(笑)
□
隆二、引きつり笑いしながら
隆二「ハハハ…また振り込んじまったか。」「ペペロンチーノに一歩近づいたな、
いいんちょ。」
□
カッ
千奈美、牌を見ながら赤面。
□
ジャラジャラ…
正文「こら篠井! 裏切る気かオマエ?」
隆二「栗原にだって2回も振り込んだだろ。」「つーか、自分が破産してまで他人に
パスタ食わしたくねーよ。(汗)」
キャプション「篠井隆二 北家 1,4100-1,2000点」
[17]
□
隆二(心の声)「やべえことしちゃったなあ…」
隆二(焦って)「聴牌!」
隆二:二三四三四五345白白 [Ⅲ]ⅣⅤ
キャプション「南2局2本場 流局」
キャプション「篠井隆二 北家 2100+1500点」
□
千奈美(静かに)「聴牌」
千奈美:二二二77發發 6[6]6Ⅲ[Ⅲ]Ⅲ
キャプション「南2局3本場 流局」
キャプション「川北千奈美 東家 2,1000+3000点
篠井隆二 北家 3600-1000点」
□
キャプション「南2局6本場」
正文(必死)「ロン! 立直平和、4翻!」
正文:一一七八2344567ⅠⅡⅢ 九
キャプション「栗原正文 西家 4,1500+6900点」
背景は下り竜?(笑)
□
キャプション「南3局1本場」
千奈美(必死)「ツモ!」「立直面前自摸ドラドラです、
6翻満貫!」
千奈美:二二八九333ⅣⅤⅥⅦⅦⅦ 七
キャプション「川北千奈美 北家 2,4000+1,0000点」
背景は猛虎?(笑)
[18]
□
キャプション「南4局1本場 ドラ六」
千奈美、困ったような顔で手牌を見つめている。
千奈美:×××××××××××××
キャプション「川北千奈美 西家 3,4000点」
□
正文「・・・・・。」
勝利を確信した表情。
正文:一四五七1239ⅥⅥⅦ東白
キャプション「栗原正文 東家 4,4400点」
□
隆二:二二三六23567Ⅱ白西西
隆二(心の声)「俺はいいとこ断公九役牌…最後で
これじゃ、負けだな、この勝負。」「栗原が独走…1,0400点差で2位のいいんちょ
にしても、満貫以上でアガらなければ逆点はない……とすると……」
キャプション「篠井隆二 北家 1,7500点」
□
千奈美、困ったような緊張した表情で正文を見ている。
隆二の心の声「いいんちょの傾向から考えれば、対々和か役牌系の手で勝負しようと
考えるはず…一気に一万点を行けそうなのというと…三暗刻役牌?」
□
せりふで繋ぐ。
ビッ
捨牌:…5Ⅰ 西
隆二(心の声)「うーん…すると、これ…」
□
隆二の心の声「…じゃなかったのか。(汗)」
千奈美、ツモって牌を見てる。
[19]
□
千奈美「立直っ!」
カッ
捨牌:西9五ⅣⅢ6[5]
□
隆二(心の声)「じゃ、これかな?」
カッ
捨牌:…5Ⅰ西 白
声「!!」
□
千奈美、隆二の方を見て驚愕してる。
千奈美「あっ、あっ、あのっ、それ……」
□
隆二「?」
隆二(心の声)「…アタった!?」
□
千奈美、迷いながら目をつぶってしまい、
千奈美「ロっ……ロっ……!」
千奈美:××××××××××××× 白
隆二(心の声)「どうした、早アガれ!」
[20]
□
いきなり扉が開き
先生(絶叫)「こらぁ、貴様ら!!」「何やっちょるかぁっ!!」
□
隆二、慌てて隠そうとして…るけど間に合わない。
昭彦と正文は窓から逃走。
千奈美はたまげてパニック。
□
先生「なんだぁ? クラス委員長の川北まで…?」
隆二「ち、違うんです、先生!」
[21]
□
隆二「俺達、麻雀やってて、川北にみつかって小言を言われるとこだったんです!」
「なっ!? なっ!?」
千奈美(焦)「え?」「あ……」「う、うん。」
□
先生(ちょっと考えながら)「ん~…そうだな。川北みたいな優等生が麻雀なんかする
わけないもんな。」
□
先生「よし、篠井、お前だけ来い。」「今日という今日は、輪廻転生しても忘れられ
ないくらいネチネチと説教してやる!」
ひぃぃぃ
隆二、先生に首っ玉掴まえられ、つれいていかれる。
千奈美「あ……」
手を出しかけるが、
□
隆二、引き攣り笑顔で無言のまま「来るな」という合図。
□
千奈美(困惑)「…………。」
見送ってしまう。
[22]
□ 夕方の校庭。
隆二「ふぃ~……しぼられた、しぼられた。」「しかしバカな話だよな。いいんちょ
に栗山のヤツとの仲を取りもとうなんて、俺ってまるでバカ。。。」
□
セリフでつなぐ
隆二、ふと気づく。
□
千奈美が校門で待っていた。
隆二の声「あれ、いいんちょ?」
千奈美「篠井くん、私…ごめんなさい!」
□
隆二(ちょっと赤面しつつ)「いいって。気にしない、気にしない。」
千奈美「でも、私…。」
□
隆二「俺はいつもだけど、優等生には1度でも不祥事があったらマズイだろ? だから
気にするな。」
□
千奈美「うん……。」
[23]
□
隆二「さ、暗くなってきたから、早く帰ろうぜ。」
隆二、歩き出す。
千奈美「あ、うん。」
□ 夕方の街路。
二人が並んで歩いている。
千奈美「あの、篠井くん……」
隆二「ん?」
千奈美「…また麻雀、教えてくれる?」
□
隆二(苦笑)「もう俺が教えることなんかないよ。いいんちょの方がよっぽど強えもん。」
千奈美の声「でもっ!」
□
セリフで繋ぐ。
千奈美、泣きそうな顔で隆二を見ている。
□
隆二、どうでもよさげに。
隆二「…ああ、そっか。栗原の奴にトリニティでおごらせる目的を果たしてなかったっ
け、まだ。」
千奈美、迷いありげに
千奈美「……うん。」
隆二「次、がんばろうぜ。」
千奈美「う、うん。」
□
隆二、ふと気がついて
隆二「ところでさ」
[24]
□
隆二「さっき、俺が最後に振り込んだ時、どんな手で上がろうとしたの?」
ドキッ!!
…とする千奈美。
□
千奈美、赤面しながら困ったように上目遣いで隆二を見ている。
千奈美「……ペペロンチーノ……」
□
隆二「え?」
□
千奈美「私……私っ、やっぱりごめんなさいっ!!」
千奈美、小走りに去っていってしまう。
隆二(焦)「え? おい、ちょっと…」「どうしたの、いいんちょ? 待ってよ!」
隆二、あわてて追いかける。
六六888ⅡⅡⅡ白白發發發 白
キャプション「立直一発 四暗刻 15翻役満…振り込んだ者は一挙に最大点を失う
凶悪な役。…この手でアガッたやつは実在する。(汗)」
-終-