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人海戦術ファンネル

都市を東へ、駅の構内を通り抜けて突進するククル。


すると頭上から八つのチロルチョコが降り注いだ。


しまった!視線をそらした!


ドンキの店内に、既にブラックサンダーがない!


これは人海戦術だ!


何ということだ!甘かった!チョコより甘かった!


『個数制限』の壁を突破する初歩の初歩、『人海戦術・ファンネル』!


ファイサルを責められない。


敵の本体は十人、それは間違いない。


だが、残りの協力者たちは彼らチョコ好きには「索敵」出来ない。


修羅の国伝統の軌道計算『動線』を脳内に走らせ、最速でブラックサンダーに向かってククルは駆ける!


都市の西部に潜入したファイサル。


しかし囲まれている!


チョコ好きの使い手九人に!


二手に別れるのは読まれていた!


狙いは彼!最初から!


ククルには一人で充分。まぁ、そうだが。


甘かった!チョコより甘かった!


ファイサルとしたことが!


届かない!この距離では!


彼の『王の拳』が!


射程は十メートルギリギリ!


届かない!やりすぎである。


『お前ら! 宙に浮くんじゃねぇ。人間は空を飛ばんのだ! 馬鹿者!』


高速で駆け抜けるファイサル。


空中から囲み続けるチョコ好き。


元旦で浮かれた街は、甘党男子の悲しい戦いなんかちっとも気づかない。


リュックから何かを取り出し、ファイサルは足を止めた。


不敵な笑みで口元が歪む。


「あるんだぜ。とっておきが」


彼はハバネロを口いっぱいに含んだ。


くるりと背を向け、心中で『フレア』と泣き叫ぶ。


そして街外れの駄菓子屋へ突進!


チョコ好き九人は驚愕!


ファイサルが消えたではないか!


『甘党のシンパシー』で感知出来ないのだから当然だ。


その隙にファイサルが最後のブラックサンダーを買おうとする。


だが、それを手に取ったのは眼鏡の美女だ。


アビーである。


「ああファイサル様、お待ちしておりました」


やはり彼女はクリスマスイブの事を許していない。


チョコ好き九人プラス百名以上の協力者を雇った彼女。


ああかわいそうに。


ファイサルは死んだ!


その頃ククルは当惑していた。


捕まる!捕まる!信号!なぜだ!?


青信号になるまで待て!?出来るか!!


分かる!減ってる!ブラックサンダー!


凄い勢いで!喰ってる!


恐らく人海戦術の暴力!


『レベルを上げて物理で殴る』この発想!


相手は恐らく……。


いやそうじゃない!標的はブラックサンダー!


まだあの店にはある!


『あの人には勝てないけど僕だって神速! あの信号を超えて! 突進! 行ける、いやだめだ!』


青信号は僅かに点滅……!


両脚の回転にブレーキを踏んだ。


横断歩道の手前で急停止。


どよめくギャラリー。


『つり出してしまう』


天を仰ぐ少年の顔に苦悶の表情が浮かんでいる。


目と鼻の先に凄惨な光景。


目当てのドラッグストアは、ブラックサンダーが空になっていた。


『青信号が点滅している時に駆け込むと、周りの人もダッシュするからだめ』


あの人の教えだ。


いかに大好きブラックサンダーといえど、人を巻き込むわけにはいかない。


ククルの心が折れかけた、その瞬間のことだった。


「捕まえた」


ショートヘアの少女がククルの背中を抱える。


聞きなれた声だ。


「ミハルねぇ! なんで……」


「アビーさんに頼まれたの。多分、今年もブラックサンダー戦争に参加するだろうからって。危ない真似させたくないよ。で、ついてきて」



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