白熱の勝負?
「……ハッ!」
「……くっ」
「……ふふっ、これで32対31。再び私のマッチポイントですね、外崎先輩。……ふぅ」
「……流石ですね、八雲さん。ですが、まだまだここからです。……ふぅ」
それから、数十分後。
互いに息を切らしつつ、低いネットを立てたテーブルを挟み向かい合う私達。そして、そんな二人の手にはそれぞれラケットが握られていて――まあ、お察しかもしれませんが卓球です。少し広めのお部屋へ移動し、そこに簡易的な卓球台を設置して――うん、家の中での卓球というのもなんだか新鮮で楽しいものですね。
ただ、それは良いとして……いや、決着つくの? これ。 確か、卓球のセットポイントは11点だったと記憶しておりますが……うん、こんなに遠かったっけ? 2点差って。
「――お疲れさまです、八雲さん。宜しければ、こちらを」
「……ありがとうございます、先輩。あっ、フルーツ牛乳!」
それから、更に数十分経て。
畳の上で仰向けになっていると、温和な微笑で可愛いビンを差し出してくれる外崎先輩。やった、フルーツ牛乳! それも、ビンですよビン! いやーやっぱりお風呂上がりはやっぱりこれ……いや、お風呂上がりじゃないですけどね。
あ、ちなみに1セット目は私が勝利を収めました。67対65という、接戦中の接戦にて勝利を……うん、2セット目できますかね?
……ところで、それはそれとして――
「……あの、すみません先輩。その、出来ればもう少し前を閉じて頂けると……」
「……あっ、すみません! その、お見苦しいものをお見せしてしまい――」
「いえ、決してお見苦しいわけでなく! その、私としてはたいそう眼福なのですが……まあ、だからこそ困ると言いますか……」
そう、少し目を逸らしつつ話す。説明しそびれていたのですが……実は今、二人とも和服を纏っていまして。卓球を始めるにあたり、私の服が汗だくにならないようにという先輩の気遣いにて、外崎家が所有している和服を貸して頂く運びとなりまして。お陰さまで、先輩の匂いを肌で感じ……なわけないですよね。未使用らしいですし。その点に関しては甚だ残念です。
さて、本題に戻りますと……その、素敵な素敵な先輩の黒い和装がはだけて、汗の滴る胸の辺りがそっと覗いていて……まあ、何とも色気が溢れて目の遣り場に困ると言いますか……。
「……さ、さて次は何をしましょうか! まあ、勝負の続きでも構いませんが!」
「……そ、そうですね。さて、どうしましょう……」
それからバッと立ち上がり、どうしてか捲し立てるように話す私。一方、外崎先輩の方も少し慌てた様子で答え……いや、ほんとどうしてでしょう。どうして、私は突然こんなにも恥ずかしく――
「…………あ」
すると、慌てて立ち上がったのがまずかったのか、自身の裾を踏んでしまい、そのまま前方へと――
「――――八雲さん!」