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いざ、先輩のお部屋へ。

「……ここが、先輩の……」

「ええ、遠路遥々ご足労ありがとうございます」

「……いえ、そんなに遠くもなかったですけどね」



 それから、一週間ほど経た休日の昼下がり。

 ふと、感嘆の声が零れます。そんな私の視界には、和の雰囲気漂う素敵なお家――山を入り少し歩いたところにある、外崎とざき先輩のお家が。


 ところで、ここ――先輩のお家には、一人で訪れたわけではなく。と言うのも、道が些か複雑で分かりにくいことを懸念して、わざわざ先輩が駅まで迎えにきてくれて、そこから一緒に赴いた次第で……うん、むしろこちらこそご足労ありがとうございます。


 ……ところで、それはそれとして――


「……あの、外崎先輩。私は、ご両親にどのようなご挨拶をすれば良いのでしょう?」


 そう、逡巡しつつ尋ねてみる。いやまあ、普通で良いのでしょうけど。先輩が私の母にしたような、普通の挨拶で良いのでしょうけど。


 ですが、先輩のお家に来られる機会がそれほどあるとも限りません。ならば、稀少かもしれないこの機会にご両親にはなるべく良い印象を与えておきたいもの。そうなると、やはり最初が肝心。なので、そうですね……やはり、不束者ですがどうぞ宜しくお願いします、が無難でしょうか――



「――ああ、それは気にしなくて大丈夫ですよ。今、親は不在ですので」

「…………へっ?」


 卒然届いた、思いも寄らない先輩の言葉。……へっ? ご両親が、不在? ……えっと、それはもしやとは思いますが、もしや――


「――あ、すみません。ひょっとして、僕と二人は嫌でしたか?」


 すると、ふと不安そうに尋ねる外崎先輩。きっと、小刻みに震える私を気遣ってくれているのでしょう。ですが、心配はご無用。だって、震撼これは不安でも恐怖でもなく――


「……いえ、自身の英断に震えているだけです。念のため勝負下着を身に着けてくるという、自身の英断に」

「何の話!?」


 そんな私の返答に、ありありと驚愕の意を示す外崎先輩。……いや、流石に分かっています。そのような展開はほぼほぼ期待できないと、流石に分かっています。それでも……まあ、一応です、一応!





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