幕間.お疲れ気味の霞
ナギと霞は帰宅して、部屋に入るとナギは息を吐きソファに体を預けた。回復してもらったとはいえ、花衣の乱発に徒花の攻撃。いつもよりも疲労していた。
「はぁ……疲れたぁ〜」
霞は冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに注ぎ、ナギへと持ってきた。
「今日は、お疲れ様でした」
「ありがとう、霞」
霞は優しく語りかける。ナギはむくりと起き上がって麦茶を飲んだ。
ふと見るとやはり霞もいつも以上に疲労の色が濃ゆく見えた。
「霞、本当に大丈夫?」
「大丈夫です。心配しないでください」
霞は優しく微笑む。その顔がどこか今にも倒れそうで、ナギはやっぱり心配になった。
「今日は早く休んだ方がいいよ!」
「ですが……ナギのお手伝いを」
「私は大丈夫だよ、霞」
「……そうですね、ナギ申し訳ありませんが今日は、少しだけ早めにおやすみさせていただきます」
霞はナギの気持ちを察して提案を受け入れることにした。
「うん、そうした方がいいよ」
そういうとナギは椅子の方に移動した。霞はソファに横になった。やはり、かなり疲れていたようだ。ものの数秒で寝息を立て始める。
ナギはそっと霞の横にしゃがんだ。霞の表情は落ち着いていて穏やかだったので、少しだけ安心した。
「霞がご飯も食べずに寝ちゃうなんて……」
頭を優しく撫でてあげる。霞は夕ご飯を食べる時にとても笑顔になる。そんな霞が食べずに眠るということは、それほどに疲れているということだ。
「………」
ナギは徒花との戦いを思い出しす。体のダメージで動けず、意識もうっすらしていた時、目の前で霞が何度も無抵抗に叩きつけられる光景を見ていた。
自分は立ち上がれずに助けに入ることもできなかった。ナギはそれが悔しくてしょうがなかった。
「……私ももっと強くならないと」
ナギは小さく決意し、そう呟いた。
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誰もが寝静まった午前3時。霞は目を覚まして起き上がる。
「眠っているようですね」
足音をなるべく立てないようにして、ベッド眠るナギの顔を確認する。ナギは静かに寝息を立てていた。
「ナギも疲れているのに、私は情けないですね」
霞はポツリとつぶやいた。いくらナギが気遣ってくれたとはいえ、主人の手伝い一つせずに先に眠ったことを霞は後悔していた。
「……もっとしっかりしなければ」
霞は拳を握りしめる。
まだなんだか体には痛みのような違和感が残っていた。
「そのためにも、まずは……」
霞は誰もいない道場へと向かう。
しばらくして、霞は戻ってきて少し落ち着いた表情で再び眠りについた。