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再びのお部屋デート?

「……あの、八雲やくもさん」

「ん? どうなさいましたか外崎とざき先輩」

「……その、僕はここに居て良いのでしょうか? 勉強のためでもないのに」

「うん、勉強のためじゃなきゃ居てはいけないと考える理由が私には分からないのですが」



 それから、数日経たある休日の昼下がり。

 そう、全く以て理解し難い問いを掛ける外崎先輩。いやなんでですか。なんで、勉強のためじゃなきゃ恋人の部屋に居ちゃいけないと考えるのか私には皆目理解が追いつきません。


 さて、既に言及してしまいましたが――今、私達がいるのは私の部屋。本日は部活動がお休みとのことで、それでしたら是非私の家に来ませんかとお誘いした次第でして。



「……ですが、他人ひと様のお部屋で勉強以外にいったい何をすれば良いのでしょう?」

「いや他にも色々とあるでしょうよ。むしろ、なんで勉強一択なのですか。あと、他人ひと様とか言うのは控えてください。悪気がないのは分かってますが、なんか悲しくなるので」



 すると、尚も困惑した様子で尋ねる先輩に対し矢継ぎ早に言葉を重ねる私。……ひょっとして、今まで誰かの家を訪れた経験こととか無かったのでしょうか? でも、高校生にもなってそんな……いや、まあこの人ならあり得そうです。まあ、かくいう私もそれほど人のことは言えませんが。


 ……ただ、そういうことなら――


「――だとすれば、先輩が誰かの部屋を訪れたのは私が初めてということになりますね? ふふっ」

「あ、いえそれは何度か――」

「いやあるんかい」

「はい、ご友人のお部屋を何度か。確か、その時はボードゲームなどを嗜んで――」

「じゃあさっきの発言はなんだったの!?」


 思いも寄らない発言に、思わず敬語を忘れてツッコむ私。……いや、今しがたの発言自体は何もおかしなところはないのですが、じゃあ少し前の発言はなんだったのかという……うん、ほんとまだまだ謎だらけですね、この先輩ひと



「ところで、先輩は何かしたいこととかあります?」

「……うーん、そうだね。強いて言うならべ――」

「あ、勉強以外で」

「……………………へ?」

「そんな驚くとこありました!?」


 ポカンと驚愕を浮かべる先輩に、むしろ私の方が驚愕しツッコむ。いや、そんな驚くとこありました!? そもそも、恋人の部屋に来て勉強以外の選択肢がないというのが甚だ不可解で……いや、まあお世辞にも純然たる恋人同士とはいえないのですが。


 ですが……まあ、そういうことなら――


「……でしたら、外崎先輩。是非とも、私の方からご提案しても宜しいですか?」





「……あの、八雲さん。本当に、僕もご一緒して良いのですか?」

「はい、もちろん。と言うか、私が先輩と一緒に作りたいのです」

「……まあ、八雲さんがそう仰るなら」


 それから、ほどなくして。

 些か逡巡した様子で尋ねる先輩に、にこっと笑顔で答える私。そんな私達がいるのは、一階のカウンターキッチン。そして、ここに来たのはもちろん然るべき理由がありまして――



「――それでは先輩、楽しい楽しいお菓子作りの始まりです!」



 

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